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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第一章 幻真の剣(真歴一四九八年八月)
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4.死体

「一度その村人の死体を見れないか?」

「死体を、ですか? なぜ?」

「どのようにやられたかを見れば、魔物の攻撃方法も分かる。いくら剣術を心得ていても未知のものへ無策で突撃するほどバカじゃない」王子は冷静だった。

「そういうものですか? わかりました。死体は畑の納屋に置いてあります」

「では、案内をお願いしたい」王子が立ち上がり扉の方へ歩き出すと、幻導師が言った。

「待ってください。案内するのは構いませんが、死体にはまだ幻導力が残っています」

「うん? さっきの揺らめきか?」王子は振り返る。

「そうです。ですから今は危険です。未知のものですからね」幻導師は先ほどの王子の言葉を引用した。

「では、どうすれば?」王子は尋ねた。

「まずは、この家の裏手の森へ行って大ぶりの枝を何本か取ってきてください」

「枝? なんのために?」

「剣を作ります」

「剣? 木刀か? 剣なら持っているぞ。これではダメなのか?」

 王子は腰から下げている銅の剣を抜き幻導師の顔へ切っ先を向けた。

「ダメですね」幻導師は仰け反りながらもきっぱりと言った。

「幻導力を断ち切るには、幻真の剣が必要です。木の枝からその幻真の剣を作ります。私の幻導力でね」

「この家の裏手だな。分かった。では取ってこよう」王子は剣を鞘にしまいつつ扉へ向かった。「気をつけてくださいね。森の木々は簡単には枝をくれませんよ」後ろで幻導師が不思議なことを言っているのが聞こえた。


 王子は幻導師の家の外に出た。

 右手にはこの村へ入って来た門がある。左手には別の出入り口があり、村と畑をつないでいる道へと続いている。

 畑側から回った方が近いか? 王子は左側の出入り口へ向かって歩きだした。


 村の出入り口まで来ると、畦道の前方右側に小さな納屋があるのが見えた。

 あれが幻導師が言っていた死体の納屋だな?

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