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ニートの異世界交響曲  作者: 田上武人
第3章 旅の始まり
25/27

その25"狩り"

鳥の鳴く音に起こされ、ゆっくりと体を起こす

冷たい空気が目覚め切っていない脳を刺激する

(すこし早いけど、支度しよう)

ユーリカとクリティカはまだ寝ている、寝顔を見ているのも良いが

ここは当初の目的である狩りに出る事にする。

食事の用意と言うのもあるが、第一の理由は剣の切れ味を知る事

完成してから一度も使ってないので使える時に使っとかないといざと言う時に困ってしまう。

この剣を作ったのはこの国でも名高い鍛冶師のゲースさんだから

凄まじい力を持っているのはわかるが、この目で見ないと納得がいかない。

困った性分だがそのほうか確証がもてる。

ここには強くてもランク赤の魔獣しかいないがちょうど良い。

支度と言っても準備する物はこれと言ってないのですぐ終わった。

ユーリカ達を月影達に任せ森の奥に進む。

この森にいる魔獣は比較的大人しいらしく、

縄張りに入らないかぎり魔獣の方から攻撃はしてこない、

にも関わらずランクが赤なのは・・・・

「グルルゥゥ」

この通り、いつのまにか縄張りに入っている事があり魔獣を怒らせるかららしい

今でくわしたのはジャイアントゴブリン、縄張り意識が強く入る者には容赦をしない魔物。

夜行性で朝になると巣で寝るはずだが、どうやら早起きしすぎたようだ。

「さて、悪いけど俺の実験に付き合ってくれ、[収納]ストレージ」

[収納]ストレージで剣を取り出し構える。

そこまで重くなくて振りやすい、それでいてリーチもある

初めて見た時よりもわかる、すごい剣だと

流石この国で随一の腕をもつゲースさん、俺の注文を全て取り入れてある。

(早く名前を考えないとな、どうしよう)

ジャイアントゴブリンの攻撃を避けながら名前を考える。

こいつは大振りな攻撃しかしてこず避けやすく隙が大きい

(名前、名前、う~ん・・・黒と白の剣、ん?黒と白?、色か!)

ジャイアントゴーレムから距離を取り、もう一本の白色の剣もとりだす。

「決めた!」

そう呟き二本の剣を振り下ろしながら名前を叫んだ、

「黒の剣・漆黒 白の剣・白磁」

巨体が倒れ大地が揺れる、

漆黒と白磁を腰の鞘に納め一息つく。

「ふぅ、今の揺れで二人が起きてなきゃ良いけど

 それより朝ご飯を調達しよう」

剣の切れ味を知りたかったがどうやらランク赤の魔物では本来の力は試せないらしい、

ゲースさんによればミスリルを多く含んだ白磁は魔力を流しやすく

いわゆる属性剣になるらしい、例えば火属性の魔力を流せば火剣になり

雷属性の魔力を流せば雷剣になる、と言う事。

無属性魔法の[付与]エンチャントを使えばミスリルが含まれてなくても属性は付くが、

脆くなりほとんど使い物にならないらしい

そのため[付与]エンチャントされている物にはミスリルが使われている、

値段が高く希少なのはこのため。

さらにミスリルの量でも魔力の伝導率は変わる

多くても少なくてもダメでバランスが取れているとき真の力を発揮するらしい

そして、一流の腕を持つゲースさんが作ったこの白磁は当然バランスが取れている、

それも国宝と言われてもおかしくない緻密性で。

その白磁を使えば様々な戦い方ができると思うだけで鳥肌が立つ。

脳筋思考と言うわけではないが、

とにかく漆黒と白磁が本気で振るえる日が待ち遠しいと思ってしまう。



手頃な動物を探し森を歩く俺は同じ景色の連続で飽きそうになっていた

すると、タイミングよく猪の群れが前を横切った

森を歩き回ってようやく見つけた獲物を逃すわけがなく追いかける。

普通の人なら追いつけるはずがない、

が追いかけているのはレベル107の超人、逃がすはずがない

追いかけているうちに森を抜け、森の西にある広い草原にでた

自分の事にも関わらず内心驚いている

レベルが107だとしても、ここまでの身体能力があった事に

3割程度の走りで猪に追いつく脚力に数分走り続けても疲れない体力

元から体力は人並みの半分も無かったし、

走っていたのは平らな道ではなく木々が倒れ足場の悪いでこぼこ道

そんな道のりを息切れせずにはしりきるなんてありえない

(追いかけ続けてようやく広い場所に出せた)

もちろん何も考えずに追いかけていたわけでは無い

[瞬間移動]テレポーテーションや地属性魔法を駆使し猪を誘導していた

猪突猛進と言う言葉があるように真っ直ぐ進む猪を誘導するのは簡単だった。

ここまでくれば後は楽な作業

[収納]ストレージで弓と矢を取り出し弓を構え矢を番える。

「絶対逃がさない、[捕捉]ロックオン」

新しい魔法[捕捉]ロックオンを使い狙いを定める

小さく息を吐き冷静になる獲物を仕留める事だけを考えて。

力強く引いていた弦をはなし、また新たな魔法を唱える

「[追尾]ホーミング」

放たれた矢は勢いよく[捕捉]ロックオンで捉えていた猪に向かって飛んでいく。

数秒後、矢が刺さり猪は倒れる。

残りの猪は引き返し森に消えて行った。

説明しておくと

[捕捉]ロックオンは対象に使うと自分を中心として一定の範囲で位置がわかると言う魔法

[追尾]ホーミングは[捕捉]ロックオンを使っている状態で使える魔法で

その名の通り対象を自動追尾する魔法。



「二人はまだ寝てるのかな?」

手っ取り早く[転移門]ゲートで戻ってきた俺は二人の様子を見に行こうとすると

クリティカがあくびをしながら話しかけてきた

寝起きなのかいつもの凛とした感じが無い

「おかえりなさい」

「起こしちゃった?」

「いいえ、さっき起きて、今着替えが終わった所よ

 ユーリカも着替えているわ」

「朝ご飯作るからちょっと待ってて」

朝ご飯を作ろうと調理台に立つとエプロン姿のユーリカが出てきた

「セイトさんは、座っててください

 今日は、わたしが作ります」

そう言うと調理台にはユーリカが立った

最初は心配したがユーリカの包丁さばきを見てその心配も無くなった

どうやら一緒に過ごし始めてから料理について色々と調べてたり

家の料理長サルボさんとも練習していたみたいで料理の味は期待できる

きっとこの事をカサブランカ王やメリー王妃が知ったらとても喜ぶだろう

あの娘を溺愛するカサブランカ王の事だ感動して号泣するに違いない

それにユーリカの頑張っている姿を見てると心がほっこりしてくる

(さて、俺は完成まで本を読むとしよう)

今日はとても気持ちのいい朝だ。

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