第7話
1
夜。
寒い。
とてつもなく寒い。
「……おい。」
「……なに? 加賀谷くん。」
「な、なんで一部屋なんだ? あと何で希里花さんたちだけベッド? 僕タオル1枚なんだけど。めっちゃ寒いんだけど!?」
あと床が硬くて痛いんだけど。
「ミールちゃんがね? 『魔王さまはお体を冷やさないように』って。……このベッド、一つしかないんだって。あともう少し、スペースが空いてたから、イリシアちゃんたちもベッドに入れてあげたの。それに……、男の子と二人でなんて、恥ずかしいし……。」
ああ。そういうことか。
「……まあ、確かに。……。おやすみ。」
2
「…………。」
クッソ! 全く眠れねえ! あいつらこんなで寝てんのか!?
「スウ……。スウ……。」
希里花さんは普通に寝てるな。
「スウ……。スウ……。希里花お姉ちゃん、そんなことしたらだめえ……。」
こいつイリシアは何の夢を見てるんだろう。
「スウ……。グフフフ……。スウ……。グフフフ……。」
うーん、結衣奈は……。
気持ち悪いな。
「ん? これって……。」
……
僕は眠気を誘うために、外で運動することにした。
「なんでか結衣奈のポケットに入ってた、このゲーム。やってみるか。」
その運動方法はリズムゲーム。
さっきベッドの上を見たら、結衣奈のポケットから落ちかかっていた、「パニックリズム! panic rhythm! -ダンスの力で世界救出-」というゲームである。
ゲーム機もコンパクトで、ポケットに入っていたので借りた。
ついでにテレビも借りた。
これがないと、ゲームは出来ないからな。
えっと? まずゲーム機とテレビを接続……。
さて。これで準備は出来た。
電源ボタンを押して……。
ソフトを起動。
そしてそのあと、僕は曲一覧の最上部にある曲の、鬼モードを選択した。
「ふう。ふう。ふう。ふう。かなり難し……、死ぬ……!」
曲が終わり、ダンスを終えた僕は、その場に倒れ込んでいた。
「はあ、はあ。そろそろ、寝よう。」
そして僕は、そのまま寝室へ向かった。
3
「ふわぁ。眠い。眠い。さっさと寝よ。」
僕は、床に直で敷かれたタオルへと倒れ込んだ……。
と、その時。
「……うわああああぁぁぁ!」
またあの時の、不気味な顔が現れ……。
「――――! って、なんだ夢か。」
なんだ、夢か。良かった。
「んー。もう、何? まだ眠いんだけど……。」
希里花さんが僕の声で起きてしまったようだ。
申し訳ない。
「ごめん。ちょっとまた変な夢見てさ。ベッドの下に、変な奴が……ってぎゃあぁぁぁ!」
僕が見たその先……正確にはベッドの下に、さっきの夢とは違うが、誰かが倒れていた。
「どうしたの!? 加賀谷くん!」
「ベッ、ベベベッ! ベッド! ベッドの下にマジでヤバめな奴が!」
僕は動揺しながらそう答える。
「もう、冗談はやめてよ加賀谷くん。そんなのいるわけが……って死体!?」
「「キャアアアアアアアアアアアアアア!」」
と、その時、死体がピクッと動き、モソモソッと動き出した。
「んもーっ。さっきからうるさいな。」
そしてベッドの下から出てきて、立ち上がった。
「し、ししし、死体がしゃべったあああ!」




