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新たな継承争いと訓練

 ゼンウラ地方の反乱は南軍にとっても、大清にとっても意外なものだった。


 ゼンウラ地方はすぐに降伏したため、税金も高くなく、ミィンジャオ国の頃よりも良い政治が行われていた。


 ゼンウラには王族もおらず、大清にとっても大事な食糧庫だったため大切にされていた。


 そこの反乱。

 軍はすぐに駆けつけたが想像よりも激しい抵抗に困惑していた。



「なんでこんなに抵抗するんだ?」

 今は反乱軍は砦に籠もっている。


 すぐにでも鎮圧する予定が想定以上に苦戦していた。


 本来はバレルにいる南軍と戦う予定が、そこまでたどり着けていない。


 ソンケワンはバレルから何度もうって出てはいるがゼンウラ地方には来ていない。


 だがゼンウラの反乱軍は特にソンケワンの部隊と連携する様子もない。


「なにを企んでいる? なにを考えている?」

 ラムダは必死に考える。


 ゼンウラにはそこまで反乱する動機がない。

 元々のミィンジャオの治世の方が酷かった。そして河を渡ったソンケワンもゼンウラを目指そうとはしていない。


 線が繋がらない。なにが起こっているのか?

 混乱するラムダに密偵が帰ってくる。


「ラムダ様! 分かりました! この抵抗の意味が!」

「なに? なんだ?」


「はい! 南軍率いるレンの弟、フワンが報奨の口約束を乱発しているのです! 自分が次の王だからと! 最初は相手にされていませんでしたが、南軍の勢いと、フワン自らが先頭に立って戦っていることから信頼されるようになり、この抵抗になっているようです!」


「……あん?」

 ラムダが怪訝そうに聞き返す。


「大臣職やら、将軍職やら……また領主の地位まで与えると言っているようです……それがデタラメすぎて信頼されなかったらしいのですが……なんでも、兄のレンは政務不可能、弟のヤンは幼い以上、俺しかいないと言い張っているようで……」

 その報告にラムダは呆れた顔をしたあと


「引き揚げろ」

「はい?」

「そんな滅茶苦茶なやつ、南軍もたまったもんじゃないだろ。速やかに引き揚げて予定通りリョウン地方に行く。バカは敵に回すと恐ろしいが、味方にしても恐ろしいのだ。そんなやつが合流したら間違いなく仲間割れして殺し合う。その隙に襲いかかる。分かったか? 王にもそう伝えろ」

「は!!!」


 =====================


 馬鹿は死ななきゃ治らない

 馬鹿に付ける薬はない


 頭の中でそんな単語がぐるぐる回る。


 フワン様がゼンウラ地方で、地位やら報酬やらの口約束を言いまくり、南軍は俺が王になるから、とかやっちゃってるらしい。


 それを真に受けてゼンウラ地方は反乱を起こしているそうな。

 それについてリジンジョウさんは


「今反乱起こされても困るだけでして。今の段階でゼンウラ地方占拠しても守り切れません」


 リジンジョウさんの戦略としては、大河で睨み合ってる間にリョウンを抑える。

 そしてリョウン地方から北に向かって攻めあがる。

 こうすると軍を動かす都合上、守るルートが決められるそうです。

 リョウン地方って山に囲まれてますからね。


 一方でゼンウラ地方。

 こちらはいろんなルートで攻め込めるらしい。

 攻めるのは簡単だが、守るのが大変なのである。


 要は現段階でゼンウラ地方を取り返しても守り切れませんよ? という話。


「我々は軍ですから。命じられれば殺すのは容易いです。ただその決断はお願いします。決断なくして、我々も戦えません」


 この場合の「殺す」は「フワン様を」なんだろうなぁ。


 さてどうするか。


 王族の話である以上、レン様とヤン様で決めるしかない。


 なので話し合いなのだが。

「基本的にはヤンの通りだ。これ以上の王族の殺し合いは我等に対する信頼を失う」

 レン様は憂鬱気に言う。


「しかし、このままではゼンウラ地方で報酬や役職の為に戦ってる者達が大騒ぎするのは目に見えている。シャオ、軍は現時点ではゼンウラは守りきれないと判断してるんだな?」


「はい。リョウンから攻めあがるならばともかく、ゼンウラ地方を占拠しても守りきれないと……」


 溜め息をつくレン様。

「見殺しにすると言うのもまた怨恨を残そう。どうするべきか……」

 どうしたらいいんでしょうか? 本当に。


 ヤン様、この前みたいに良いこと言いませんか?

 と横を見ると、泣きそうな顔で黙ってるヤン様。


 うん。いつものヤン様だ。


「……とりあえず。我々としてはレン様が現状の王であることは間違いないわけで。レン様以外の者の命令は無効である。ぐらいは言った方が……」

 それぐらいしか思い付かない。

 後は

「ヤン様の次がアレン、コウルという順番はどうかと思います。あの二人ヤン様暗殺しかねませんし。とは言え間に誰か挟んで、フワン様の順位を下げるというのはすべきではないかなぁと。要は兄弟で回すわけじゃねーぞ、と」


 まあ、でも他に誰いんの? という話なのですが


「……他の王族と言っても無事かどうかも分からぬし、新たな火種になりかねないしな……。暗殺、というか筆頭後継者が死んだら順位はその時点で変えると告知しておくか。ぐらいだ」


「でもそれだと絶対フワン様、ヤン様殺して順位上げようとしますよ」

 私の突っ込みに頭を抱えるレン様。


 本当にバカ相手に考えるのは辛い。

 というか身内に敵が多すぎるんですよ。ええ。


「……もう他に手はない。ヤンを王位継承一位とし、アレンを二位、コウルが三位だ。それ以外の兄弟は生きている、死んでいる関わらず上から順番に入れる。それで発表しよう」



 南軍と呼ばれていた私達は「ミィンジャオ国」と改めて呼直し、レン様が新たな王として即位することになった。


 ただし臨時政府の為即位式とかは無し。

 そして後継順位を発表。

 ヤン様が筆頭。アレン、コウルと続いてフワン様は6位。


 これに想定外に喜んだのがアレンだった。


「新王は序列が分かっておるな!!!」

 アレンから見ると「体調が優れないレンの治世が長続きするわけがないし、ヤンは幼いし、次は俺だな!!!」みたいな。


 ただ順位は変動すると伝えたせいか、調子にのるどころか大人しくなった。


 コウルも「アレンがやらかしたら次は俺だ」となり、こちらも大人しくなった。


 一方でフワン様。

 向こうの動向はよくは分からない。

 でもゼンウラ地方の反乱は大人しくなるどころか、余計苛烈になったらしい。


 理由は分からない。

 とりあえずゼンウラ地方に使者も出したのだがまだ帰っては来ない。


 そんな政治的に混乱があった日々だが、私はそれどころではないのであった。


「触ったことなくてですね」

「生娘が触ったことある方が変ですわ」

 ピヨピヨと訓練。


 なんの訓練? 房術。


 とりあえず大きくしないといけない。

 勃起すると大きくなるにしても、それでもなお小さい。


 そういうのを大きくする技があるそうです。

 なのだが


「ヤン様にこんなもん出来るか」

 口を使って思いっきり吸い上げるって、あのね?


「口の奉仕は后たるもの当然やるものです」

「いやいや。ヤン様だよ?」

 そもそもやったこと無いわけでしてね。


「まあ、いずれやるわけですし。今のうちに慣れておいた方がよろしいかと」

 まあ、それはねぇ。



 夜。ヤン様はいつものように甘えてくる。

 隣で寝る。のだが。


「……ヤン様?」

 なんか。腰が。すりついてきて……

 え?


「……シャオ。その、お願いがあって……」

 顔真っ赤。

 腰に触れる熱い感触。


 つまり?


「そ、その……シャオに……」

 まあ精通してるんですもんね。

 そして私は后候補の婚約者。


 まあやるのはおかしくないわけで……


「……わ、わたしも……初めてでして。そのとりあえず、指で……」

 私はそっとヤン様の下着を下ろした。




 翌朝。またピヨピヨと相談。

「おっきくしないと無理無理」

「……基本的にシャオは前向きで素晴らしいですわ。昨日はヤン様にそんなの、できるわけない、とか仰っていたのに……」


 まあ向こうから誘われましたからね。

 ただ

「指だけで速攻ですよ。一回で寝ちゃったし」

「まだ不完全ですからね。体力からつけないとダメかもしれませんね」

 そうだよなぁ。


「シャオもですよ。色々訓練しましょう? とりあえず口の訓練です」



「ふうぁぁぁぁ(もう閉じていい?)」

「だめです」

 今は口を大きく開く訓練。

 口を開くだけではなく歯を出さないようにする。

 まあ、歯が当たると痛いでしょうし。


「うぁぁぁぁ(唾が垂れるんだけど)」

「それも訓練の一つですから」


 口を開きっぱなしで顎が痛い。

 そんな訓練を続けていると


「シャオ様! レン様がお呼びです! ゼンウラ地方から使者が帰ってきました! ゼンウラ地方は全面的にレン様に従うとのことです!!!」


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