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最強への一歩

かなり遅くなってしまった……。

善処します(棒)


 俺の目の前の男は普通の大人の男性よりもひと回り大きい背だった。

 前世の時で言い表せば外人並の背、という感じか……。

 それともう一人の方は俺よりも少し背が高いぐらいの身長の低い男だった。

 

 「どういたしますかな、こいつは?」

 

 すると、背の低い男が大男の方に話しかけた。

 

 「まだ殺すな……興味が湧いた…ククッ」

 「わかりました」

 

 何を言ってやがる?まあ、どのみちどうでもいい事なんだがそれよりも、やはりこいつ等はホントに魔族らしいな。

 

 「どうしてこんな事をしたんだ?」

 「なんだ?……以外に落ち着いてるんだな……お前のような奴は珍しいな」

 「いいから答えろ……何をしに来た?」

 「別に隠す気もないさ………そうだな、革命だよ」

 「はぁ?…革命?」

 「これからは魔族の時代が始まるんだよ……我ら魔族は今日を最初のデモンストレーションとして人族(ヒューマン)に地獄を見せるんだよ……どうだ?…面白いと思わんかね?」

 「くだらねぇ事してねぇで平和にしてろよ……」

 

 今まで何もしてこなくなった奴らが急に革命などとよくもまあ、言ったものだな。ホントに何が目的なんだか……。

 だが、これは俺にとってはチャンスではある、魔族に対して俺の力をどれだけ通用するかどうか試してやる……。

 

 俺は魔族の足元に魔法を使う、そして魔族の足元から闇の針が無数に飛び出した。

 だが、それを魔族は読んでいたかのように横に移動して回避する。

 それでも、俺もあんな攻撃で仕留められるとも思ってはいない、魔族の逃げた先に魔力弾を放つ、だが魔族はそれを紙一重で交わしていく。

 マジか……、流石にこれは俺も驚きだ。こんなにも魔族が強いとは……。

 だが……ついていけないなんてことはないな。

 

 これは、侮ってなどいられないな、全力でいくぞ。

 俺は手に魔力を集め形を剣に変えていく、黒い剣の魔力だ、そしてそのまま魔族に突っ込んでいく。

 的確に相手の死角に周り切り込んでいこうとするが、ここで大男の魔族も剣を取り出した。

 は?待て、今どっから剣を取り出した?何も無いところから出てきたように見えたが……。

 まあ、今は関係ない、目の前の敵に集中だ。

 剣術を見る限りでは父さんぐらいか、それに近いところってレベルかな?

 ヤバいわ……完全に部が悪い……、このままやっててもいずれは押し切られるか…なら……。

 俺は一旦魔族との距離をとる…そして、母さんの元へ駆け寄る。

 どれぐらいの戦闘だったのか母さんの体はボロボロだった、多分、俺を迎えに来たエリーを守る為に身を張ったのだろう。

 

 「母さん、立てる?」

 「ア…アル……に……に…げ…て…」

 「大丈夫だよ…それと、もう喋らない方がいい」

 

 さてと、まずは母さんを担いで安全な所にでも____

 

 「うおぉわぁ?!?!」

 

 移動しようとしたその時、大男の魔族の剣が俺の後頭部を掠めた、あっぶな。

 

 「いつまでも時間稼ぎに頼っているつもりか…?」

 「いいや……実際エリーには少しの間しか頼んでねぇよ、あとは戦線離脱してくれってな」

 

 そう、俺は魔族と距離をとり母さんの所へ行こうとした時にエリーに目線で時間稼ぎを頼んだのだ。

 お陰で何とか間に合った感じだな。今から発動させる魔法は魔力を使うんだよなぁ〜。

 魔法を発動させると同時に俺の周りは闇に包まれていった。

 これは闇属性の上級魔法【ブラックアウト】を使った証拠だ。

 これは予めマーキングしていた場所に移動できるという転移系の魔法だ。

 そして次に目に入ったのは俺が鍛錬をしている森だった、ここならまだ何の被害も出てねぇな。

 俺は母さんをゆっくりと降ろしてねかせる、さてと戻るか。

 どうやって倒すかなぁ〜……

 と、その時不意に声を掛けられた。

 

 「あ!アル!無事だったんだね!」

 「エリーか……すまんな時間稼ぎを任して…」

 「大丈夫だよ、アルの母さんの為だもん、それにかばって守ったくれたし……」

 「そっか……俺はもう一回魔族の所に行ってくる」

 「えっ?アル!それじゃぁアルが犠牲になっちゃう___ 」

 「馬鹿野郎…誰もやられねぇよ、必ず戻るこから絶対にここにいろよ!」

 

 そうしてエリーを言い聞かせて俺は村の方へ走った。

 

 

 

 

 「また、ノコノコと俺にやられに来たか……?」

 「それはお前だろう」

 

 魔族はそう言うといきなり、俺に向けて魔法を放ってこようとした。

 

 「【獄火炎(ヘル・フレア)】!」

 

 そう言ったと同時に、魔族の周りから衝撃波のように火が迫ってきた。

 チッ!これは防ぐしかないな。俺はそう思い闇の魔力で壁を築く。

 闇属性の上級魔法【ダークキャニオン】だ。

 すると火の衝撃波は俺の壁にあたり露散した。

 だが、魔族もこれだけでは無かったようだ、魔族が露散した魔力の中から顔を出して、剣を振るってきた。

 だがいける、今の俺なら……できる、俺は魔族の剣をわざと受け止めているかのような形で踏ん張ろうとした瞬間に一気に死角に回り込む、続けて打撃、斬撃いろいろと試した。

 だが、全てを受け止められてしまう。なんだと?これはホントに父さんに近いんじゃないか?

 

 だが………この時俺はもう一人の俺ぐらいの身長の奴が居ないことに初めて気づいたのだ。

 奴は…何処だ?……まさか、こいつ一人に任せたわけじゃないよな。

 何処からか奇襲をしてくるかもしれないし一応、気を配って置いた方がいいな___

 と、思ったその時、急な体の脱力感を感じた、な…なんだこれ?……まさかもう一人の魔族の魔法か?!

 

 「精神属性魔法はいかがですかな……?」

 「な……に……?!」

 

 体がだるい、重い……ヤバい動けない。

 だがここで待ってもらえるなんてことは無く大男の魔族はすかさず俺に蹴りを入れてきて、腹に深く脚が当たる。

 

 「グハッ!!!!」

 「ハハハ!おいおい俺達は一人ずつ戦うなんて言ってないぜ!」

 

 いや、その前にこれは完全に罠にハマっていたな。

 わざとこいつは俺に向かってきて俺からあの背の低い魔族の意識を外したんだ。

 これは何とも言えないな、経験の差か……あ〜腹痛てぇ……。

 吹っ飛ばされながらも俺は何とか体勢を立て直して大男の魔族に向き直りながらもしっかりと二人目にも意識を向けるようにする。

 さて、どうするか?ここでそのまま突っ切ったとしても力ではどうにも出来ないし、また、遠くの方にいる背の低い魔族から意識を外されかねない………。

 と、なるならば……答えは一つ…距離を取りながらの遠距離攻撃だな。

 俺は二人から距離を置いて魔力弾を無数に作り出す。

 

 「ほう……そんなに大量の魔力弾を一回で作り出すとはその年の割には強いな…」

 「それは……どうっも!!!!」

 

 そして、俺は大量の魔力弾を一斉に放つ、これで何とかイケるか?

 

 ドゴゴゴオオオオォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!

 

 魔力弾は二人の魔族の所で大爆発を起こした、これは完全にいったかな?と、思ったが希望は簡単に裏切られた。

 

 「今のは危なかったぞ……これ程とはな…少し人間どもを見ない間にお前のような化け物がいるとわな……」

 「おいおい……マジですか……」

 

 これは……無理だな………今の俺ではこいつ等には勝てない、これは事実だ。

 どうやっても勝てないなら…ここは父さんが来るまで時間稼ぎだな……。

 そう思った時、大男の魔族は不敵な笑みを浮かべていた。

 

 「こんなにも歯ごたえのある人間は久しぶりだぞ…俺も少し本気を出してやろう……」

 

 そう魔族がいった瞬間、大男の魔族の体がぶれて見えた、いや違う速すぎてぶれて見えたのだ。

 何…?どこにいった____

 

 「おいおい、ちゃんと追ってこいよっ」

 「なっ?!うし_ グッ?!」

 

 いつの間にか大男の魔族は後ろにいたのだ、そして俺は魔族の攻撃を防ぐが威力が強すぎて、吹っ飛ばされたのだ。

 何て力だ?!こいつはまだこんな力があったのか?!いや、それよりも、ひとまずは体勢を立て直さないねぇと!!

 何とか途中で踏ん張れたは良かったのだが、その瞬間、体の脱力感が一気にきたのだ。

 なっ?!まさか…!チッ!こんなとこまで飛ばされたのか?!

 クソッ!早くこっから離れねぇと!

 

 「おやおや、余所見はいけませんなぁ〜」

 「あ、しまっ__ 」

 

 そう思うよりも先に魔族の脚が俺の頭に当たる方が速かった。

 俺はそのまま防ぐことも出来ずに思いっきり蹴りを顔面にくらってしまう。

 そのまま俺は数十メートルぐらいは飛ばされ続けた。

 ぐぅぅうう……!!!超〜痛てぇぇ…!頭は脳が揺れたっていうかなんて言うか…脳震盪みたいになってるなこれ……体の骨も少しイッちゃってるし……駄目だこれ……あぁ、死ぬな……。

 大男の魔族は少し離れたところから魔法を放とうと魔力を集めている、1発で仕留めるつもりか……いいぜ、来いよ。

 異世界に来ても俺は「俺」だったな……どんなに頑張っても上には上がいる。

 さて、次は何処に転生するのやら……。

 まあ……でも…心残りがあると言えばエリーや母さん達には心配をかけるな……それぐらいじゃすまなそうだが。

 俺の初めての友達だ……エリーが俺を変えてくれたんだ……誰も俺を見てくれないなんてことはなかったんだ………俺の守りたいものは守れたと思う……これでいい。

 こうしている間にも大男の魔族は魔力を集め終わったようで今にも放てそうだった。

 

 「最後は派手にいこうぜ……【爆火炎(フレア・バーン)】!!」

 

 魔族から放たれた魔法は炎が圧縮されライフル弾のように一直線に俺へと飛んできた。

 チッ……次こそは最強を目指すかな……。

 死を覚悟して魔法が当たるのを待ち、目を瞑る。

 だが魔法は自分の少し前のところで何かに当たったようにはじけ飛んだ。

 あ?……何が起こったんだ?……そう思い瞑っていた目を開けるとそこには____

 ……エリーがいた………

 

 「ふ……フフ……どやぁ……防いで……やっ…たよ…グフッ!」

 「お……おいっ…エリー…?…エリー!!」

 

 倒れそうになるエリーを俺は支えに入る、体が重い、いうことを聞かない……それでも俺は無理矢理 体を動かした。

 

 「お前っ!何でここに?!あそこに居ろって言っただろ?!」

 「だって……絶対……無茶…すると……思って…」

 「だからって!………」

 

 これじゃあ俺は……前と何も変わらない……自分自身を変えるためにここまでしてきたのに何も……変わらないじゃないか…何でだよ……!どうしてだ……!クソッ!……。

 

 エリーの体はボロボロで体のほぼ全て火傷のようになっていた。

 

 「結局は何も出来ない無能じゃないか……何してもどう足掻いてもホントに俺は俺だったな……」

 「ァ…ル…そん…な……事な…いよ……いつでも……優しくしてくれて……私に……楽しい事を……教えてくた…のは……アルだよ……ホント…に……嬉しかった…よ…アルは…ここで…死んじゃ…いけ……ない…………い…き…てぇ…」

 

 その瞬間エリーはガックリと首を垂らした。

 

 「エリー?…おいっ!エリー!」

 

 死んでしまったのではないかと思い、心臓の鼓動を確かめる、すると微かに音が聞こえる、大丈夫だ……エリーはまだ生きてる。

 すぐにエリーを手当てすれば助かる……!

 

 「おいおい〜熱〜い友情劇は終わったか〜い…次は外さねぇぞ〜防げもしねぇで俺の邪魔しやがってまぁ……どのみち根こそぎ殺る予定だったからいいけどな〜…それでも俺の魔法を防いで立ってるとは中々にかんしん____ 」

 「黙れ」

 「あ?……」

 「……黙れ………このクズがっ…」

 「!!!!!っ……」

 

 自分でもこれが自分の声だとは思えないほどの冷たい声が出た、魔族は何かを感じた様子ですぐに後ろに後退した。

 

 今の俺は少し理解し難い感情に襲われている、今までに感じたことのない感情だ……。

 

 多分…俺は初めて…自分の友を馬鹿にされて「怒り」に心を染めているんだと思う。

 抑えることの出来ない怒りが心の底から湧き出てくる、今も段々と怒りが膨れ上がる。

 と、その時……あの「声」は俺の中で響いた……。

 

 『規則値以上の感情の変化を確認______ 感情のタイプは「憤怒」「復讐心」これにより前世から引き継いだ記憶の中から出した適性のある闇属性系統の魔法、スキルに更に変化、強化を開始______ 確認します。


【スキル】

暴食の闇ダークネス・オブ・グラトニー

死の覇気(デス・オーラ)

「 自動反射防衛闇属性能力ダークマター

を獲得________


更に【魔法】闇属性魔法が「闇」派生魔法、闇属性「暗黒」魔法に変化、獲得 ________

更に闇属性派生効果により他属性変化、これにより「火」派生魔法、火属性「黒炎」魔法に変化、獲得______

更に「風」派生魔法、風属性「黒風」魔法に変化、獲得______


更に【称号スキル】「強さを求める者」が「頂きに立つ者」に変化、

 更に「闇を統べる者」「闇からの土産」を獲得しました___

【称号スキル】「頂きに立つ者」の効果で闇系統以外のスキルを強化、【スキル】 「真剣術」を「完全剣術補正」に強化しました。また、規則値以上の感情により感情スキル「感情変化数値化」を獲得_____ 全て確認しました。』

 

 

 な……に……?どういう事だ?まだあの声は終わりじゃなかったのか?

 それに今のは……?。

 だが、前と同じように俺は急激な眠気と脱力感に包まれる。

 まずい……意識が…遠のいていく……ここで倒れたらエリーが……。

 

 「なんかよく分からんがお前は危険な匂いがするな……確実に仕留める……もう、1発くらえや!!【爆火炎(フレア・バーン)】!!」

 

 ヤバい!!この状況でアレをくらったら俺もエリーもタダではすまない。

 それでも俺はエリーだけでも軽傷で済むように覆い被さるが、ここでよく分かない光景が眼の前に広がっていた。

 俺の魔力の闇が俺の前を覆っていたのだ、そしてその他闇の壁に魔族の魔法が当たるが何の衝撃もこなかった。

 それどころか無傷で闇の壁は魔族の魔法の衝撃を全て、受け止めていたのだ。

 何だこれは?と、思ったが俺も限界がきて意識を落としていった。

 

 

 

◆◇◆◇

 

  

 

 やっとこの時が来た……俺達…魔族は今まで……見を潜めて、生活するしかなかった。前の戦争でのダメージが大きかった魔王様を安静にして俺達は準備を整えてきた。

 何も恐れることは無い……今の魔族には力がある、全てはこの時の為………俺は人間達の村の中心に向かって火属性魔法を放つそして俺の放った魔法は大爆発を起こして大きなクレーターをつくった。

 

 「ハハっ!!!見ろ!バモス!ハハハ!俺達の地獄を見せる時が来たぞ!!滑稽だな!人間ども」

 

 俺が呼んだのは助手として連れてきた俺の部下のバモスである。

 こいつは精神属性という変わった属性の魔法を使い相手の精神を壊していく魔法の使い手である。

 こいつの魔法はとても戦術が立てやすく、こいつとは組めばとても俺等は強くなるのだ。

 そして、俺達の目的は村の根絶やしではない、これだけ派手にやったのにすぐに世界に広まらなければ意味がない。

 つまり、お偉いさんを叩けば勝手に広めてくれるんだよ、つまりはいち早くここの領主を叩く。と、思ったが領主が住んでいるような所まで来たが女と女の子供しか居なかったのだ。

 チッ!タイミングが悪かったか……。

 だが、コレばっかりは仕方がない、少し遊ぶかと思い、近づいていったのだ。

 

 「やぁ、やぁ、領主殿、今のは楽しんで貰えたかな?」

 「楽しむ……ですって?」

 「あぁ、そうだよ」

 「あなた達は……」

 

 まあ、これぐらい近づけば魔族だと気づくだろう、それよりも久しぶりの人間共だどれぐらいの知恵や力が備わっているのやら、まあ、同じかもしれないしな。

 そして、俺は女の方に凄まじい殺気を送る、すると女は何かを察知したように女の子どもを自分の後ろにいるように言っていた、それぐらいで守れる分けないだろう……。

 と、思っていたのだが…これが中々に手強い相手であったのだ。

 魔法の精度と言い、強さといい女がこれ程とは……ハハッ!これはかなり楽しめそうだな!____

 

 

 

 

 俺は連続で女に魔法を打ち続けていた、最初はかなり防がれていたが相手の魔力が尽きたのか、そのままされるがままに女は俺の魔法に蹂躙されていった。

 中々に耐えたな〜、人間でしかも女だと言うのによくもまあ戦ったものだ、かなり派手にやってしまったぞ。

 

 さて、そろそろ起き上がってこないだろうと、そう思い、女の子どもの方もしっかりと始末しようと向くと女の子どもは泣きながら一人の人間の少年の方へ走っていた。

 一人増えただけだ、俺は二人とも道ずれになるようにかなりの威力を込めた魔法を使用した。

 

 「【火の矢(ファイア・アロー)】!」

 

 【火の矢(ファイア・アロー)】。

 それは火属性魔法の中級程度の威力の魔法である。

 だが、それでも魔力の高で威力は変わってくる俺が放ったのは魔力を多く集めて放った魔法である。

 子供にはこれぐらいでいいなと、思ったのだが、これは俺の勘違いだったと思い知らされたのだ。

 少年は俺の魔法に対して同じ威力で魔法を放ち相殺してきたのである。

 

 だが、俺はこれぐらいでは驚かない、この時俺が驚いたのは少年の魔法の放ち方である。

 

 「ほぅ……完全なる無詠唱だと……?」

 

 そう、こいつは希に見る……いや、この世界では魔王様をぐらいしか見たことがないが「完全無詠唱者」なのだ。

 

 まず、魔法の詠唱とは何か?

 それは魔法を放つ前に言う決まり言葉である。

 この事を「詠唱」と言うのである。

 

 そしてこの世界には「詠唱破断」と言うのがある、それは長い詠唱をしないで魔法名だけを言って放つことである。

 これは、無詠唱とも言われる、魔法名を言うことも詠唱することと同じだと思っている者も多いがそれは違う。

 魔法を放つ前の決まり言葉それが「詠唱」詠唱をしないで放つのが「詠唱破断」である。

 

 そして、さらにその先______

 「完全無詠唱」と言うのがある。

 これは何も言わずに頭で魔法を考えて同時に多数の魔法を放つことである。

 だが、これだけ聞けば「何だ、簡単なことじゃないかと」思う者もいるだろうが、それは違う……先ず最初に詠唱をしている者からすればどうやって頭で魔法を想像するのか分からないのである。

 そして、これをできる者を「完全無詠唱者」と言うのである。

 

 それが今、眼の前にいるのである。

 魔王様以外に見たことは無かったが……。

 おっと、つい考えに熱中していたな。

 その後少年は周りを軽く見渡し、状況把握をしたあとにこっちに視線を向けてきた。

 

 「魔族か………」

 「お〜物分りが良くて助かるよ」

 

 俺等を見て怖気つかず、更には敵意を放ってくる、中々の強者と俺は見た。

 これは久々に熱い戦いが出来ると思い俺は気持ちが高鳴った。

 

 俺の隣にいたバモスが今すぐ殺すかどうか聞いてきたがこいつはバモスでは相手にならんな。

 そう思い俺はサポートに回るように指示する。

 そして、少年に向き直ると奴は話しかけてきた。

 

 「どうしてこんな事をしたんだ?」

 「なんだ?……以外に落ち着いてるんだな……お前のような奴は珍しいな」

 「いいから答えろ……何をしに来た?」

 

 そうだな……ここで本当のことを言うか……?いや、魔王様より受けた命は絶対だ真実を明かせるその時までは伏せる。

 ここは適当に話すか。

 

 「別に隠す気もないさ………そうだな、革命だよ」

 「はぁ?…革命?」

 「これからは魔族の時代が始まるんだよ……我ら魔族は今日を最初のデモンストレーションとして人族(ヒューマン)に地獄を見せるんだよ……どうだ?…面白いと思わんかね?」

 「くだらねぇ事してねぇで平和にしてろよ……」

 

 俺って嘘が下手だなと改めて思った、思いっきりキレられたよ。

 そして奴は微動だにしてないのに俺の足元に魔法の反応を感じた。

 チッ!これが完全無詠唱の嫌なとこなんだよ!

 どんなに警戒してても結局は全て不意打ちになるのだ。

 

 俺はこれを難なくかわしたが奴はそれだけでは仕留められないと思ったのだろう、魔力弾を放ってきた。

 かなりの威力だ、これは危ねぇな。

 俺はギリギリでかわしたつもりだったが、相手はこれを避けられるとは思っていなかったようだ。

 

 いや、結構危なかったがな……。

 

 だが奴はそれだけでは終わらず闇の魔力で作った刀で俺に向かってきたのだ。

 何だこいつは?普通は魔族とは戦いたくもないと思うはずだがこいつは躊躇もぜずにむかってくるではないか。

 

 これ程に好戦的な人族(ヒューマン)を見たことがないぞ。

 いったい何者なんだ?こいつは?

 だが、考えていても無駄だな。俺は奴の突撃を軽くいなし懐から剣を出して弾き続ける、これも俺がこんなに剣術に長けているとは思っても見なかったと風に驚いていた。

 

 ____ 魔族を舐め過ぎだ………。

 

 だが、ここは不利だと思ったのか奴は距離をとって女と子供を逃がすことにしたらしい。

 いい判断だ、だが逃すわけもなく魔法を放ったが避けられ、転移されてしまった。転移まで出来るのか……それに今のは結構強く放った魔法なんだが………。

 

 だが、その後すぐに奴は帰ってきた、逃げない分大した奴だ。

 

 「また、ノコノコと俺にやられに来たか……?」

 「それはお前だろう」

 

 まだ、そんなことを言えるとはな……勇敢と無謀を間違えてないといいんだがな。

 俺は先ずは魔法を放ち牽制しつつ奴に近づく、だが剣術の差をわかっている奴は距離を取り魔力弾を放つつもりらしい。

 というか、その魔力弾の数が異常だな、まだ魔王様をには遠いが千は超えいている。こいつ、ホントに人間か?

 

 だが、こんなのにやられる俺ではない俺は自分とバモスに火属性魔法の防御魔法を張る。

 それに奴の魔力弾が当たる、その時俺の張った防御壁にヒビが入ったのだ。

 ____ 化け物が…………。

 

 それでも俺たちを倒せなかったことに悔しさを隠しきれていなかったが、俺たちにしてみれば冷や汗ものである。

 

 これは本気で行くしかない、俺はそう思った。

 

 

 この判断は正解だったと確信した、俺の動きについて来れずされるがままであった。

 

 バモスの方へ吹き飛ばし奴の動きを封じてから渾身の力を込めた蹴りを放った、奴の首の骨が折れる音が聞こえた。

 そして数十メートル吹き飛ばされた奴は起き上がることは無かったが息はあった。

 確実に奴は殺さねばいけないという気持ちが何故か俺にはあった。

 だからこそ俺の強めの魔法を放った。

 

 ____ だが、奴には届かなかった。

 奴が助けた女の子どもが庇ったのである、チッいつも間に来てやがった。

 奴は女の方を支えて何か言っていたが関係ない。

 

 「おいおい〜熱〜い友情劇は終わったか〜い…次は外さねぇぞ〜防げもしねぇで俺の邪魔しやがってまぁ……どのみち根こそぎ殺る予定だったからいいけどな〜…それでも俺の魔法を防いで立っていたとは中々にかんしん____ 」

 「黙れ」

 「あ?……」

 「……黙れ………このクズがっ…」

 「!!!!!っ……」

 

 こと時、俺は完全にビビった。

 こんなのガキの何に恐怖する必要があるのかと頭では分かっているが体が動かなかった。

 だが奴も何やら止まったまま動こうとしなかった。

 ここはやるしかないと思い、思いっきりさっきと同じ魔法を放った。

 が、またしても奴には届かなかった、今度は闇の魔力の壁が奴を守ったのである。

 何が起こってやがる……?!

 だが奴はそれからすぐに気絶していった。

 チャンスだ……次こそ……

 と、思ったその時、一人の人間の男が現れたのだ。

 

 「誰だ……?」

 「イヤ〜なに、自分の妻と息子が頑張ってるのに自分だけ王都に行ってました〜じゃ父親失格でしょ?」

 

 男はそう言ったのだった______ 。

 

 

 

また最後の方急いでしまった感がある。

落ち着いて書かねば……。


タイトル変更をしました。

最後の声→最強への一歩

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