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私に父親なんていなかったということにしよう

 私に父親はいなかった。

 そう言うことにしよう。


 そう思いたいぐらいの衝撃的なメッセージを伝えられたその日の夜。


 ベッドにヤン様が半泣きでいました。


「しゃおーーー」

 いや、ここ私のベッドですよ? ヤン様。


「どうされましたか? ヤン様」

「シャオに甘えたかったのにぃ、シャオがいないー!」

 そう言って泣くヤン様。


 いやいや。

「すみません、少し打ち合わせがありまして」

「うぅぅ……シャオ。今日も一緒に寝よう?」


 最近は毎日寝ているのだが、なんというか。

 甘える、というか……なんだろう?

 なんか手つきが……


「お兄様が、もう精通もしたんだから毎日シャオと寝ろって」

 精通。


「え!? も、もうですか!?」

「うん! こっちに着てからだけどね」

 なんという。だからあんなに顔真っ赤かになったりしてたのか。


「うん! だから寝よう!」

 待って。多分なんだけど。


「ヤン様。レン様に『一緒に寝てる』とお伝えしたんですか?」

「うんっ! そうしたらお兄様、嬉しそうな顔をして、そうしたら毎日しなさい、って……」


 うん。『寝る』の意味がすれ違ってる。


「……まあ、寝ますか」

 わざわざ解説しなくていいです。

 とりあえず寝ましょう。私も凄い変なこと言われて疲れた。


 まあ、でもだ。あの人たちの行動原理は分かった。それだけでよしとしましょう。



 夜。寝れない。

 何故ならば

「しゃおーー♪」

 ヤン様が胸に顔をうずめてるからである。


 今までは「無邪気だなー、子供だなー」だったのだが、精通したと聞くと色々違う。


 なんか動きが怪しく感じるし。

 うん。


「あ、あのですね? ヤン様。そんなにモゾモゾされると、寝れないのですが……」

「えー。 僕は寝れそう♪」

 そう言ってまたぎゅーっと……


「……もう」

 仕方ないな、という感じで頭を撫でていると

「……僕は王位継承権も無かったし、王族の教育なんてされてないし」

 突然、話始めるヤン様。


「お兄様のご期待にお応えしたいけど、僕はそんな器じゃない。現にお兄様の仰ってることが半分も分からない。シャオ。僕は辛いよ……」


 ヤン様はそのまま胸に顔をうずめたまま寝た。



 翌朝。やっばり服は脱がされてました。

 直接胸にめり込んで、幸せそうな顔をしているヤン様。


 なんというか。物凄い中途半端な時期なんだろうなぁ。

 子供として甘えたいのと、女性として見てしまう思いが複雑にこんがらがってこうなってる。


 でもなぁ。


 ぴよぴよとの訓練の時間。

 なのだが

「ねえねえ、ピヨピヨ。こんな生活してたら気狂うと思うんだけど」

 相談。なのだが、ピヨピヨは目を釣り上げてる。


「私はピヨピヨではありません」

「愛称」

「違います」


 ピヨピヨがつれない。


「だってさぁ。精通したばっかの10歳だよ? 甘えたい&エッチしたいが混ざって滅茶苦茶じゃん。私これ毎日とか死ぬよ? 絶対」


「……ヤン様のは見られました?」

 ヤン様の?


 首を傾げると

「后候補に正式になられたのです。一度見られると良いかと。レン様が申すには……」

 申すには?


「届かないんじゃないか? と」



 =====================


「敗戦の責任は重く受け止めております。どのような責任もとるつもりです」

 清国の将軍ラムダはいつもの飄々とした態度で言う。


 ラムダの進言は王により取り上げられたが、引き揚げの最中に襲われたのだ。


「そうです! ラムダの責任は重い!」

「下手に動かず籠城していればこのようなことには!」

 他の将軍達の意見が出るが


「籠城か。籠城戦の基本は援軍がくることだぞ? 援軍を出すつもりだったのか?」

 王の言葉に意見を出していた将軍は黙る。


「ラムダ。基本的にはお主が正しかったのだ。今回は儂の決断が遅過ぎた。籠城しようが結果は一緒よ。それよりも今後だ。奴らはどうでる? 我等はどう討つべきだ」


 その問いにラムダは

「守るか、攻めるか。どちらにせよリョウン地方が問題です。あそこが空白地なのが最大の問題。あそこに兵を繰り出せば、我等は食糧を大きく失い、山道で疲れ果てた兵士達を、万全の体制でジュウレンで待ち構える南西軍にやられる。守る場合、リョウンに接しているあらゆる土地を警戒しないといけない。奴らに行く道はジュウレンしかありませんが、我等に行く道は無限にある。その為にもリョウンに植民すべきです。リョウンを抑えておけば守るのはリョウンだけになる」


「植民? 今からか?」

 王は驚くように言うが

「長期戦を覚悟すべきです。今までが酷すぎただけです。ここから先が200年続いた王朝の本気ですよ」


 ======================

「シャオ様に遺言を伝えた」

 リジンジョウは、ソンケワン、ウェイン、ザンリを集め話をする。


「へえ? なんだって?」

 ソンケワンは楽しそうに聞くと


「『はあっ!?』だそうだ」

「そらそうっすよ。そんな事言われてもねぇ。まあ答えはウェインの顔に書いてはあるんだけどさ」


「……」ウェインは黙って反応しない。


「それでも我等のやることは変わらん。殺して、殺して、殺し尽くすだけだ。満賊をな」


「んで? 次の手は? どうするっす?」

 ザンリの問いかけに、リジンジョウは地図を指指し


「南方を固めた今こそリョウンの再興だ。トハンに残った兵と住民を繰り出す。南方が抑えられた以上、ラムダは絶対にリョウン占拠に動く。そこを叩き潰す」


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