第2話
前回。
どういう訳か、魔王・希里花が、王国の一部の勇者に存在を気付かれ、僕たちは逃げることに。
そしてテレポートで、移動した訳だが……。
1
「オエーッ!」
臭い。とにかく臭い。
「ゲホッ! ゲホッ! ヴアッ! ゆ、結衣奈っ! テレポートしてきたはいいが……。」
なんでっ!
「なんでゴミ箱なんだっ!」
そう。ここはゴミ箱。……タイトルからもお分かりだろうが、ここは紛れもなくゴミ箱の中だ。
「ゲホッ。ゲホゲホッ。ごめーん。私が転移してきたの、丁度ここの前でさー。どうやらちょっと登録した場所が悪かったみたいで……。」
「悪すぎるだろ! つーかお前、転移した時からそのスキルあったのか!」
「うん。そう。女神さんに、MPを少し減らしてもらって、こ
のスキルを貰ったの。 移動するとき便利でしょ?」
「そりゃそうだが……。わざわざここにテレポートする必要ないだろ。」
「ごめん。ここしか登録してなくて。あとここが一番遠いでしょ。」
……てか、このままだといろいろヤバイんだが。
ちなみに今の配置がこんな感じ。
Aが僕、Bが希里花さん、Cが結衣奈、Dがイリシアだ。
AB
CD
そう。
まあ、あれだ。
「無理矢利箱に物を詰めたら取ることが出来なくなった」みたいなあれ。
イリシア(もちろん僕も)を除く二人共、胸が大きく、つっかえているのだ。
ねえ、どうすんの。この状況。
2
どうやってここから出よう。
難解なパズルを幾度とやってきた僕だが、流石にこれは解けない。
誰も動けないんだもの。
あと、ここで魔法を使って壊した所で、出れる事には出れるが、命が危ない。
かといって、無理に動こうとすると、アブない展開になってしまう可能性だってある。
……うーむ。どうしたところか。
「ねえ。」
結衣奈が話しかけてきた。
「ん?」
「魔法使っても良い?」
は!?
「駄目だ!」
「いやいや、このゴミ箱をぶち壊すような奴じゃなくてさ。……ちまちま切るんだよ。」
「は? どうやって? このゴミ箱金属製だぞ?」
「んーとね。まず魔力の放出量を調節。そんで、小さくてめちゃ切れる刃物を作りまーす。……それから、後ろのやつに、突き刺し、てっ……! ぐ……、ぐぬぅおおおお!」
結衣奈はそう言って刃物を作り出し、それをゴミ箱に突き刺して思い切り下へ引く。
「ギイ、ギギイ、ギギギギイイイイイイイィィィィィィ!」
嫌な音が辺り一面に響く。
「いやーーっ!」
希里花さんの悲鳴も響く。
「ふんっ!」
そして 最後に、結衣奈は更に力を加えた。
「キャアッ!」
そしてゴミ箱が壊れた。
「ゆ、結衣奈!?」
「あっ、てててててててて。大丈夫。脱出、出来たわ。」
「……やったーーーっ!」
「やっほー! やったわね!」
「……って、急がないと!」
「こっちにいたぞ!」
は!?あいつら来るの早くね!?
「あ、ごめん。ここから宿屋まで800mくらいしかないんだ。」
「はあ!? ふっざけんな!」
「はいはいそれじゃあ、逃げるよ!」
そして僕たちは駆け出した。




