その8"授与"
「さて、返事を貰おうか」
朝の約束どうり、夕食の時間になり
カサブランカ王が聞いてきた
「はい、今回のお話し
謹んでお受けいたします」
「そうか、助かる」
「ですが、1つだけお願いがあります」
「なんだ?」
「私のレベルとスキルは伏せてほしいのです」
「それは、良いが理由を聞いても良いかな?」
「理由としては
私のレベルとスキルが世間に知られると
色々と面倒な事になるかもしれないからです」
「なるほど、わかった
それで授与式は明日の昼頃行う予定だから
そのつもりで頼む」
「わかりました」
朝の一件が終わり、夕食が運ばれてきた
(今日は魚か、しかし何の魚だ?)
見た目は完全に、鮭だが匂いが違う
少し不安があったが、一思いに口に入れた
(なんだ?これ、鮭の見た目なのに
ブリの味がする、美味しいけど微妙な感じだな)
「どうですか?カガミさん」
ユーリカ王女が話しかけてきた
「とても、美味しいですね」
「それは、良かったです」
(ユーリカ王女が自分から話を始めるなんて
珍しいな、)
その時、カサブランカ王とメリー王妃が
少し驚いた様子だったがすぐに
ほっとした表情になった
それを見ていた俺は、なんとなくわかった
(ユーリカ王女の行動が親である
あの2人をほっとさせるということは
ユーリカ王女は、極度の人見知りなのかな?)
「カガミさんは、なんで旅をしているのでか?」
「旅の理由ですか、」
(そういえば、考えてなかった
ここは、仕方ない適当に言うか)
「自分を見つめ直すため·····ですかね」
「そうなのですね」
「ええ」
(確かユーリカ王女の歳は15
俺の思う異世界なら、
そろそろ大人として認められる歳か、
王族なら婚約とか結婚とかの話もあるだろうし
色々と大変なのかな?)
この後もユーリカ王女との会話が続いたが
1番驚いたのは、親であるカサブランカ王と
メリー王妃だった
あそこまで、驚いては、ほっとしての繰り返しは
見たことがない、ユーリカ王女はそこまで
人見知りということなのか?
次の日の朝、俺はポールさんに起こされ
新しい服を準備している
「採寸の方は終わりましたが
どのような服を用意いたしましょうか?」
「別になんでも良いですよ
目立たなければ」
「目立たない服ですか、わかりました
色の方はどうしましょう?」
「えっと、黒で」
「黒ですね、
それでは用意してきますので
少々お待ちください」
こうして、ポールさんは出ていった
数分後、ポールさんはリクエストどうり
あまり目立たない黒の服を持ってきた
「どうですか?」
「かなり、良いですよ」
俺が、着ているのは
黒のシャツにジーパンの様なもの
(これなら、あまり目立たないし動きやすい)
「そうですか、では授与式までお待ちください」
(服の用意もできたし、心の準備もバッチリ
後は授与式を待つだけだな)
「あっ、ポールさん
ある物を用意してほしいのですが」
「それでそのコートなの?」
扉の前で待っていたとき、クリティカが
聞いてきた
「良いだろ?このコート」
(一度は着てみたかったコート
我ながら、カッコいい)
「心の準備は良い?」
「正直まだだけど何とかなるでしょ」
「爵位を授与されるのに何とかなるは、ないでしょ」
「ははっ、そうか?
でもこんな会話をしてたら気が楽になった」
「こんなんで気が楽になるならいつでも相手になるわ」
クリティカと話をしていると
後ろの方から、声がしてきた
「カガミ殿、準備は良いかね?」
「カサブランカ王、大丈夫です」
「カガミさん、落ち着いてくださいね」
「ユーリカ王女も、ありがとうございます」
(さて、カサブランカ王たちも来たことだし
始まるのか)
そうしていると、前の扉が開き
外の景色が見えてくる
(何千いや何万人いるんだ?)
そこには数え切れないほどの多くの人達がいた
そして無くなることのない歓声に
埋め尽くされていた
(確かに王妃が目覚めたと聞けば
盛り上がるだろうが、ここまで集まるか?)
今までに経験のない状況のため、とても戸惑った
カサブランカ王たちは手を振っているが
俺は、ただ立っている事しかできなかった
(こんな状況になるとは思ってなかった)
そんな事を考えているとクリティカが魔法を唱えた
「[拡声]ボイス」
すると空中に魔方陣が浮かび上がり
カサブランカ王の口元にも魔方陣があった
そして、カサブランカ王が話し始める
「今回の事をまず謝罪させてくれ
私の妻、メリーの事で大きな心配をさせた
だがもう心配する事はない
先日、旅人カガミ殿のお陰で
メリーが目を覚ました
また、その方は
私の娘ユーリカの命も救ってくれた
その功績を称えて爵位を授与する
が、その前に2人から一言ずついってもらおう」
カサブランカ王が話しが終わった所で
メリー王妃が話す、がそんな場合じゃない
(一言ずつだと、何も考えてねぇ
ヤバい、何を言えば良いんだ?)
カサブランカ王の突然の言葉に、変な汗が出る
「···················私もカガミさんに感謝をします」
(やべぇ、メリー王妃の話が終わっちゃったよ
それに、考えていたせいでほとんど聞こえなかった)
「最後に、我らを救ってくれたカガミ殿から」
(やめて、カサブランカ王
我らを救ってくれたとか言わないで
どんだけハードル上げるの)
とうとう俺の前に魔方陣が来てしまった
(何かしら話さないと)
いつもならこうはならないが、
状況がいつもと違っているため
いつもどうりになれない
「えっと、こんにちは
この様な場にいることができて光栄です
また、王女様と王妃様をお助けできることができて
とても良かったです、ありがとうございました」
その時、観衆から大きい拍手の音が聞こた
(そんなすごい事は言ってないけど
とりあえず終わったのか?)
「続けて授与式に移る」
不安だったがカサブランカ王の言葉に
少し安心する
場所が変わり今は、王城の中にいる
「カガミ.セイト
私の娘ユーリカそして私の妻メリー
2人の命を救った行いは、
国王である私を救ってくれた事と
同等の働きである
よって、侯爵の爵位を与える」
(えっ、侯爵って
1番高い爵位じゃなかったっけ?)
今はカサブランカ王の前で膝をついていたが
俺だけでなくその場にいた全員が固まる
その状況を見てわかった
侯爵が与えられる事が前代未聞ということが
しかし王の決めたことのため
他の人達は何も言わなかった
「ここに新たな侯爵が生まれた
今後の行いにも期待する」
「は、はい今後もこの国のため·······!」
とっさの行動のため自分でもわからなかった
俺は全力でユーリカ姫の方へ走っていた
その瞬間、ユーリカ姫の足元に
魔方陣が現れた
「ユーリカ!」
俺は叫んだ、意味もわからず
(頼む、間に合ってくれ)
今回も読んで頂きありがとうございました
ユーリカ姫とカガミ君はどうなるのか?
書いてる僕自身も楽しみです