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第14話④

7


……これはマジでヤバイかもしれない。

だって、今回は一階のと違って、体が溶けるかも知れないんだから。

そうだ。

「なあ、結衣奈。水で防護膜とか作れないか?」

「無いけど。」

「そうか。」

うーん。

じゃあ、なんか代わりになるものは……

あっ。

確か、前に希里花さんとこの世界で初めて会った時、雨を降らせる魔法とか、使ってたような……。

確か、名前は……。

“雨乞い《プレイング・フォア・レイン》”だったような……。

「希里花さん! “雨乞いプレイング・フォア・レイン”……みたいな名前の魔法を、僕以外の全員の周り50cm辺りにかけて下さい! 」

僕は希里花さんに向かってそう言った。

「え!? 何で!?」

「一応、防護用にです!」

「わ、分かったわ。でも、直接キングスライムにかけた方が早くない?」

「確かにそれも考えました! でも、相手の力の効果が薄まるだけって可能性もあります!」

「まあ。良いけど……。その作戦ちゃんと成功するかしら……。」

「やってみなければ分かりませんよ!」


8


ま。そんな会話もあり、希里花さんは呪文を唱え始めた。

そして。

雨乞いプレイング・フォア・レイン!」

その言葉と共に、皆の前に雨の防護膜が張られた。

そんなことに対し、結衣奈は。

「ファッ!? 何これ!? 服濡れちゃったんだけど!」

はいはい。興味なんてありません。

そんな声に気付き、希里花さんが声をあげる。

「そ、そうだ。イリシアちゃんは大丈夫? グリネアちゃんも!」

その希里花さんの声に、

「あわわわ! 何なんですかこれ! 濡れちゃいますよ!」

とイリシア。

「私は大丈夫だよ。」

とグリネア。

「あー、もう! イリシアちゃんはクエストが終わったら一緒にお風呂に入りましょ!」

「はーい!」

あ、絶対なんか変なこと考えてるなイリシア(レズガキ)

そうだ。

今の内に言っておくが、希里花さんの周りには防護壁が張られているため、濡れることはない。

「そ、それで、どうすればいいの!?」

希里花さんはそう言った。

「ま、まず、僕が全員の前に行きます。そしたら全員一斉に呪文を唱えて下さい!」

「……分かったわ。」

「え? どういうこと?」

「とにかくやってみればいいのよ! やってみれば!」

そして僕が前に出る。

それと共に皆が呪文を唱え始める。

……呪文が唱え終わるのを見計らい、僕は剣のボタンを押した。

そして。

「皆! 今、魔法を放って下さい!」

黒煙纏いし炎の風ダークフレイム・ヴィントストーム!」

「バブルアワー!」

水の矢アロー・オブ・ウォーター!」

鬼の囁きデーモン・ウィスピング!」

炎と風の魔法。泡の魔法。水の魔法。それと……グリネアの、闇の魔法。

そんな中剣を一振り。

すると、言葉では表せられない強大な魔法が、キングスライムに放たれた。

だがその魔法が持つ力はとてつもなく大きく、キングスライムの体を吹き飛ばし、さらには壁に穴まで空けた。

「す、すげえ……。」

……何はともあれ、ひとまず二匹目の討没は完了した。

残るは三匹目。

三階へと進もうとそちらに向く。

「……そういやコレ、忘れてた。」

階段の前を邪魔する巨大な岩。

「……希里花さん。申し訳ないんですが、もう一度あの技を。」

「分かったわ。黒煙纏いし炎の風ダークフレイム・ヴィントストーム!」

そして岩は、木っ端微塵に破壊された。

三階に行く途中でまた回復の泉に入り、このクエスト最後の戦いへと赴く――。

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