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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第一〇章 王宮書記官の旅5(真歴一四九八年二月)
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8.痕跡

 ジャニィと王子は半日を掛けて焼け跡を調べて回った。

 途中何度か王子が根を上げていたが、ジャニィは徹底的に調べて回った。

 だが、どんなに調べても人骨らしいものは見つからなかった。

 燃え尽きて灰になってしまっている可能性もあったが、ジャニィには、そうは思えなかった。


「よしっ! これくらいにするか」

 ジャニィが王子に声を掛けると、煤で顔を真っ黒にした王子が安堵の表情を見せた。

「そうしよう! もう疲れたよ、ジャニィ」

 王子は、その場に座り込んでしまった。

「ねえ、これだけ探しても見つからないってことは、やっぱ、シンクフォイルは生きてるんだよね?」

 王子が座ったままの体制でジャニィに質問した。

「だろうな。もしくは、骨まで残らず灰になってるかだな」

 ジャニィがいたずらっぽく言うと、王子がまた不満をもらした。

「そんな、怖いこと言わないでよー、で、どうすんの? これから?」


 ジャニィが辺りを見回すと、西の空に微かな夕焼けが見えた。


「そうだな、今日はもう晩いから、さっきの小屋で一泊するか」

 ジャニィは座り込む王子に手を差し出した。

 王子はジャニィの手を取り、ジャニィに引っ張ってもらいながら立ち上がった。


「しかし、真っ黒だな、お前」

 ジャニィが王子の顔を指摘すると、王子もジャニィの顔が真っ黒だ、と言い返した。

 そうして、二人はトボトボと小屋へ向って歩いて行った。

「そいえば、小屋の横に井戸があったよね?」

 王子は、そう言うと、真っ先に走り出した。

「ジャニィ、僕が先に使うからね!」


 ジャニィは無邪気に走り出した王子の背中を見ていた。


 一通り煤を払い、小屋に戻ると空腹が襲ってきた。

 ジャニィは馬車の中に食料があることを思い出し、それを王子に取りに行かせた。

 その間、ジャニィは暖炉に薪をくべて、火を起こしておいた。

 冬の寒さが暖炉の炎で緩和され、小屋は居心地の良い空間になっていた。


「ねえ! ジャニィ! なんで、あんなに食料があるの?」

 小屋に戻ると、開口一番に王子が言った。


 ジャニィは、任務のことを王子に話してしまうか迷っていたが、この状況なら構わないだろうと思った。

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