第1話
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「私にそんなことを隠していたんですか。」
「ゆ、結衣奈ッ!?」
「……まあ最初から、『なんかおかしいなー。』とは思ってましたが、そういうことだったんですね。なんとなくですが理解しました。……で、本題ですが……。」
僕と結衣奈さんは、その瞬間、死を確信した。
しかし、その口から放たれたのは、意外な言葉だった。
「まさに……、まさに禁断の愛の逃避行! しかも敵になるかも知れないロリっ子魔法使いも連れての超スレスレな展開とは、私としては、かなりのオカズになります! ごちそうさまです!」
「……はあっ!?」
そしてその結衣奈は、禁断の愛について語り出した。
ああ。こんな時間無いときに、なにやってんだろうこのバカは。
僕がそう思いながら結衣奈を見ているその横で、若干顔を赤らめ、唇を少し噛みながら下を向いている希里花さんの姿があった。
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えっ!? なになに? 愛の逃避行って、つまり加賀谷くんは私の事が……!?
ああ、もう。結衣奈ちゃん、何言ってんのよ! もしそれが本当だとしたら……、私今度から加賀谷くんとまともに会話出来なくなっちゃうじゃない!
もう! 結衣奈ちゃんのバカ!
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………………。
結衣奈の声がずっと聞こえる。
つーかここに何しに来たんだっけ?
「あっ!」
僕は思い出してそう大声をあげた。
「ん?」
「ふぇえっ!?///」
希里花さんがびっくりして飛び上がった。
「イタッ!」
まあ、そうなるわな。希里花さんはびっくりし過ぎて、飛び上がったところ、バランスを崩し、壁に頭をぶつけ……なかった。
毎度お馴染み、魔法防御壁だ。
「……つーかここから出なきゃ! ……でも、出る方法が無いしなあ……。」
すると、その僕の言葉に対し、結衣奈が言った。
「忘れたの? ここは異世界よ。どうやってでも脱出出来るじゃない。」
「うーん。確かにそうなんだけど、顔とか知られるとまずいからな……。」
「それなら私、いい魔法使えるわよ。」
「え?それってどんな魔法……。」
「とりあえずイリシアちゃんを連れてきて。」
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「……成る程。そういう事情でしたか。道理で今まで、コソコソ何かを言い合っていたんですね。」
僕たちはイリシアに、この世界へ来た経緯をそれぞれ話し、最後に希里花さんが魔王になってしまったということを告げた。
もちろん希里花さんは、自分がいじめられていたことも話した。
途中、何粒もの涙を溢した。
それは、数えきれないほどだった。
「どうだ。納得してくれたか。」
「ええ。大体の事情は分かりました。」
「よし。じゃあ逃げるが……、結衣奈、いい魔法って?」
「あれよ。ご定番の……。」
「テレポート!」
そうして僕たちは、この宿を出たのだった。




