第16話
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そのあと、アニメ放送の時期が一旦終わった5日後の朝。
「キャアアアァァァ!」
宿屋に希里花さんの悲鳴が響き渡った。
その悲鳴に、まず僕が駆け付けた。
「どうしたんですか!? 希里花さん!」
続いてイリシアも駆け付ける。
「どうしたの!? 希里花お姉ちゃん!」
そして僕らが見た物……それは。
「!!」
顔に複数の矢が刺さった、希里花さんの姿だった。
「大丈夫。心配しないで。ほら。魔法防御付いてるから。」
「ああ。そっか。」
訂正。顔辺りの魔法防御壁に複数の矢が刺さった希里花さんね。
それにしても……。
「なあ、何が起きたんだ?」
「あ、えっと、それは……、それは……、それは……。」
ぼくの質問に答えようとした希里花さんは、イリシアの方を見て一旦言うのを止めた。
「ちょっと加賀谷くん。こっちに。」
そして僕の手を引き、駆け出した。
「……ふう。ふう。ここで良いわよね。」
「ゼエ、ゼエ。全く……何なんですか? 希里花さん。」
そして連れられた先は、僕の部屋だった。
「あのね、この前話したでしょ? 私が魔王だってこと。」
「は、はい。……それで?」
「どうやらここの王国の一部の勇者たちが、私を嗅ぎ付けたみたいなの!」
「え……ええええぇぇぇっ!?」
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……まあ、いずれ来るとは思っていたが、いざとなると、信じることが出来ない。
「逃げるにしても、どうしたら良いでしょうね。」
「そうですね。」
「私が魔王だってことを言ってもイリシアちゃんはなんか分かってくれそうなんだけど……。」
一旦そこまで言ったところで、息を整え、再び話し始める。
「問題は……、結衣奈ちゃんね。」
「そうですね。あいつ、極度のアニオタだし、おまけに中二病だから、『魔王・須賀 希里花!私が……お前を倒す!』みたいな感じに言って、希里花さんに襲い掛かって来そうですしね。」
「んー。でもその前に、私を倒せないでしょ? んで私の事を皆に言いふらしちゃったら……って考えると怖いのよね。」
「そうすると、全く味方が居なくなっちゃいますもんね。」
そこまで話した時、バンッ! と勢い良く扉が開き、そして影が現れた。
「希里花さん。私に……、そんな秘密を隠していたんですか。」
その声の主でもある影の正体は、紛れもなく、華宮 結衣奈のものだった。
To be continued……
第3部に続く
はい!ここまで!今回は大分修正と追加を繰り返し、1000文字以上になるように頑張りました。
さて、今回で第2部終了となるわけですが、第3部の予定はまだありません。
……というよりは、次は何にしたらいいか分からないだけなんですがね。
それではまた、次の更新で!




