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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第12章 王宮書記官の旅6 真暦1498年2月
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5.聴取

 ジャニィは、小屋に入ると、左手にあった椅子を持って、王子のいるベッドの脇まで向かった。そして、そこに椅子を置いて腰かけた。

「お前、王子だよな?」

 ジャニィは、敢えて冗談交じりの口調で言ってみた。

 王子は、状況を理解できないのか、ポカンとしている。

「おい、聞いてるか?」

 ジャニィが、重ねて質問すると、やっと王子は答えた。

「えっ、ああ、聞いてるよ……でも、なんでジャニィがここにいるの?」


 ジャニィは、呆れた表情になり、そこで、一度背伸びをした。


「それは、こっちが聞きたいねー、なんで、お前がここにいるんだよ。祭事長の話じゃ、『真王の証』を得る旅に出たってことになってたぞ」

 王子は、それを聞くと、何かを思い出したようだった。

「祭事長? マスケスに会ったの?」

「ああ、会ったぞ。ここへ来る前に街道でな。なんでも、アルバの遺体を王宮に持ち帰って病の研究をするとか……」

「えっ、ちょっと待って! アルバの遺体って? どういうこと?」

「うん? お前……ここに居て知らないのか? 流行り病でボーモンティア様とアルバが死んだって言ってたぞ。祭事長は」

「そんな! アルバが死んだなんて」

 王子は、嘘だと言わんばかりだ。

「まあな、あの若さで死んじまったらな……そうか、お前は仲が良かったもんな、アルバとは」

「そうだよ! アルバが死んだなんて信じられないよ……」

 王子は、悲痛な顔をしていた。

 ジャニィは、王子の肩に手を置いて、仕方ないこともあるだろうと慰めてやった。

「で、お前は、なんでここにいるんだ」

 ジャニィが、質問を振り出しに戻した。


「僕は……」

 王子は、必死で思い出そうとしているようだ。

「僕は、確かに『真王の証』を得る旅に出た。いや、出ようとしていたらマスケスが来たんだ」

「ほう」ジャニィが、合いの手を入れた。

「そしたら、マスケスがシュラバリー家に行くって言うから、ついでに乗せて行ってあげるって言って……」

「それで」ジャニィが先を促す。

「うん、馬車で街道を走ってたら、凄い寒くてね、マスケスに仮面を借りたんだ」

「仮面? どういうことだ?」

「なんて言ってたかな? 『年輪の仮面』だっけかな? なんかオークの秘宝らしくてね、その仮面を被って、昔のことを思い出すと体が温まるんだ」

「体が温まる? 不思議な仮面だな……」ジャニィがいぶかしんだ。

「そうだね。でもマスケスなら、そういうのを持ってても不思議じゃないじゃん」

「まあ、確かにな」ジャニィは少しだけ納得した。

「で、お前はその仮面を被ったんだな? その後はどうした?」

 ジャニィの尋問が続く。

「被ったよ。で、その後は……体が本当に暖かくなって……そのまま眠ってしまったんだと思う」

 王子は、その辺りまで言うと首を捻った。

「思う? 覚えてないのか?」

「うん、たぶん眠ってたんだと思うよ。で、さっき起きたら、いきなりジャニィが現れてびっくりしたんだから」

「お前は……どんだけ寝てんだよ?」

 ジャニィは、呆れていた。

「知らないよ! 寝てたんだからさ」

 王子は、少し膨れっ面になって続けた。

「で、ここはいったいどこなの?」

「うん? シュラバリーの屋敷だと思うぞ。いや、焼け落ちていて屋敷はないから、屋敷跡かな?」

 ジャニィが、そう言うと、思い出したかのように、王子はまた窓から身を乗り出していた。

「おい、危ないぞ」

 ジャニィは、王子の腰の辺りを掴んで引き戻そうとした。

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