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第16話

1


「――ここは……?」

気付いた時、勇一と早咲の眷属は、血生臭いどこかの場所へ転移させられていた。

「……空間転移」

つまりここは、希里花達といた場所とは違う場所。

地下だ。

その証拠に、上から激しい戦闘音が聞こえてくる。

……しかし何故少年、リーブ・アルフィセンはこの女と共に勇一を空間転移させたのだろうか。

彼らが望む物は恐らく、美少女の心臓。

それはなんとなく分かる。

だがこの女は、少なくとも勇一の知る限りで美少女の枠には入るはずだ。

喋り方の特徴はともかく。

なぜ、この女は転送されたのだろうか。

美少女、というよりかは美女と呼べるからだろうか。


……ともあれ、ひとまずはこの地下から脱出せねばならない。

出口は――

「こっチ」

ふと気付くと、女が勇一の手を引き、がむしゃらに進むような形で道を進んでいた。

女が立ち止まる。

……そこには、階段があった。

「こレ、なんテ、よム?」

女が差し伸べるは片仮名で「パスワード」と書かれ、その下に漢字が書かれた一つの紙。

“玉蜀黍”

「……なんだこれ。」

ふと、女がもう一枚紙を差し出す。

『ヒント:食べ物』

「これガ、分かれバ、地下、かラ、脱出、できル」

「っあーーー!!!そういうことかぁっっっ!!!」



**********




「―――加賀谷くんが、消えた!?」

希里花が驚愕に叫ぶ。

それも、つい数秒前までそこにいた勇一が、いきなり姿を消したのだ。

驚くのも当たり前である。

「加賀谷くんを、どこにやったの!?」

結衣奈が疑問を大声で問う。

その疑問に、リーブは答える。

「さあ、どこだろうねえ……! ……見つけたきゃ、心臓を渡しな。」

「断るわ。」

当たり前に、その要求は即座に断られる。

希里花は少し、格好つけたくなって言った。

「あなたに渡すのは、監獄の中だけよ!!!」

そしてそれを皮切りに、結衣奈が魔法を放った。

「ファイアーボール・メテオ!!!」

だがその魔法は、結衣奈は前戦・対エクソシスト戦で魔力を消耗していたために、彼女が低コストで使える低級魔法だった。

そのため、リーブにほぼダメージを与えられぬまま、屋敷での《《初戦が》》不穏な空気を変えられぬままに開幕した。


**********


――その頃。


「えっと、たま……? たまご……んなわけ無いか」

勇一は階段の前で、難しい漢字の読みに手間取っていた。

「たま……しょく……きび……???」

つまりこの漢字が意味するものが、球体できびの食べ物ということだろう。

「きびってなんだっけ……確か、トウモロコシに関連するものだよな……。」

勇一は考える……すでに答えが出ていることにも気付かずに。

「異世界で難問漢字クイズとかありかよ……。」

と、そんなときだった。

「ア、開いタ。」

早咲の眷属の女が、すっとぼけたような声で言った。

「何を入れて!?」

勇一は疑問を叫ぶ。

「何ヲ……っテ、とうもろこシ、ですけド?」

「それかああああああーーーーー」

勇一は答えを聞き、自分が既に答えをだしていたのに気づかなかった事と、一応は日本人のとある高校のクラスの一位であるのに正解できなかった事に恥を覚えた。

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