第1話
1
「さあ、始めましょう? 血塗れの宴を。」
メイアンは、残酷な目でそう言った。
しかし、この状況。5対1である。
どう考えても、僕たちに勝てるはずがない。
それにしてもなんだ。
この自信が有り余ったような目は。
「な、なに言ってんだ。お前位、俺たちで……。」
「あ、そうそう、忘れてましたよ。」
そう言って彼女は後ろを向き。
「みんな、もう隠れなくていいよ。出てきなさい。」
そんな声を合図にし、僕たちの背後の岩陰から、四つの影が飛び出してきた。
「「「「うん! お姉ちゃん!」」」」
全員、メイアンと似た顔立ちをしていた。
お姉ちゃん……と呼んでいたし、妹たちだろうが。
まあ、今はそんなことなどどうだって良い。
今はただここから逃げることを考えるのみだ。
「あ、逃げるだなんて考えたら、ここ爆発させますから。」
……まずは戦う必要があるようだ。
2
「アハハハハ♪ あなたたち全員、私たち家族がぶち殺してあげますよ!」
メイアンは皮肉な笑みを見せながらそう言った。
「そうだ。戦うついでに、私たち、影魔族の歴史をお教えしますね♪」
メイアンがそう言い、四人の妹たちと共に、僕たちに向かって勢い良く走り出した。
彼女らの持っている武器は、魔族なのにも関わらず、毒々しい紫の色を纏った杖ではなく、清々しい緑色の剣だった。
そしてメイアンは、希里花さんに向かって跳ね……!
「希里花さん!」
「黒煙纏いし炎の風!」
間一髪で希里花さんがその攻撃を止め、跳ね返した。
「……うぐっ! あああああ!」
メイアンが呻き声を上げ、衝撃に耐えている。
ちょうど良い。この内に……
「よそ見してるとォ~。危ないよォ♪」
そんな声が横から聞こえ、僕はあわてて剣を構えた。
否。
「か……ハッ!?」
「キャハハッ♪せっかく忠告したのにぃ♪ 私は跳んで攻撃するとは一言も言ってないよォ♪ ちゃんと前見なきゃア♪ でも死なないでよかったね?わざわざ柄でやってやった私に感謝しなよ♪」
感謝なんて、するわけねえだろうが。
「……! 加賀谷くん! ちょっと待ってて。黒煙纏いし炎の風!」
「チ……ッツ!」
「ありがとうございます。希里花さん。」
僕は希里花さんにそう言った。
「いいのよ。それくらい。……それにしても、この状況、どうにかしなきゃいけないわね。」
「そうですね。」
突然の戦闘イベント。
準備してなかったのは言うまでもない。
「……とりあえず、一旦避難しましょ。みんな!私が今から魔法を撃つから、その隙にみんな逃げて!」
「分かりました!」
僕はそう答えた。
「はい。」
「うん!」
「分かったわ!」
続いて、イリシア、グリネア、結衣奈の順に返事を返す。
そして。
「……“フラッシュ”!」
希里花さんがそう言うと、辺りは眩しい光に包まれた。




