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心の底からどうでもいい話し合い

 南方を全て解放したのに、いつまでも南西軍という名称は変。

 なので我々は呼称を変えることにした。


 なのだがその会議は紛糾。

「もちろん、基本はミィンジャオ国なのでしょうが」

「便宜上は拠点としている街を名乗り上げることが多いです」


 心の底からどうでもいい。

 一時的な名称がなんだろうとどうでもいいわけでしてね。

 軍の人達も「展開の準備をしています」と退出。

 私も出て行こうかなぁ。


「私も準備がありますので。失礼します」



 なんの準備でしょうか?

 答え:料理


 ヤン様と一緒に住むことになり、食事は私が作ることになった。

 今まではショウサの人達がやってくれてはいたのだが、なんかたまにうっかり虫を混ぜたりしてるらしくて、よくヤン様が泣いていた。


 あんなよく分からない話で時間潰れるぐらいなら、わたしは料理をするのです。


 取りあえずショウサの皆さまが集められた食材を確認する。


 並んである食材は新鮮で美味しそう。

 なのだが


「こんな新鮮な野菜あるのはいいんですけど、虫を避けるという発想がないのは……」

 現在虫さんがバリバリ野菜を食べてる真っ最中。


 ショウサの人達は「美味しい野菜を食べた虫さんを食べたらより美味しい」

 みたいな発想らしく、ついた虫ごと食べていくのである。


 とりあえず肉。野菜。

 肉は不浄なので王が食べるのは、と言われてはいるのだが、王族は普通に食べている。

 既に切り分けてしてもらったお肉がででんとある。


「肉も野菜もふんだん。本当にこのショウサは良い街ですね」

 なのになんで虫食ってるんですかね。本当に謎。


 炊事場で食事を作っていると

「しゃおーーーー」

 いつものように半泣きでくるヤン様。


「ヤン様お疲れ様でした。今ごはん作っていますよ」

「シャオ、なんで途中でいなくなっちゃったのぉぉ」

 なんで? と言われても

「いえ、あんなの時間の無駄以外のなにものでもないので」


「……お兄様と同じ事言われてる……」

 ふてくされた顔で言うヤン様。


「シャオ、お兄様のことよく分かってる。でも今は僕の婚約者だから。僕を見て?」

 おお、嫉妬されてる。可愛い。


「はい。申し訳ありません。ヤン様、とりあえずご飯食べましょう? ヤン様のために作ったものです。私はヤン様のためにしか食事を作りませんから」

「うん!」

 ニコニコされる。

 うん。単純で可愛いなぁ。



 夕方。ピヨに言われて気になったことを確認した。

 服を洗うから。と一度全部脱いでもらう。

 そこについている男根を確認したのだが。



「これから成長期……?」

「レン様は普通の大きさよ。ヤン様もいずれ育つわ」

 ピヨと相談。


 いや。あのですね。とどくわけねーだろ。みたいな大きさでして。


 これからに期待。

 にしてもだ。


「精通されたばかりは小さいという方は多いそうよ。大きくする技もありますから」


 技。

「だれやんの? それ?」

 ピヨは私を指差す。


「……まじで……?」

「専用の女官を付けることもあるらしいですが、まあこんな御時世ですから。全部后がやるということです」


 =====================


 南部の解放により街は平穏を取り戻した。

 元々南は豊かだったのだ。


 治安が安定したこと、北の賊の脅威が一旦収まったことで日常が戻ってきた。


 そしてなによりも歓迎されたのはその治世だった。


「取りあえずこの緊急事態に税金納めろというのも無理があるんじゃないかと」


 元々南の経済力で北を食べさせていた構図だった。

 南だけならば多額の税金などいらない。


 特に団結が求められるこの緊急事態に内乱が起こっても、ということで


「無税の範囲をとにかく広げましょう。特に兵役に協力頂いた家は親族みな無税」


 シャオの提案により、南部の街からは積極的に兵士が出された。


 また男がおらず、兵士が出せない家も、稼ぎの少ない家は無税となった。


 その結果、南の勢力は一気に整った。

 そんな中



「シャオ様に許可は?」

「今回はウェインの部隊が故郷に戻るという話だ。大仰しい許可はいらん。今回はそれだけの話だからな」


 軍は話し合いをしていた。

「……」

 ウェインはいつものように黙っている。


「南方への展開はタイミングが全て。ウェイン、頼んだぞ」


「……」頷くが少し不満そうにしている。


「……不満か?」

 意外な顔でリジンジョウが聞くと

 ジェッシャーで答える


「……ああ。シャオ様にはちゃんと話をしろ? まあ実際に行くお主は気にするか。分かった。話をしておこう」


 一方でザンリは怪訝そうな顔で周囲を見る。

「一ついいっすか?」

「ああ」


「ソンケワンは?」

 リジンジョウはいつもの口調で


「南方に敵兵がいなくなったから、勝手に河を渡り敵兵を食らってる」



「キャハハハハハハハハッッッ!!! 敵だぁぁぁ!!!!」

 ソンケワンは親衛隊100名だけ連れて河を渡り、清兵を殺し回っていた。


「新鮮な血肉じゃないと若返らないんだよ!!! 食わせろぉぉぉ!!!」


 そう言って突撃するソンケワン。


 まさか少数で襲ってくるとは思わず油断していた清兵は戦いにならず、引き揚げる事になった。



 ソンケワンが暴れた場所はショウサから真っ直ぐ北に行き、河を挟んだバレルという駐屯地。


 そこに住民は殆どおらず、兵は引き揚げても大きな影響はない。


 問題は



「バレルを奪われるのは重大すぎます。北部の中央部の食糧庫であるゼンラウ地方がいつ蹂躙されるか」


 清国にとっては重大な問題。

 北方で一番作物が豊かなゼンラウ地方が荒らされるかもしれない。


「事前に食糧を引き揚げるか、撃退するか」

 王の問いかけに


「ここは撃退しかありません。リョウンを占拠しようと出撃した部隊をそのまま当てましょう」

 ラムダが発言する。

「ラムダの通りです。ここを奪われたままでは戦いになりません」


 その言葉に王は頷き

「では奪い返せ。反乱も相継いでいる。ゼンウラが奪われれば、苦境だ、すぐに動け」

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