その9"脱出"
「どうなった?」
周りは薄暗く状況がわからない
(周りが違っているから、どこかに転移したのか?)
少し間があったが、目的を思い出す
「そうだ、ユーリカ姫!」
周りを見渡しながらユーリカ姫の名を叫んだ
「その声は、カガミ?」
「あぁ、今行くから待ってて」
声のする方へ歩く
返事があったがユーリカ姫の声ではなかった
しかしここにいるなら
何かしらは知っていると思った
(この声、聞き覚えがあるような)
ここである魔法を思い出す
「[暗視]ビジョン」
この魔法を唱えることで周りがはっきり見える
(どこだ?)
周りは体育館くらいの大きさの部屋?だった
声がした方を見ると、人影は2つあった
その人影に近づく
よく見るとユーリカ姫とクリティカだった
側に行き、[光球]ライトを唱える
周りに光があたり、2人が俺に気づく
「ユーリカ姫、クリティカ大丈夫か?」
「やっぱり、カガミなのね?」
「カガミさん?」
「私ですお怪我の方はないですか?」
「はい、大丈夫です」
「クリティカも大丈夫か?」
「ええ、大丈夫」
「2人とも無事で良かった」
2人の安否が確認できたので、本題に入る
「さて、どうやってここから出るか」
「そうね、それにしてもここはどこなのかしら?」
「月影、シリウスいるか?」
「「はい、ここに」」
(良かった、月影とシリウスはいるのか)
「とりあえず月影はクリティカを
シリウスはユーリカ姫を守ってくれ」
「了解」「わかりました」
それぞれ人の姿になり、2人の側に立つ
「だぶんだけど今回の目的はユーリカ姫よ」
「なんで、そう思う?」
「だって、魔方陣の中心にユーリカ姫がいたからよ
私は、その魔方陣の中に入っていたから
一緒に転移しちゃったのよ、だぶん」
クリティカと状況を整理する
「ユーリカ姫、大丈夫ですか?」
「大丈夫·····です」
ユーリカ姫は完全に怯えている
「1つ聞いて良い?
私たちが転移させられたのは一瞬の出来事だった
なのに、なんであなたは気づいたの?」
俺も気になっている事を聞いてきた
「俺もわからない
けど、なんとなくこの出来事が見えたんだ」
「私たちが転移させられる事が?
つまり未来を見たの?」
「わからない」
ほんの一瞬だったので自身も理解できなかった
「ユーリカ姫が目的なら主犯は誰だ?」
「わからないけど
今はここから出る事を考えましょう」
「そうだな
月影、シリウスなんかわかる?」
「一部の魔法を妨害する結界が
張られているので、調べられません」
「そうか、ありがとうシリウス」
(一部の魔法を妨害か、
でも[光球]ライトも[暗視]ビジョンも使えたな)
「[転移門]ゲート」
転移魔法を唱えるが何も起きなかった
(なるほど、ここから出すきはないか)
「とどまっていてもしょうがない
とりあえず、動きますか」
「そうね」
「あの·········大丈夫なんですか?」
不安そうにユーリカ姫が聞いてきた
「ご安心ください、私と私の眷獣が
命を懸けてお守りします」
ユーリカ姫は静かにうなずく
(と言ったは良いが、どこに向かえば良いのか)
[暗視]ビジョンで周りを見渡すと、先に扉があった
「では、行きましょう」
俺が先頭に立ちその後ろにユーリカ姫とクリティカ
さらにその後ろに月影とシリウスがいる
扉に向かっている時だった
「静かに!」
と、言って[光球]ライトを消す
「どうしたの?」
急に止まり魔法を解いたので
驚きながらクリティカは聞いてきた
「なにか聞こえたの?」
「人?」
「いいや、この音は人じゃない」
「魔物?魔獣?」
(魔物とか魔獣については、なにも知らないから
何とも言えないけど、恐らくそうだろう)
{月影、シリウスもし魔物や魔獣が来ても
クリティカとユーリカ姫を最優先で守って}
{{はい}}
すると、扉を突き破ってこちらに来てしまった
「なんだ?あれ、虎か?」
突き破てきたのは、虎のような魔物だった
クリティカも[暗視]ビジョンを唱え魔物を見つめる
「あれは、ブラッドダイガー、攻撃的な獣ね」
ブラッドダイガーもこちらを見ている
(さすが魔獣気づいてるか)
ブラッドダイガーは大きく吠えこっちに駆けてくる
「仕方ない、[電撃]ライトニング」
手をかざし魔法を唱える
俺の手から放たれた[電撃]ライトニングは
すぐさまブラッドダイガーに当たり
ブラッドダイガーは動かなくなった
そして[光球]ライトを唱え直した
「よし、進もう」
魔獣や魔物がいると分かれば
とどまっている方が危ない
突き破られた扉を進む
すると分かれ道になっていた
「どうしようか」
「カガミ[反響]エコーと言う魔法があるわ」
(なるほど音か)
「ありがとう、やってみるよ
[反響]エコー」
「どう?」
「あぁわかった
ここは何らかのダンジョンみたいだ」
俺の回答にクリティカとユーリカ姫は
少しは明るくなった
「あと、なんとなくだけど
わかった事がもう1つある」
「わかった事?」
クリティカは不思議そうに聞いてくる
「ユーリカ姫が目的ならこんな
魔物や魔獣がいるところに置いておくか?」
「まさか、犯人がいる?」
「恐らくだけど」
「じゃあ、より早くここから出ないと
それで?出口はどっちなの?」
「こっちだ」
再び進む
ふと、自分の個人証を見ると
称号の部分に
パストラル王国.侯爵と書いてあった
それに、スキルの部分で堕落+8が堕落+3になっていた
まだ先は長い、少しでも気が楽になるように
とりあえず話をしてみた
「今思ったんだけど、なんで侯爵なんだろうな?」
「さぁ?私もどの爵位が授与されるか
知らなかったから驚いたわ」
「ユーリカ姫はなにか聞いてる?」
ユーリカ姫が1番心配なので話をふってみた
「お父様が側近の者に提案したとき
すごく反対されていましたが
カガミさんなら大丈夫だと言って
押しきっていました」
「なんでそこまで信頼されているのか?」
「お父様は国王でありながら
お母様1人を愛しています
それに、子供は私だけですから
1番大切な人を救ってくれたからだと思います」
(ユーリカ姫の言い方だとこの世界は一夫多妻?)
「大切な人か·······まぁ2人とも助けられて
良かった」
「はい、本当に感謝します」
始めてユーリカ姫の笑顔を見た
その笑顔を見て俺も笑顔になる
そこから襲ってくる魔物や魔獣は全て倒し
時々休憩をとりながも先に進んでいた
「カガミあとどれくらい?」
疲れきった声でクリティカが聞いてきた
「[反響]エコーだとあと少し
この先の広い空間を抜けた先だと思う
ユーリカ姫あと少しなので頑張ってください」
「はい、ありがとうございます」
そして、広い空間に入った時だった
突然周りが明るくなった
「ようやく見つけたよ」
知らない声で言ってくる
声のする方には、誰かが立っている
「誰だ!」
クリティカとユーリカ姫の前に立ち
警戒しながら、叫んだ
「僕か?僕は、ホージィ.ルイス」
「ホージィ.ルイス?」
「なにか知っているのか?クリティカ」
「ルイス家は元パストラル王国の伯爵家よ
そして、ホージィ.ルイスは
ユーリカ王女の結婚相手の候補
だったんだけど、何度も無理に近づいたから
爵位を剥奪され王国を追放されたの」
「なるほど、それで?お前の目的はなんだ
犯人はお前なんだろう」
「目的?決まってるじゃないか
ユーリカを僕の者にする」
ホージィ.ルイスは狂気に満ちた声で言う
「お前にそんな事ができるのか?」
「もちろんできるさ、この力を使えば」
そう言うと、ホージィ.ルイスから
黒い煙が出てくる
「主、気をつけてください
彼から邪神の気配がします」
シリウスが警告してくる
「まったく、今日は災難な1日だ
月影、シリウス2人を任せた」
そう言って、ホージィ.ルイスに向かった
今回も読んで頂きありがとうございます
ホージィ.ルイスは何者なのか?
第1章も終盤です‼