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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第12章 王宮書記官の旅6 真暦1498年2月
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7.疑念

「なあ、ちょっと聞いていいか?」

 ジャニィは、肩を落として俯く王子に問いかけた。

「その『王家の紋章』って、幾つあるんだ?」

「幾つって……父のを除けば、一つしかないよ。失くしちゃったけど……」

 相変わらず王子は落胆の表情だ。

「一つってことは、ある意味、お前専用の紋章だったってことか?」

「うーん……ちょっと違うかな。僕専用じゃなくて、僕の代には一つなんだよ。僕が紋章に言葉を刻んで王になれば、そのときに僕の血を注ぎ込んで、次の代のために新しいのが作られるはずだよ」

 なるほど! ジャニィは一つ納得して次の質問をした。


「じゃあさ、その紋章に言葉を刻む『真王の証』の儀式って、誰がやってもいいのか?」

「えっ? 誰がって? どういうこと?」

 王子には、ジャニィの言っていることが良く分からなかった。

「そうだな、例えば……俺がお前から紋章を奪い取って、そこに言葉を刻むとか」

 王子は、そこで理解したのか、少し考える仕草をした。

「うーん……それは無理なんじゃないかな?」

「なんでだ?」

「紋章に文字を刻めるのは、王族だけって聞いたことがあるよ」

「そうなのか! じゃあ、どうやって刻むんだよ?」

「幻導力で念を送る感じかな、刻むというより焼き付けるって言った方が近いかもね」

「なるほど! じゃあ、王族以外がやっても焼き付かないってことだよな」

「まあ、そういうことになるね。でも、なんで?」

 王子が、率直に疑問を投げかけた。

「ああ、ちょっと気になることがあってな」

 ジャニィは、そこで手帳を取り出すと、今までのやり取りを簡単に書きとめた。


「ちなみにだが、もしお前が紋章に言葉を刻む前に死んだ場合はどうなるんだ?」

「えー、何それー、変なこと言わないでよー」

 王子が、嫌な顔をして文句を垂れている。

「いや、真面目に聞いてるんだ。王位継承順ってどうなってるんだ? 俺はヴォーアムの出身じゃないから、その辺をあまり気にしたことがなかったからさ」

 ジャニィが、真剣な面持ちで質問すると、王子は渋々答えた。

「うーん……僕は一人っ子だからね。たぶん僕が死んだら、今のところ年齢的にもシンクフォイルじゃないかな?」


 やはり! ジャニィは、そこで答えに辿り着いたような気がした。


「なあ、王子、ついでにもう一ついいか?」

 王子は「うん」と頷いた。

「お前さ、民のために一刻も早く王になる。とか言ったことあるか?」

「えええー、ないよ! 僕なんてまだまだだから、父にはずっと元気でいてもらわないと、って思ってるくらいだよ」

 王子は、恥ずかしげもなく言った。

「だよな! 言わないよな!」

 ジャニィは、軽く笑い飛ばした。

「えー、なにそれー」

 王子が、頬を膨らませるのを尻目に、ジャニィは焼け跡の方へ歩いて行った。

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