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入学という名の戦


ビシュベル王国には、国王陛下に忠誠を誓う王国騎士団の他に、第一王子のみに与えられた青騎士団の枠がある。


皇太子殿下に忠誠を誓う親衛騎士になりえる人材が集まる青騎士団。

騎士団と名があるからには武に長けている集いなのだが、一番は信用にたる人物を見つけること。だから武が劣っていても知識が豊富で弁がたつ者も王のそばに立つものとして選ばれる。


その人選は全て皇太子殿下に委ねられる。

青騎士になれることは光栄であり、時期王国騎士という将来が確約される。


そういった背景から国には優秀なものが多く、ビシュベル王国は侵略が難しい国として有名である。



そして今日から、その人選においてここにいる全てのものに殿下へのアピール期間が与えられる。

チャンスはこの二年。より多くを学び上を目指したいと願う者ばかりに感じる。



「本日は私達新入生のためにこのような式を開いていただきありがとうございます。……」



殿下が新入生代表のあいさつをしている。

何をしてもあの方は完璧で、たまに人間なのか疑ってしまう。


ふと横を見ると銀に蒼のカブスボタンが目に入る。

よく見知った顔なのに今日はどこか誇らしげで、なんとなく私も微笑みが溢れてしまう。

片側に寄せて結ってある深い緑の髪がサラリと動く、眼鏡の奥に見える、心まで見透かされそうな黒い瞳。



「前見てください。」


「わかっているわ。」



何事もなかったかのように視線を殿下のいる壇上へ向ける。

ユーリだけじゃない、私も浮かれているんだと思う。自分のカフスボタンを軽く握って前を向く。



小声でやり合っていたけどやっぱり少し煩かったみたいで、ユーリとは反対側の隣の席の人に睨まれるような視線を少し感じる。


少し視線を動かせば小動物みたいな子も間違いなくカフスボタンをつけている。

視線に気づかれたみたい。そっと壇上へ視線を戻す。……睨んでるお顔まで可愛い。なんて男の人には失礼かしら?

あとで名前聞こう。




「…………以上。新入生代表ユリウス・デック・リュグナルト。」



なんてどうでも良いことばかり考えていたら殿下の挨拶が終わっていた。絶対、話聞いてないのバレてるだろうな〜。

彼は目も耳もいいからね。


それから少しして閉会し、まずは各々のクラスで簡単な学園の説明があるって話だった。



ガヤガヤとしている廊下が私達の登場と共に静けさの波が広がり、道が開かれる。

銀に蒼のカフスボタンは青騎士の証拠。

この学園において、一番の憧れとなるもの。



先ほど座っていた席は特等席。

横並びにいたこちらの二人も間違いなく青騎士。

名しか知らなかったけど、噂に違わぬ美貌の二人ね。



殿下を囲うようにして辿り着いたのはAⅠクラスの前だった。

伝統的に同い年の青騎士は殿下と同じクラスとされる。

伝統といえ当たり前だと思う。護衛なのに別クラスでは意味ないし、何より殿下の近くにいて問題ない程の学力、武力、魔力が有れば当然同じクラス。



そう、このAⅠクラスは入学時点においてある程度力を認められた人。だからと言って油断なんてできない。

中に入ってクラスメイトを見渡せば分かる。なにかしらの成果が見えればここにいる人はあっという間に入れ替わる。

弱肉強食。誰もが強い眼差しを持つ、明日は我が身だわ。



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