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魔族というもの

最後の方は少し生き急いだ感はありますね……えぇ。



 もうそろそろ夕日が沈む頃だろう。

 

 「エリー、そろそろ帰らないか?」

 「え?あ〜……うん、そだね!」

 

 いつの間にかこんな時間になってしまったのは、いつにも増してエリーに付き合わされたからであって、決して遊んでいた訳ではない。

 だが、今までずっとエリーの風属性魔法を見てなかったなと鍛錬の時にふと思ったのだ。

 なのでちょっと前にエリーに言ってみたのだ。

 

 「なぁ、エリー」

 「ん?なに〜?」

 「聞きたいことがあるんだが…」

 「え?!?!なに!好きなタイプ?!?!え〜といつもは普通に友達として接してくれるけどたまに優しくて〜大事な事ははっきり言ってくれて〜とても強くて守ってくれそうでぇ〜え〜と……そのタイプって言うか好きな人は〜…」

 

 「お前、今、風属性魔法使えるか?」

 「え?」

 「え?」

 

 え?何?何を言うと思ってたのアイツ……。なんかブツブツ言ってて聞こえなかったんだけど。

 

 「なんか……言おうとしたか?」

 「べぇ〜つぅに〜何でもないよ〜」

 「そうか……?と、聞きたいんだがエリーの風属性魔法を見たことがないのだが……」

 「え?あ〜確かに使ってなかったね……ま、でも、魔法はもう中級までいったし一応は使えるよ?」

 「じゃあ、ちょっと見せてもらっていいか?」

 「うん!おっけ〜」

 

 そう言うとエリーの周りに突然、風が吹き始めたのだ。

 エリーが風属性の魔力を溜めている証拠だ、そして風属性の魔力が集まり固まっていく。その風属性の魔力は形を変えていき刃のようになっていく。

 それからエリーは叫んだ。

 

 「【ウィンドカッター】!!」

 

 そしてエリーから放たれた風の刃は前にある木々を切り裂いていき、とてつもない威力を示した。

 

 おぉ…!と、この時は思ったのだがすぐに俺はこの時、気づいたのだ。

 エリーは今、とても長い詠唱をしないで魔法を発動していたのだ。まさか、エリーは無詠唱で魔法を発動出来るのかと思ったのだがエリー曰く、

 

 「それは「生活魔法」って言っていろいろと仕事をする上で役立つ魔法にしかしない詠唱だよ。ていうか今も詠唱?のような事はしたよ。風属性魔法の魔法名叫んだじゃん」

 

 とのこと、つまり長ったらしい詠唱をするのが生活魔法。

 普通に魔法名だけを言って発動させるのが風属性__ ではなく一つの括りとして戦闘魔法らしい。

 なるほどとは思ったが、この時……俺は閃いた。これは別に魔法名を言わなくても魔法を放てるのではないかと、それこそがホントの無詠唱なのではないかと。なので俺はこの時、試しに魔法名を呟かずに闇属性魔法の中級程度の魔法【ダークアロー】を放とうとしてみた。するとしっかりと魔法は発動して木々に漆黒の矢が突き刺さり吹き飛ばしたのだ。

 これはホントによかった、ホントの無詠唱がなかったらどうしようかと思ったのだ。

だがしかし、かなりの魔力を使用して放つ魔法は詠唱をしないと出来ないらしい、それは本当か?と思ったが、まあ、そのうち無詠唱でやることがあるだろうと思った。

 と、まあいろいろ発見があって良かったのだ____ 。

 

 

 

  

 それにしてもエリーの風属性魔法は凄かったが確かこの世界では魔法が中級ぐらいまで使えているのなら問題ない、だったかな?

 というかイマイチこの世界の魔法の階級が分からないな。幼少期はそれを調べる暇が無かったからな。と思いこれもまたエリーに聞いてみたところ階級はかなり細かいのだとか、まあ、つまりまとめると……

 

 

・初級…誰でも覚えられる楽々魔法。



・下級…初心者冒険者はこの魔法を覚えていれば安全レベル。



・中級…ちょっと威力が上がり戦闘でよく使われる魔法。



・上位中級…中級の中でも上級に近いぐらいの威力を出せる級、この使い手がいれば

安全性大である。



・上級…かなりの高威力を放てる階級の魔法、コレを使えればとても強くなれる。



・中位上級…上級の中でも上位上級に近いぐらいの威力を出せる級この魔法を打てれ

ば冒険者ではかなりの強さである。



・上位上級…上級の中でも超級に近いぐらいの威力を出せる級、この級の魔法が打て

ればまず負けはほとんどない。




・超級…王宮に仕える魔術師ですら極少数の者しか使えないという魔法、これが使え

れば怖いものなどまずない。



・上位超級…超級の中でも超位超級に近いぐらいの威力を出せる級、これを使えるの

は王宮魔術師を超えた「魔導師」だと言われているらしい。



・超位超級…超級の中でも帝王級に近いぐらいの威力を出せる級この魔法を使えるの

は魔導師を超えた「魔導師総長」と呼ばれる人のみである。



・帝王級…正に英雄と称されるレベルの魔法、今までの魔法を超越した強さである。



・魔級…上位悪魔が使えると言われている強力な魔法、人がここまでたどり着いた例

はないと言われている。



・神級…全てを超越し神に等しいまさに「魔法の頂き」がこの魔法である。人間など

使えるはずがないと言われている。



・幻級…空想上の存在もしくは神話伝説類の魔法、この世に存在するかも疑わしいと

まで言われている。

 

 

 

 と、まあ大まかに階級を分けるとこんな感じだろう。

ちなみに王宮魔術師とか魔導師とか言っていたが、新人は魔法士団入団からだそうでつまり〜まとめると……


魔法士団レベル→王宮魔術師レベル→魔導師レベル→魔導師総長(魔法師団長)


と、なるらしいが……

 何かめんどくさいな……。別に階級とかで分けなくてもと思ったのだがその後のエリーの言葉でなるほどとは思った。


 

 「こうゆうふうに階級があるけど誰が決めたのかは全く分かってないんだって〜、ていうか最初っからステータスに書いてあるし」

 

 確かにこれは最初っから俺も書かれていたし誰かがこれを決めたとかは分からないと思うがホントにこれは「人」が決めたのか?疑問をこの時は覚えた。

 最初っからこの世界の仕組みの常識としてあったかもしれないと俺は思うのだが………こればっかりは考えても仕方ない事、俺には理解不能。

 それでも分かったのはこの世界でチート人間として生きるには幻級になりゃいんだろ?おーけーおーけー、シンプルにいけばいい。

 やっぱり最強は誰も成し得なかったことを当たり前にやってこそ最強でしょ〜これはそそるねぇ〜。

 

 と、話がズレた、まあこれでエリーの魔法の力は分かった。

 別にこれならエリー魔術騎士の所に行けるのでは?と思ったがそう言えばと思い出した、魔術騎士って剣と魔法の騎士やんけ。

 

 「おいエリー、お前魔術騎士の育成所に行くんだろ?剣術はどうすんだよ?」

 「え?育成所で鍛えるけど?」

 「ふぁ?」

 「え?」

 

 何だって?育成所は最初っから最後まで鍛え上げるのか?少し鍛えてから行かないとダメ的なことないのか?

 どうなんだろうか?と思いまたまたエリーに聞いてみた……。

 

 エリー曰く、別に最初っからどっちも鍛えておく必要はないとどちらか一方を最初の試験の「技能試験」で見せればいいとの事らしかった。

 マジか……そんなんで良いの?学校みたいなとこで学ぶことなんかたかが知れてると思うのだが…?

 

 とは、言ったもののホントにそうだとしたのならそこでもとてもレベルの高い事を習えるということだろうか?確かにそれは至極真っ当で当たり前の事。

 だとするなら、そこでもっと、今以上の事が学べるとしたら、そういう事なら少しは興味があるな………。

 

 「やっぱり……俺も行ってみるかな……」

 「ホントに?!アル行ったほうが絶対良いよ!」

 「そうかァ…?」

 

 ここで、このまま鍛錬を続けていくのもありだが、やはりそれでは成長の結果が分からないか……。

 今日中にはも親に相談してみるか………。

 

 



◆◇◆◇



 

 

 そして、俺はエリーと別れて家に到着した、玄関の扉を開けて中に入ると、とてもいい匂いがした。

 丁度、夜ご飯の出来上がる頃に帰ってこれたらしい、危ない危ない、これでもう少しエリーと話し込んでいたらどうなってたか考えるだけでも恐ろしいな……。

 すると、二階から誰かが降りてくる音が聞こえた、見続けているとそれは母さん、アレクシアだった。

 

 「あら?おかえりアル!…そろそろご飯よ、顔の汚れとか落としてからいらっしゃい…」

 「あ〜分かった……」

 

 そして、俺は洗面所に向かい顔や手の泥を洗い流し、部屋に行き母さん達と一緒に食事をとる。

 その時、俺は帰りの途中でエリーと話した事を考え、父さんに言ってみようと口を開いた。

 

 「ねぇ、父さん」

 「お〜?なんだ〜?」

 「話があるんだけど良いかな……?」

 

 俺の少し真面目になった雰囲気を感じ取ったのだろう、父さんもしっかりと真面目な顔で俺を見てきた。

 まあ、ただ俺が魔術騎士育成所に入りたいって言うだけなんだけどな。

 

 「それで……話しってのはなんだアル?」

 「うん……俺も、もうそろそろ11になる頃でしょ?」

 「まあ…そうだな……」

 「それで…俺……魔術騎士育成所に行きたいと思うんだけどどうか……な?」

 

 これは……答えを聞くまでもないかな…?普通に考えて俺は二人の一人息子だ。

 そうなれば必然的にこの村の次の領主は俺だ、やはり無理なお願いだったか……。

 

 「なんだ?そんな事か……別にいいぞ〜?」

 「そっか…まあ、むり……えっ?」

 「だから、いいぞって魔術騎士育成所に行っても」

 

 なん…だと…?ホントに良いって言ったのか今?そんなにあっさり…?

 

 「え……でも、俺はこの村の…」

 「別に無理に俺等はお前を領主にはしないよ……お前の人生まだこれからだろ?だったらお前の意見を尊重するさ…ま、それでいろいろとやってそれでここに帰って来たらその時は継いでもらいたいがな……」

 「父さん……」

 「だが……お前はまだ11になる前だろ?男子の成人は14だぞ?ホントに行くと言うんなら後3〜4年待て…そっからだ」

 

 あ〜この世界ではそうだったな……男子が14で女子が11か。

 だからエリーはあんなに焦っていたのか。

 

 そして、父さんは「先に部屋に戻るよ」と、言って行ってしまった、それを見ていた俺に今度は母さんが話しかけてきた。

 

 「アル……父さんが言ってた通り、貴方はまだ若い…それにこれからもまだ多くの事を学ばなくちゃいけない、それなのにこの村に残ってそのまま領主に成るなんて勿体ないわ人生が、だから貴方はここをまず出て……それから世界を見て回るといいわ、そして見て感じたことで経験を積んでたらっしゃい………そしてここにまた帰ってくるといいわ……。」

 「………う、うん…」

 

 俺は……正直…両親を見くびってた。

 こんなにも俺の事を考えてくれていたなんて……親バカにも程があるだろ………。

 ははは……いいぜ……こんなにも俺を思ってくれてるんだ、必ず世界を見て感じて……俺の目標の為に…この人達のために、俺は……必ず……必ず強くなることを誓った。

 

 それから俺は自分の部屋に戻りその後、ベットに横になりながらもすぐに眠りにつくことは無かった……。

 それは…これからの自分の目標がより明確になり確かなものになったからだろう、そして俺はその事を考えながら段々と眠気に襲われて意識を闇の中に落としていった。

 

 だが……この時、アルは知らなかった……これから、起きるであろう事が…悲劇でありアルレット=エジェロワールという者の物語の始まりであり……これが後に世界に波乱の渦を巻き起こし時代を変えていくことになろうとはアルも誰も……知らなかった。

 

 


◆◇◆◇




 

 

 不思議なことだ……あんなにも昨日寝付けなかったのに朝の目覚めはスッキリしている。

 やりたいことが、かなり明確になったということだろう。

 さて父さんが起きる前に素振りでもしてるか。

 そう思い、玄関に向かうと母さんが父さんの見送りをしているところだった。

 

 「ん?父さんこれからどっか行くの?」

 「アル!どうしたの?…まだ寝てて良いのに……」

 「あ〜…ちょっと目が覚めちゃって…」

 「俺はちょっと用事があるから王都まで行っくるんだよ、帰りは夜になると思う…」

 「そっか……いってらっしゃい…」

 「あぁ、行ってくる、それじゃ…アルを頼む」

 「えぇ、あなた」

 「アルもアレクシアを任せたぞ〜」

 「は〜い」

 

 そうして、父さんは王都に向けて出発して行った。

 なぁ〜マジか〜せっかく今日はなんだが力が漲ってたんだけどなァ〜こればっかりは仕方ないか……。

 そうやって俺は割り切ることにしてその後の朝食を済ませて、すぐさま森に行く事にした。

 

 

 

 

 「ふぅ〜午前はこれぐらいで良いかな……」

 

 あの後すぐに森に来た俺は午前中の最初にやる素振りをしようと思ったのだが、今、ただ普通にやるだけじゃあ、つまらんなと思いある事を思いついた。

 それは木刀に魔力を纏わせてそれを放つ鍛錬だ、これは意外に手に集める方法と似ていて、簡単に刀が闇の黒紫色に染まったのだ。

 そしてそれを魔法を放つ感覚と同じ感覚で刀を振り放とうとしてみる、すると刀身の魔力は三日月の形を描いた斬撃になり木に当たり木を切ったのだ。

 

 「おぉ……!」

 

 これは、流石に俺もビックリだ、やはりこういうことは出来たんだなと思い、その後も何回も放ち続けて今に至るという感じである。

 

 「くぅぅ〜きっついな〜これはいい練習法を見つけたな」

 

 そう思いそろそろ昼にしようかと思った時、突然声が響いた、それは久しぶりの声で何度も聞いたことの得る声だった。

 

 『鍛錬の練習回数の上限回数を突破、【スキル】「魔力斬撃」を習得しました』

 

 ホントに久々だな、いつぶりだ?………あ〜俺が記憶を取り戻す時か〜あん時はお世話になったな。

 そう思いながら突然のことと昔の思い出に浸りながら昼飯をとった。

 

 さて、結構休憩したかな……あ〜でも、まだエリーが来ねぇなぁ、そろそろ来てもいいんだが昼はとっくに過ぎてるし…。

 そう思い魔力を手に集めようとしたその時____

 

 ドッゴゴオオオオォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!

 

 何だ?!?!今の音は?!今まで絶対に聞いたことのない音、爆発音だった。

 そして……その音の方向は____

 

 「村の方じゃねぇか!!!クソッ!」

 

 俺はその場からすぐに駆け出して村の方へ走って行った。

 この時の自分のした行動の意味が分からなかった、何故、俺は村を守ろうとしているのか?

 でも、これはエリーに言われた日から俺の何かが変わった証拠だったのだろうと思った。

 

 

 人の根本的な考えは変わらないと誰かが言った。

 だが…またある時、誰かが言った。

 

 『人の根本的な考えは変わらない……だが……人は何かのきっかけで今の自分を変えたいと思う生き物である』

 

 と言った。

 


 

◆◇◆◇

 


 

 「アルもホントに一緒に来てくれるかな〜」

 

 私、エリーナ=ヴァオラルシアは午後のアルとの鍛錬のためにあるの家に向かいながら昨日のことを考えていた。

 アルは昨日の最後、自分も魔術騎士育成所に行きたいと、そんなことを言っていた。

 うへへ〜…アルもホントのホントに来てくれないかなぁ〜

 そしたら一緒に学べるのになぁ〜……。

 まだアルが一緒に来てくれるか分からないのに私はアルとの育成所での様子を思い浮かべて、アルの家まで来ていた。

 そして、アルを待とうとしていると家の中からアルの母アレクシアさんが出てきたのだ。

 そして私を見つけるなり早足でこっちに来たのだ。

 

 「こ、こんにちはアレクシアさん」

 「えぇ、こんにちはエリーちゃん…」

 

 ホントにアレクシアさんは私の母と同い年に見えないというか若く見えるというか……はぁ……。

 

 「あの、それで……アルは…?」

 「あぁ……そうそう、アルね、朝、うちの主人が用事で、で出ちゃってそれで朝から森に行ってるのよ」

 「なんだ…!そうなんですか!わかりました!ありがとうございます」

 「いえいえ〜」

 

 そして、私はアレクシアさんに別れを告げて森に行こうとしたその時____

 

 このアルの家から少し坂を降りた所にある住宅地や畑がある場所に突如として爆発や爆音、爆風が鳴り響いた。

 立っているのも難しく私はその場で座りこんでしまった。

 

 「大丈夫?!エリーちゃん!」

 「あ、アレクシアさ…ん?」

 

 私を支えてくれているアレクシアさんは全然ピンピンとして立っていた。

 

 「少し昔は「魔法使者アレクシア」って言う二つ名の名声があったんだけどね、内緒よこれ」

 

 そう言ってアレクシアさんは口に指を当てた。

 とても女の子らしい仕草で可愛いと思ってしまったのは言うまでもない事だった。

 そして、少し爆風がおさまった頃に上空から黒いローブに身を包んだ男が二人組が降りてきたのだ。

 

 「やぁ、やぁ、領主殿、今のは楽しんで貰えたかな?」

 「楽しむ……ですって?」

 「あぁ、そうだよ」

 「あなた達は……」

 

 私はとてもこの場所が恐くて何も言えなかった。

 だが、まだそれよりも気になるり驚いているのはその男の二人組には角があり、目も少々赤かった。

 それは話には聞いたことがあるが出会ってはなかった。魔族と言われる人達なのだろう。

 

 異様な雰囲気だった、とても落ち着くことなんて出来なかった。

 私はどうしていいか分からず、ずっと立ち尽くしていた、するとアレクシアさんは____

 

 「エリー、少し、私の後ろに隠れてくれる?」

 

 そう言って自分の後ろを指さしたのだ。私はどうすればいいのか?分からず、言われるがままにした。

 

 ホントに恐い……どうすればいいんだろう?

 

 「アルゥ………助けて……」


 

 

◆◇◆◇

 


 

 俺はやっと森を出て村に来た。

 そしてそこで見たものはとんでもない光景だった、村が跡形もなく吹っ飛んでいて真ん中に大きなクレーターが出来ていた。

 かろうじて助かった家も見られたが死んでしまった人もいるだろう。

 何なんだこれは?どうなっている?訳が分からない。

 誰の仕業だ……俺はこんなにも俺の居場所を傷付けた奴が絶対に許せないという今まで感じたことのない怒りを感じていた。

 だが今は家の方が心配だったため、村の皆には悪いが先に家を見てくることにした。

 

 


 

 家へと続く坂を上り、家が見える位置まで行ったところで俺は飛び込んで来た光景に目を疑った。

 まず、俺が父さんと鍛錬などをしている部分がほとんど月面と同じような形になっていて、その中に母さん、アレクシアがいたのだ。

 何故、母さんが?………。

 そう思ったが、納得がいった、母さんは近くにいるエリーを守っていたのだ。

 物凄い、戦闘だったことはこの惨状を見れば分かる、そしてエリーは俺を見つけるなりこちらに泣きながら走ってきた。だがそれを母さんのところに立っていた、ローブに身を包んだ男の一人がエリーを見て魔法を使おうとしていた。

 おいっ!バカ!危ねぇ!!!

 

 「【火の矢(ファイア・アロー)】!」

 

 すかさず俺はエリーのところまで走り、俺も魔法を使う。

 俺の周りに闇属性の魔力の槍が集まり相手の「火の矢」とぶつかり合う。

 

 「ほぅ……完全なる無詠唱だと……?」

 

 男が何か喋った時、少し顔が見えたのだがその時の顔は頭から角が生えていて牙もあった。

 こいつ等はまさか……

 

 「魔族か………」

 「お〜物分りが良くて助かるよ」

 

 おいおい……何でまたそんな奴がここにきてんだよ!

 

 

 そう……そこにいたのは何年のも間、人と対立を繰り返し、最近は大人しくなったとか聞いていた正真正銘____

 「魔族」だった。

 

 

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