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第10話

今回はかなりブラックだから、読みたくない人は飛ばしてね。

あれ……、ここは何処だろう。


……学校の、校舎裏?


目の前を見ると、希里花さんが、クラスの女子たちに、寄って集って殴られたり、蹴られたりしている様子がうかがえる。


「なんなのよあんた。いっつも優等生ぶって良い点取って、男子にもモテて。カンニングしてるのは分かってるんだからね!」


「そ……、そんなことはやってな……うぐっ!?」


希里花さんの腹部に強い蹴りが入る。


そして、それと共に希里花さんの口から吐血が。


「や、やめて……やめてやってくれ……。」


どうやら向こうには、僕の声は聞こえていないらしく、何も返答がない。


「キモいんだよ! このクソ×××が!」


「ゴフッ!」


吐血と共に、彼女がこっちに飛んでくる。


ああ。可哀想に。僕が助けられたら……。


その瞬間、辺りは暗転した。


そして、徐々に、明るくなってきて、場所は教室に切り替わる。


目の前には、机の上で泣き疲れて寝てしまっている希里花さんの姿が。


そして僕はそんな彼女の手元にあるものを見つけた。


何か、手紙のようなものが置いてある。


僕はそれを掴もうと、手を伸ばす。


しかし、この中で僕は幽体のような存在であるため、その手紙を触ることは出来ない。


そんな時、また彼奴等いじめっ娘共がやって来た。


「あっ。見て見て。こいつ寝ちゃってるよ。マジウケるんですけど。ん? これなんだろ。」


そう言ってそいつは希里花さんの手元にある手紙を取った。


「えーと。なになに? お母さん、お父さんご免なさい。私はもう、こんなところで生きたくありません。…… って。うわ。こいつ自殺しようとしてるよ。キモッ! マジキモいんですけど。つかこんなのゴミ箱に捨てちゃえ!」


そいつは、そう言いながら、その手紙……遺書をビリビリに引き裂いてゴミ箱に投げ捨てた。


「アハハハ! いい気味よ!」


そう言いながら去っていくそいつを、僕は怒りに任せて殴ろうとした。


しかし、拳が当たる数ミリ前に、そいつは霧と成って消え、再び辺りは暗転した。


そして暗闇の向こうから、一筋の光が射し込んできて、その光はどんどん近づいて来た。




……一旦眩しさが無くなると、そこにはどしゃ降りの中、傘もささずに泣きながら走っている希里花さんの姿があった。


そしてそのまましばらく経ち、家に着いた希里花さんは、髪から足の先までずぶ濡れのまま、部屋に駆け込んで行き、部屋のカーペットが雨でべちゃべちゃになる中、どこかから縄を取り出した。


そして彼女はそれを首に掛けた。


僕は幽体のままなので、話しかけることも、触れることも出来ず、ただそれを見ているしか、方法が無かった。


午後5時27分32秒。


彼女は首を吊って死んだ。


さすがに美少女なだけあって、死んだ顔も、とても綺麗だった。




……そして次に目を覚ました時、僕は一粒の、大粒の涙を流した。

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