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「ねぇシーア。ルシード様はどのようなご様子なの?」
「ルシーお兄様?」
協会に着くと、儀式開始までまだ時間があるため、各々好きに過ごしていた。
平民と貴族で儀式が行われる協会は別れているため、ここにいる子供達は皆貴族の御子息、御令嬢方ばかりである。
「とても忙しそうですわ。でも、とても楽しそう」
シンシアの兄、ルシード様はシータお兄様と同じ愛し子である。
ルシード=ナギ=ロフトウェル
【土】の精霊の恩恵を受けた愛し子。
「授かった魔力の制御や使い方を学んでますの。とても大変そうですけど、楽しいのだと仰ってます」
お兄様が笑って下さるなら、私も嬉しいです。そう言って、シーアは笑った。
それにつられるように、ティナも笑い返した。
「シダルタ様はどうですの?」
「同じですわ。とっても楽しそうなの」
愛し子は滅多に現れないと言われる貴重な人材で、その育成にはとても力が入れられる。
国からの援助もあると言う。
しかし大公爵家の当主たる二家は、大切な息子達に無理強いはしなかった。
たとえ愛し子だろうと、好きに延び延びと育てば良いと。
その父を始め家族の思いを知っている兄達は、自ら学ぶ事を選んだ。
愛しい家族や救うべき領民を守りたいと。その為の力を手にしたのなら、それを伸ばしていきたいのだと…
今は専属の魔術教師を招いて勉強に励んでいる。
そして時々幼馴染たるルシードとシダルタは共に修行と称して庭や山で魔法の特訓をしているらしい。まだ私達はそれを目にすることは許されていないため、あまりに訪ねる私に苦笑したお父様の教えてくれた情報だが。
「確か、お兄様方と共に愛し子として恩恵を受けた方々は、宰相様、騎士団長様、魔術師長様、国王様の御子息方でしたわよね?」
「そう聞き及んでますわ。それだけしか知りませんが…」
正直名前も知らない方達である。
全く興味の欠片もないから気にしたこと無かった。
「でも、儀式…かぁ(ぼそ」
「これぞファンタジー!って感じね!私、凄く楽しみだったの…(こそっ」
お互い顔を見合わせ、クスクス笑う。
今日儀式を終えれば大なり小なり魔力を授かる。
魔力を使えば魔法が使える
とても楽しみだ。
そうこうしているうちに教祖様が現れ、席について話を聞いた。
七つを迎えた祝辞と、精霊の説明など…そして、あなた方に精霊の祝福を。と
「…ドキドキするわ」
「ええ…」
次々名前を呼ばれ、部屋へ呼ばれていくのを見ながら二人で手を繋いで待機した。
私達は、どの精霊の力を授かるのかと…期待と不安を胸に、その時を待ったーー…
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