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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第1章 幻真の剣 真暦1498年8月
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9.更なる魔物

「きゃー、魔物よー」

 王子は慌てて納屋の外に飛び出した。

 あぜ道の奥、畑の方からこちらに向かって、一目散に走ってくる女がいる。

 みるみるうちにこちらに近づいてくると、女は衝突するかのような勢いで王子に飛びつき、その腕を強く掴んだ。

「魔物よ。魔物が出たの。畑に。どうしよう。助けてちょうだい」

 息を切らしながらそこまで言うと女は地面に座り込んだ。

「わかった、落ち着け」王子は屈み込んで女の目を見て言った。

「魔物が出たのはどのあたりだ?」

「畑よ、畑で収穫の準備をしていたら、茂みの中からこっちを見ている魔物がいたの。驚いてカゴを落としてしまったら、魔物が出てきたから、一目散に走って逃げてきたの」

「そうか、その後、魔物はどうした?」

「わからない、追ってこなかったから逃げたのかもしれないわ」

 女は少し落ち着いたようだが瞳を濡らしている。

「そうか、私が見に行こう。ただ一つお願いを聞いてくれないか?」王子は立ち上がり、女の手を取って立つのを促した。

「納屋に幻導師がいる。昨日の犠牲者を見て困惑している。ひとまず、家まで連れて帰ってくれないか?」

 王子はそうお願いすると、納屋の中の幻導師を覗き込んだ。

「わかったか? 家まで連れて行ってもらえ!」

「……」幻導師の返事はなかった。


 王子は魔物が出たという畑へ向かった。

 そして、土の上に転がる編みカゴと、散乱した農作物の周辺を注視したが、動く影は見当たらなかった。

 もう少し先の方まで、探すべきか。

 王子は、あぜ道を東へ進んだ。


 あぜ道の両側には畑が続いていた。

 かなりの距離を歩いたが、魔物の姿はどこにも見当たらなかった。

 途方に暮れてあたりを見回すと、遠くに橋が見えた。

 橋か、川向こうの隣村があるとすれば、あの橋の向こうか。

 王子は昨日幻導師から聞いた隣村のことを思い出していた。

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