その23"出発"
また、間が空いてしまい申し訳ありません
今はとある理由で
カサブランカ王とメリー王妃に3人で会いに来ている
とある理由と言うのは旅の出発報告の事。
準備が全て完了し明日の朝、王都を出る予定で
帰りがいつになるのかはわからない事を伝える
「そうか、ついに行ってしまうのか」
「3人共、ゆっくりしてらっしゃい」
相変わらずカサブランカ王は娘を溺愛しており
長い間娘と離れるのを残念に思い、下を向いてしまう
しかしメリー王妃は反対に背中を押すように言った。
「まぁ、気を付けてな
だが、出来れば早めに帰って来てくれ」
相変わらずカサブランカ王は
ユーリカと離れたくない様子
「わかっています
出来るだけ早く帰ってきますから」
「この機会に娘離れしたら?」
「なんて事を言う!そんな事できるはず無いだろう」
メリー王妃の発言にカサブランカ王が動揺し
その場が笑い声で包まれる。
その日の夜は王城で
ちょっとしたパーティーが開かれた
招待されたのは旅の事を知っている数人。
その中には、ハウッドさんやガルト侯爵
キング騎士団長、その息子のジークもいた。
多くの料理、酒が振る舞われ
出席者どうしで楽しんでいる中
俺は一人バルコニーで夜風に当たりながら
考え事をしていた。
(勇者オリガミ.ユウト
彼が俺と同じように何らかの形で
この世界に来た者なら
その末裔がいる四天国カルテットに
何らかしらあるはず。
だが、もといた世界に戻れるとわかったとして
俺は戻ろうとするのだろうか。)
俺は考える、どうしたら良いかと
しかし何も浮かばない
いつもなら明日の事は明日考える
そう言って逃げるがそんな事では
何も解決せず進まない。
そんな時、ある人の口癖が頭をよぎる
"大切なのは今までじゃなく、これからだ"
「そう言ったのも、こんな夜でしたね。
それで俺は変わることが出来ました
··········再び変われ、と言う事ですか?」
それは人と接することえのトラウマであった
ユーリカやクリティカと出会ったことで
変わりつつあるものの時々昔の事を
思い出しては立ち止まってしまう。
「主、どうかされましたか?」
月影は顔を伺いながら聞いてきた
「少し考え事をね
月影、異世界はあると思う?」
月影は少し驚いた表情をし
軽く笑みを浮かべてこう言った。
「·········あります」
「そうか········戻ろう、みんな待ってる」
出発当日、快晴の空に輝く太陽
旅に出るのにこんな良い日は無いと言う位の天気
「さて、いきますか」
「ようやくですね」
「そうね、てかあなた目に隈が出来てるわよ?」
家の玄関で意気込む俺には目の下に隈が出来ていた
「昨日帰った後、経路の確認をしてたら
遅くなって、あまり寝られなかった」
「公務じゃあるまいし、適当で良いのよ」
(そう言うものなのか?
それにしてもすごく眠いな
今度なんか探してみるか)
家を出る前にポールさん達に挨拶をする
たぶん2か月は帰ってこないだろうからその間
家の事を頼むことになる。
と言ってもこの家に来てから
家事はポールさん達に任せっきりなのだが。
「では、行ってきます
お土産、期待してくださいね」
「はい、行ってらっしゃいませ
家の事は我々に任せて、ごゆっくりと」
家を出て馬車に乗り込み手綱を握りしめ走らせる
王都の東門を抜け次の町へ向かう。
「ところで最初に行く町は何処なの?」
「えーと、マニルって言う町だよ」
「ここですね」
ユーリカは地図を広げ目的地を指差す
マニルはパルトラル王国の右上にある大きい町
「主、まっすぐ東に行けば良いのでは?」
昨日寝ずに考えた経路
最短で四天国カルテット、王都サタクロスに行くには
一度マニルに行きそこからサタクロスを目指し
南東に横断するのが手っ取り早い
まっすぐ東に直進するとアリア王国に入ってすぐ
縦に連なる山脈がありとても時間が掛かってしまう
マニルに行くのに少し時間が掛かるが
後は山の無い平坦な道を進むだけ
その事を月影に説明する。
ちなみにメビウスとシリウスは
鳥の姿で馬車の上を飛んでいる
この時俺はいつも物静かなシリウスが
活発的で少し驚いた
「なるほど、そう言う事ですか」
「今日中に着くの?」
「時間通りに行けたとしても
少し手前で日が暮れる
だから悪いけど野宿だね」
「旅らしくて良いですね」
ユーリカは新しい事えの好奇心で不安がなさそうで
クリティカも嫌と言う事はなかった。
「さぁ、旅の始まりだ!」
そこは光の無い暗黒世界と言える暗き地
あるのは2つの声だけ
「目標が王都を出たようです」
「そうか、それじゃあ俺らも動くか
久々に暴れられそうだ」
「そうですね、邪神復活には彼が必要ですからね」
やがて2つの声は消え
その場所には完全な静寂が訪れる。
彼らは動き始める
再び邪神をこの世界に呼び出すために
そして復活に必要な目標を求めて。
ようやく旅が始まりました
そして裏で動く彼らの目的とは?