第14話②
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それにしても……またかなりの勢いで飛んできたな。
今のもギリギリで避けたぞ。
……そしてそのゼリー状の何か。
いや、スライムの体液は、ベチャッと音を立てて、壁に叩きつけられた。
ノロノロと、何かの通路からゆっくり出てくるキングスライム。
その姿はまるで……。
「ところてんか!」
と、思わず突っ込んでしまう程、ところてんに似ていた。
さて、そんなことはさておき、討没に移る。
だが、その矢先。
こいつ、めちゃくちゃHPが高い。
ざっと100000HP以上はあるのだ。僕たち五人のHPの平均の5倍……、それ以上はある。
流石にキングを名乗るだけはある。
……っていうか。
「なあ、結衣奈、前にダイヤモンドスライムを倒した時、水使って溶かさなかったか?」
「あ、そう言えばそうね。じゃあ、ちょっと撃ってみる。」
結衣奈はそう言って杖をスライムに向け、呪文を唱えた。
「……あれ?」
「……どうした?」
「魔力……他の魔法バンバン撃ちすぎて、足りない、みたい。」
「マジかよ。っていうかさっきからお前の魔法当たってんのか?」
「100発中7発は当たったわよ! バカにしないでよ!」
「バカにするわ!」
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クソ……どうしたら良いんだ。
今こうしてる間にも、みんなのHPがどんどん削られていく。
既にHPは半分まで下がっているのだ。
まあ、キングスライムのHPも、半分くらい減っているのだが。
……とりあえず、一旦様子を見よう。
もし1人でもHPが……勿論僕もなのだが、6000以下になった時は、希里花さんに回復魔法を頼もう。
そんな事を考えながら戦っている間にも、双方のHPは既に、更に半分まで下がっていた。
残りの僕達のHPは、大体5000である。
そろそろ希里花さんに回復魔法を頼もう。
僕は希里花さんの居る方向へ顔を向けた。
「希里花さん! そろそろ回復魔法を!」
「う……、うん! ……リロード!」
その言葉と共に、全員の体力が、戦闘前の体力に戻った。
ついでに痛みも無くなった。
スライムのHPは……あと約30000。
大丈夫だ、これなら十分勝てる。
そして、僕と希里花さんが同時に攻撃を放ち、その攻撃で30000ダメージ……どころか50000ダメージを加え、一匹目の討没は完了した。
そして、また階段を上り、次の二匹目の討没へと向かうのだが。
「ねえねえ! こんな所に回復の泉があるよ!」
「え……マジか。」
「やっほー!」
結衣奈はそう言って泉に顔を沈めた。
「何!? 水を飲めば良いのよね!」
と、希里花さん。
「入ってもいいんだよ希里花お姉ちゃん!」
このレズガキが。
……とりあえず、回復してから向かおう。




