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ロマン=エジェロワールと魔族

ホントに遅くなって申し訳ないです。

次はもっと早く投稿できそうなので大丈夫だと……はい


 「イヤ〜なに、自分の妻と息子が頑張ってるのに自分だけ王都に行ってました〜じゃ父親失格でしょ?」

 

 アルレットを庇いながら魔族にしっかりと視線を向ける男。

 アルレットの父、ロマン=エジェロワールは魔族を見ながらそういったのだった________

 

 

 

 

 

 アルレットの村を魔族が襲撃する時より、時は遡り数時間前の事。

 

 ルーミン・アーク王国の王都ルベンヌより、南方に数百キロの地にある、アルレットの村、バルバッハより朝早くから王都に向かうべく、旅立った男がいた。

 

 アルレットの父、ロマン=エジェロワールである。

 

 彼は王都の下級貴族でありながら一村の領主でもあるのだが、それ以上に彼には、偉大な栄位があるのだ。

 それが、ルーミン・アーク王国、「王国騎士団」副騎士長である。

 彼は貴族でありながらその類希なる剣術の才能で王国騎士団に入団する事になったのだが、貴族から騎士や魔法士などに憧れる者はそう珍しいものではない。

 自分の才能を高め、国の騎士や魔法士として、国に使える事はこの国の貴族から平民まで皆の憧れなのだ。

 この国では王国騎士団、魔法士団に入団できるということはそれだけで、とても誇れることなのだ。

 

 だが、その王国騎士団、魔法士団に入団するのはそれ相応に厳しい道のりでもある。

 

 育成所に入ったとしても、自分の志願する団に入れるのは百人もいない。

 

 だからこそ、そこで勝ち残ったものは強者となり、国に使える事ができ、入団までの道が過酷だからこそ、「憧れ」なる訳なのである。

 そして、そんな夢見る者達を鍛え上げる為の育成所があるのが王国の王都ルベンヌなのだ。


 

 そして、その王都からロマン宛てに手紙が届いたのが今回ロマンが王都へ向けて出発した理由である。

 

 『ロマン殿

 この度、貴殿を王都に来るようにと言う手紙を出したのは今年も王国騎士団育成所に大勢の騎士団を目指す人達が入学したので剣術の指南役をお願いしたくこの手紙を出した次第です。

 どうか、よろしくお願い致します。

  王国騎士団育成所一同』

 

 この時、ロマンはまたか、と思ったのである。

 

 と、言うのもこれは今回が初めてではない。

 何回かこうしてロマン宛てに育成所から指南役を願う手紙がきているのだ。

 ただ、ロマンもそんなに暇人な訳もなく、あまり、指南役に行けない時が続く時もあったのである。

 それでも何故、ロマン宛てに毎年、手紙が来るのか?

 

 それは、ロマンの教え方の上手さである。

 

 アルレットは父が王国騎士団の副騎士長だからこそ、ここまで強いし、教えも上手いと思っているが、それは間違いでロマンの凄いところは剣術の「指導力」である。

 しかし、最初っから教え方が上手かった訳ではない、その理由が………

 

 ____ 【スキル】「剣師の教え」である。

 


 相手のステータスを見れるアルレットが何故、これを知らないかと言うと……………単に見なかっただけである。

 

 ロマンがこのスキルを覚えたのは、王国騎士団に入団してから一、二年近くたった頃であった。

 その頃にはもう、剣術の頂きに手を掛けていて、自らの才能が開花し始めたのだ。

 剣の全てを理解し、扱うようにまでなりそして、【スキル】を獲得し、剣の教えまで完璧になったという事であった。

 

 だが、ロマンはこの【スキル】「剣師の教え」をあまり好ましく思っていない。

 というのも、これはスキルの力であって自分の力ではない、と言うのがロマンの考えであり自分が元から持っていたものではないので人に剣術を教えている時はいつも複雑な気持ちでいるのだ。

 

 だが、それも昔の事、今は息子がロマンには、いるのだ。

 

 『(この力がアルの為になるなら………)』

 

 これが今のロマンの考えである。

 この【スキル】でも、息子の為になるのならば使わない手はないだろうと。

 ただ、アルは少し…異常、だとロマンは思っていた。

 成長の面で他の者よりも圧倒的に早いのである。

 小さい頃から何かをやらせた覚えはないし、自分からやっていた、なんてこともない。

 ただ、ほかの子よりも覚えが早いのである。

 

 ロマンとしては嬉しいとは思った、自分の息子には剣の才能があるのだと。

 それも、自分を超えるてくれるのかどうか楽しみでもあった。

 

 と、そんな訳でロマンには、特殊な【スキル】があり、そのお陰で教えが上手いだけなのである。

 そして、手紙を見たロマンはどうしたものかと悩んだが、息子の剣術の指導もあるということで今年は断ろうという決断に至ったのだ。


 そして、今朝、断りと挨拶を兼ねて、王都へと向けて出発したのだが、この村から王都までは数百キロという距離である。

 

 これでも王都にはかなり近い方ではあるのだ。

 

 それでも遠いと言えば遠いので王都に向かう途中の街に寄ってから王都に行くつもりだったのだ。

 この国では王都の近くであればあるほど村ではなく街と呼ばれ遠ければ村と呼ばれるのだが、アルレットの住むところは王都から離れているため村と呼ばれる。

  そして、王都へ行き指南役の件を話し、帰ってくる予定ではあったので1日ぐらいで帰って来れるであろうと思っているのだ。

 

 

 そして、今はその村に行く途中の道を歩いている途中であった。

 この世界には馬車などもあるのだが馬車には馬車専用の馬車道というものがあるのだが、村には馬車道がないのだ。

 その為、街まで行ってそこから馬車を使う必要があるため、こうして今は歩きで王都を目指しているということだ。

 

 「少し……休むか…」

 

 もう、そろそろで街は見えてきそうなものなのだが、さすがに歩きっぱなしでは足ももたないというものだ。

 少し進んだ所に丁度いい木陰の場所があり、ロマンはそこで休憩することにしたのだ。

 

 「ふぅい〜……ょっと…ホントに王都までは行くのは大変だな〜、たくっ…俺の住んでる所ぐらい分かってるならここまで馬車道通せばいいんだけどな〜」

 

 そう言って愚痴などを零しつつも、早く行かねばとロマンは思い立ち上がろうとしたその時、不意にロマンは何かに気づいたのだ。

 

 「……ん……地震……か?」

 

 そう、微かにであるが地面が一瞬、揺れた気がしたのだ。

 だが、その後には何の変化もなく、ただ気のせいだっただけか?と思いそのまま行こうとしたロマンだが、ふとバルバッハの方を見たその時にロマンは自分の目を疑うような光景が飛び込んできたのだ。

 

 ____ バルバッハの方から煙が上がっていたのだ。

 

 な、なんなのだろうかアレは?何故バルバッハから?いや、それよりもさっきの地震のように感じだ揺れは………

 ロマンはこの時嫌な予感を感じたのだった。

 

 そして、ロマンはいても立っても居られずにバルバッハへ走るのであった。

 

 

 

 

 

 「こ、これは……どういう事だ……?!」

 

 ロマンはバルバッハの信じられない光景に驚きを隠せないでいた。

 あの後、すぐにロマンはバルバッハに走り、何が起こっているのかと、確認しに来たのだが、村の中心が爆発がしたようにえぐれており、至る所で怪我をした人が倒れたりと、とても悲惨な状況だったのだ。

 

 そして、ロマンはこの時、すぐに人為的なものだと判断した。

 そして、周囲に倒れている人達を安全な場所まで運ぶことにした。

 その間にも、出来るだけ情報を掴もうとロマンは考えた。

 

 ここまで見て、考えてから行動に移すまでロマンに時間は掛からなかった。

 それもそのはず、彼は伊達に王国騎士団副騎士長を務めている訳ではない。

 こういう時の冷静かつ正確に物事を考え、行動出来るだけの力を持ち判断力にも長けているのだ。

 

 ロマンは急いで負傷した人達のもとへ駆け寄る。

 

 「大丈夫ですか?!これは、一体どうしたんですかっ?!」

 「ぁ…ぁあ…ロマンさん……ぅ…ま、魔族が来て、む…村を……」

 「なっ!……魔族が……?!」

 

 それは、信じられないような一言だった。

 

 近年では魔族は一向にこちらに戦争をしに来るような感じがなく、魔族が戦いを止めたのでは?などとまで言われていたのだ。

 その、魔族がいきなり、それもこんな村に何の用があるのだろうか?

 ロマンには魔族の狙いがよく、分からなかった。

 だが、狙いが何にせよ………ロマンは許せなかった、だからこそロマンはすぐに魔族を倒さねばと思い負傷者に聞いたのだ。

 

 「魔族は…今、何処に……?」

 

 その声には、怒気が篭っていてとても低い声だった。

 そして、ロマンの気持ちがしっかりと伝わったのだろう、負傷しロマンに支えられながらもロマンの目を真っ直ぐに見てその負傷者は答えた。

 

 「ロマンさんの………お屋敷の方へ……」

 

 

 

 

 

 村の人達をひとまず安全な所へ運び動ける人達に治療を頼み俺は自分の家の方へと向かった。

 そして、家のすぐそばまでついた時、タイミングが悪いんだかいいんだか今、正に息子が魔族の魔法で殺されようとしていた。

 何故だか分からないがそこにはエリーナもいた、多分だがアルはここに来た彼女を守っていたのだろう。

 だが、もう既に魔族は魔法を発動しアルに向かっていた。

 

 これでは間に合わない。

 

 そう思ったその時、驚いたことにアルは魔族の攻撃を防いだのである。

 いや、正確には魔族の攻撃から守られたと言った方がいいだろうか?

 あれは何なのだろう?魔力の塊?のようなものがアルから溢れ出たと思ったらアルの前に壁を作りアルを守ったのだ。

 魔法か?いや、しかし既にアルは……。

 あんなに消耗しきっているアルにはできない事だと思ったがあれはアルがやったようにしか見えない。

 どういう事だ………?

 

 だが、それを確かめる前にやるべき事があるな。

 俺はアルの前に立ち魔族を真正面に見つめた。

 すると魔族は俺の事は領主として知らないらしく聞いてきた。

 

 「誰だ……?」

 

 何だ?俺を本当知らないんだな。

 この時点で本当の目的は別にあると考えていいだろう、この村を襲ったのもそのためだろうしな。

 

 「イヤ〜なに、自分の妻と息子が頑張ってるのに自分だけ王都に行ってました〜じゃ父親失格でしょ?」

 「ほう……貴様がアイツの父親か……」

 「そういう事だ……そして、お前らにはしっかりとこの村を襲った罪を償ってもらう ……」

 

 アルはここまでよく耐えてくれたと思う、そして、アレクシアが見当たらないが多分だがアルが何処かに避難させたのだろう。

 まあ、そうしなくてもアレクシアは戦闘魔法を普通に使えるだけどな。

 さて______

 

 「魔族さんや……お前には、今ここで死んでもらう」

 

 久しぶりに全力を出すかもしれないな。

 まあ、それぐらいの敵ということなんだが……さて魔族はどう出るか……。

 そう思い魔族を観察しようとするその時、魔族の体が消えたのだ。

 いや、消えたというより早すぎる動きに目がついていけなかったのだ。

 なるほど……これはアルには無理だな。

 だが………

 

 「俺ではその速さは遅いぞ」

 「っ!!!!!」

 

 俺は後ろを振り向かずに腰の剣を鞘から抜き後ろに振り上げる。

 すると後ろを取って上から下へ振り下ろそうとしていた魔族の剣と当たり物凄い衝撃波が生まれた。

 魔族はこの一撃を止められるとは思っていなかったようで後ろへと下がった。

 

 「貴様……化け物か……チッ……」

 「お前らに言われたくはないがな……」

 

 だが、魔族は次は正面から向かってきたのだ。

 どうしたんだ?剣術に自信があるのか?いろいろと考えながらも魔族の攻撃をいなして弾いていく。

 確かに少しは剣術の力はあるようだ、アルと互角かそれ以上、まあ、そんなとこだろうな。

 それに別に特段強いってわけでもない、何も仕掛けてくる様子もない。

 だが、何かを狙ってるようにしか見えないのだが、まだ様子を見ておくか……。

 

 なんだ?本当に何も無いじゃないか、そう思ったが魔族の剣を弾きながら後ろへと下がっていってる途中でとてつもない脱力感に襲われたのだ。

 

 「な…に……?これ…は…?」

 「もっと周りを見て戦いましょうぞ〜」

 

 なるほどだ、仲間がいたという単純なことだったのか。

 これは何の魔法なのだろうか?基本的な属性の魔法ではないな。

 それにしても正面から来たのはこの為か、一人が相手をある地点まで動かし、もう一人がそこで待ち構え、魔法を発動する。

 完璧な共同攻撃だ、敵ながら見事なコンビネーションだった。

 

 「まあ、そういう事だ……じゃあなっ!」

 

 ガキィィイイン!!!!

 

 だが………これで、仕留めれると思ったら大間違いだな。

 俺は何の影響も無い様子で魔族の剣を弾き返す。

 

 「なっ?!私の魔法が……効いていない…?!」

 「効いてるさ、バリバリね……でも、弱すぎて関係ないぜ」

 「なっ!なんだと!……」

 

 と、ここで剣使いの魔族が魔法使いの魔族に近づいた。

 

 「あまり……勝手な行動はやめろ……魔王様の命令を忘れるな………そろそろだ行くぞ……」

 「了解……致しました…ぞ……」

 

 何やら話していたみたいだがあまり聞き取れなかったな。

 

 「さて、そろそろ全力でいかせてもらう」

 「まだ、全力ではなかったのか?」

 「まあな……」

 「フッ……ホントに化け物だな……だが俺等はここらで退かせてもらうよ」

 「なっ?!なんだと!……これだけのことをして今更退くだと?どういう事だ?!」

 「今回の目的は達成されている………それに思わぬ収穫があった………と、では退かせてもらおう」

 「まっ待て___ 」

 

 退くと言っている魔族に近付こうとしたその時また体に脱力感を感じだ。

 それと同時に剣使いの魔族が魔法を発動したのだ。

 

 「【爆煙(フレア・スモーク)】」

 

 そう言った後、アイツらの周りに炎が燃え上がり始めて、奴等の姿も消えていったのだ。

 チッ……逃がしたか……。

 

 最後に言っていた目的とは何のことだ?まさかただ単にこの村を襲う事だけが目的だったのか?いや、そんな訳はない。

 では、何が?……………。

 そして、もう一つ「思わぬ収穫」とは、何だったのだろうか?

 この村で何か魔族達が求めていた、何かが見つかったか分かったのだろうか?

 考えても何も出てこないし分からないな、この事はいち早く王都に知らせねば。

 

 結局、魔族の目的や情報を知る事が出来なかったロマンだが、ひとまずはアルや皆が生きていて安心したのだった。

 

 そして、このルーミン・アーク王国内の村バルバッハで起きた魔族襲撃事件はこのあと人類全体に知られることになり、全ての始まりとも言うべき事件でもあったであろう。

 

 

父親視点でしたがどうだったでしょうか?

次もしっかりと頑張っていきます。

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