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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第12章 王宮書記官の旅6 真暦1498年2月
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12.追跡

「なあ、今の聞いてたか?」

 ジャニィは、王子に話しかけた。

「うん、薬草を取ってきてくれたってことだよね?」

「ああ、シンクフォイルなら、村人の手助けとかやりそうだよな」

 ジャニィは、家の中へ戻っていく老婆の後ろ姿を目で追っていた。

「でもなぁ、見た目の特徴がシンクフォイルじゃないんだよな?」

「そうだね。どういうことだろう? 別の旅人なのかな?」

 ジャニィは、今しがた老婆に見せていた、シンクフォイルの顔を描いたスケッチに目を落としていた。

「分からん? でも、街道を北に進んで最初の村はここだよな?」

「そうだね。ジャニィが道を間違えてなければだけど」

 王子が、ジャニィを横目で見ながら、チクりと皮肉のようなことを言った。

「間違わないだろ? ほとんど一本道だぜ」

 ジャニィは、手帳を閉じると、客車の扉を開けた。

「よし、じゃあ、もう少し先に行ってみるか?」

 ジャニィは、王子に向かって言った。

「えー、まだ僕が運転するの? 御者席は寒いんだけど……」

 王子は、ジャニィの言葉に頬を膨らませた。

「次の村に着いたら、交代してやるから、それを着て我慢しろよ」

 ジャニィは、客車に置いてあったコートと帽子を王子に渡してやった。


 ――


「へへー、どう? 風天の御者って感じじゃない?」

 そう言うと、王子は、帽子を目深に被って、ポーズを決めた。

「はっ? なんだよそれ?」

「えええ!! ジャニィ知らないの? 南ヴォーアムの英雄だよ!」

「知らねーよ! ってか、なんで御者が英雄なんだよ!」

「えっ? ホントに知らないの? じゃあ、雨天の執事は? 晴天の庭師は? そうだ! 雪天の家政婦はね……」

 王子の南ヴォーアム話に火を点けてしまったと、ジャニィは、少しだけ後悔した。


 ジャニィは、馬車の中で、地図を広げていた。

「おい、ダムイの村は、そこを右だぞ!」

 ジャニィは、大声で客車の外で手綱を握る王子に向けて言った。

「ここを、右でさぁ、へい」

「うん? なんだ? その喋り方は?」

 ジャニィは、顔を上げた。

「南ヴォーアムの訛りだよ。御者っぽくない?」

 王子は、笑いながら言うと、馬車を右折させた。

「そうなのか? 俺はヴォーアム出身じゃないから分からないが……まあ、確かに御者っぽいな」

「でしょ!」

 王子は、嬉しそうに言うと、振り返り、背後にある客車の窓を覗き込んだ。

「うわ! お前! 危ないだろ! ちゃんと前を見とけよ!」

 そんな王子をジャニィが注意すると、王子はおどけたまま御者を続けた。

「へい、ちゃんと見てまさぁ。スピードを上げるんでお気をつけなしぃ」


 ジャニィの馬車はガタゴト揺れる。


 こうして、ジャニィと王子のシンクフォイル追跡の旅が始まった。

 しかし、ジャニィたちには、この時のシンクフォイルの姿が、王子そのものであることを、知る由もなかった。

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