招待状
グダグダ(´・ω・`)
興味を持ってくれて感謝します(^^;)
早いもので、あの儀式の日から環境は激変した…とまではいかず、少々忙しい日々を送りつつも変わらない日常を過ごしていた。
なんと驚くことにあの日精霊の恩恵を授かったのは私だけではなく、私の後に儀式を受けたシーアも愛し子となったのだ。
シーアの話によれば、水晶は強い月白色を放ったそうで、月白色は"生"の精霊を表す。
つまり、シーアは生の精霊の恩恵を受けた愛し子。
名をシンシア=レイ=ロストウェルとなったようである。また、私達は他にも強めの光を持っていたらしくシンシアはLv4の光、私はLv4の闇加護持ちでもあるらしい…チートかよぉ…
「私達が転生者だからチートが発生したのかしら。いい迷惑だわ」
「全くですわね!」
生の魔法はあらゆるものを癒し、生きる力を与える。光魔法は魔を浄化する。
守の魔法は強固な結界を作り、闇魔法はあらゆるものから魔力を吸収する。
それだけでもチート満載なのに、生と守の精霊の恩恵持ちなんてレア中のレアだ。
ただでさえその二種の魔法は、使えるものがここ数百年現れなかったのに…
「淑女教育の他に魔法学が加わりましたもの…」
「私もよ。家庭教師を呼んだのは良いけれど、生と守の魔法は伝説級の魔法。当然使い方なんて教えられる訳在りませんもの」
「でも、やめる気はないのですが」
「まぁ、学ぶことは嫌いではないですもの…それにお兄様達が頑張っているのに、私達が根をあげるなんてあり得ませんわ」
「ええ、本当に…」
「あっシーア、これ美味しいですわよ!」
「ありがとうございます」
カインズロッド家の所有する山の中、小高い岡にある花畑でのんびり過ごすのが今のお気に入りの時間だ。
我が領は農作物が盛んで緑豊か。
因みにロストウェル家は貿易が盛んらしい。
ふわりと風が吹くと色とりどりの花弁が舞うのが美しい。大きな木の下にシートを敷いて、バスケットやティーセットでお茶をしたり教科書等を持ち込んで二人で勉強したりするのが楽しい。
いかに家のものに気づかれずにここへ来るかが最近の課題である。怒られるけど
「クッキー美味しい!」
「シフォンケーキも最高ね!やっぱりシーアもお願いした?」
「料理長にね。この世界、ご飯は美味しいのにお菓子とかの種類少なすぎるんだもの…」
「ねー、ぁ」
ピクリ、とカップを持つ指が震えた。
「ティナ?」
「…魔獣」
「!」
微かに感じる。
以外と近い
「近いの?」
「ん、…」
最近、維持時間を伸ばすため、そして魔法に慣れるために山に来るとき領全体に結界を張るようにしている。
基本魔獣が侵入した際はカインズロッドに使えてくれる魔術師や騎士が退けてくれるが、私がここに来るときは練習も兼ねてやらせてもらっているのだ。…何れ、張り続けたまま日常を送れるようになるのが目標である。
「便利だなー、結界」
「まだまだ練習中だけど…」
張った結界に体当たりしてるのを感じる。
諦めずに何度も何度も
魔獣は滅多に山から降りてこないが、降りてきて人とはち会うと人を襲う。
「文献では結界にもいろいろな種類があるらしいから、早く出来るようになりたいな」
「ティナならすぐだよ。だって、もうこんな立派な結界を張れるんだもの!凄いわ」
「まぁ。シーアも治癒の練習してるんでしょう?お兄様にルシード様が自慢してたわ」
「ええっ!…でも、シダルタ様もお兄様に自慢してましたわ?」
「ほんとっ」
一瞬間を置いて、笑う。
嬉しい。とても嬉しい
お兄様達が誉めてくれるならば、まだまだ頑張れる。
「精進しなければ…」
「お互いに、ね?」
お兄様の誇れる妹であるために…
「ん、諦めたかな?」
「魔獣…怖いなぁ。まだ実際に見たことないもの…」
「ドラゴンもいるって聞いたわ。あったらぺしゃんこね」
「七歳にドラゴン…終わりだわ」
「ねぇー…」
ティナはそっと地面に片手を当てて小さく"セリア"と呟いた。瞬間、自分の体から緩やかに魔力が抜けるのを感じた。
それは地面を通り、少しだけ傷ついた結界を修復する。
「そろそろ帰りましょうか」
「そうね、みんなが心配しちゃうわ」
「やめる気ないけどね」
「ふふっ」
穏やかな日々
優しい毎日
でも、周りは放っておいてくれないみたいだ
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