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第14話⑤

9


「ここが三階……。違うな。屋上だな。」

三階……もとい、屋上に着く。

パッと見一階とはあまり変わらないように見えるが、今回はもう上がないので天井がない。

あと階段も。

日は落ち真っ暗。

吹きさらしになっていたのか、一階や二階で点いていたランプは消え、当然部屋は真っ暗な状態である。

……こんな状況での戦い。

暗い色の奴が出てこないと良いのだが、大体こんな時っていえば……

「ベチャッ。」と音が鳴りその方向を向く。

するとそこには、

「やっぱり、出るんだよな。」

薄い紫色の、キングスライムがいた。

「さあて、手っ取り早く片付けて、メシにしようぜ!」

等と決め台詞を吐いたあと、僕は、

「……今度はどんな特性を持っているのかな?」

と呟いた。


10


様子を伺い、攻撃してくるのを待ち構える。

もちろん、このキングスライムの特性を確認するためである。

数秒経ち、そのキングスライムは、先ほどのキングスライムと同じように、大きく息を吸い上げ、攻撃の準備をし始める。

そして。

先ほど……、一階と二階のキングスライムと同じように、勢い良くそれを吐き出した。

速度は今までのと同じである。

しかし、辺りは真っ暗。

どこ辺りに飛んでいるのか、見当も付かない。

その為、避けるに避けれないのだ。

とりあえず、マリオで下ボタンを押しながら、Bボタンを押した時のようにしゃがみながらジャンプをする。

しかし――。

「うわっ!」

その液体は、僕の体に叩きつけられた。

「加賀谷くん! 大丈夫!?」

「ゲホッ! ゲホッ!」

……? 特に痛みはない。

「だ、大丈夫……、みたいです……?」

なんだ? この感じは……?

「そう。なら良かったわ。このキングスライムはあまり害は無いみたいね。」

希里花さんはそう言った。

……しかし、ここで異常に気づかなかったのは、言うまでもない。

それは

「みんな!」

皮膚から、

「とりあえず、一回目と同じような戦法で戦おう!」

僅か3%の機能の皮膚呼吸で、

「うん!」

酸素と共に吸収され、

「分かりました!」

肺を通り、

「わ、分かったよ! グフフフッ! グフフフフッ!」

血管を通り、

「じゃあ全員、攻……」

……心臓へと、到着した。

「うっ……? ……っが!? が、ガハッ!」

吐血。

「か、加賀谷くん!?」

「う、うああ!」

嘔吐。

「加賀谷くん!!」


「ゲホッ! ガハッ! うっ!? 」

……呼吸、停止。

「……っ! このやろーっ!」

って、結衣奈。戦いとか言ってる場合じゃないから。

……まあ、そう。

簡単に言うと、そのキングスライムの特性、それは……


“毒”だったんだ。


……希里花さん。

討没、後は頼むね。

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