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16/22

仕方ない決断

すいません、遅くなりすぎました。

自殺して転生してきます。


 弟子になりたいと懇願された次の日、アルレットとはいつものようにロマンとの木刀での打ち合いを終え、午後の鍛錬に行こうとしていた。

 だが、昼ご飯を済ませた後アルレットはすぐに森へ行こうとしていなかった。

 

 「…………」

 「あら?……アルまだ家にいたの?」

 「あっと……ちょっと休憩を……」

 「あら、そぅ……」

 

 どうせ、今森に行ったっているんだろ、アイツら……あ〜ヤダヤダ、勘弁してくれ。

 昨日の力を見てから考えるという後先考えずに言ってしまった発言を悔やむでも悔やみきれない。

 

 まあ、熱心に指導をすれば案外いけるかもしれないが………。

 

 「考えててもしょうがない……行くか……」

 

 「ふぅ」とため息を吐きながら俺は椅子から立ち上がり玄関を出た。

 いつもの道のりを歩く足が重い。

 別に弟子ぐらいなら……なんて思われるかもしれないが人に何かを教えるのはホントに苦手なんだ。

 エリーには教えてたんじゃないのかと妹さんに言われたが、断じて俺がエリーにすべてを教えていたわけじゃない。

 エリーが興味津々で俺の鍛錬の様子を見ていてそこから時々一人でアイツが俺のを真似てやっていた、それだけだ。

 ただ、真似事をしているだけだと思ってたんだがな……なんか普通に俺と同じことをできるようになっていた。

 あいつの成長速度を見てると悲しくなってくるよ……。

 

 と、あれこれ考えながら歩いているといつもの森の前まで来ていた。

 

 「はぁ〜……」

 

 本日2度目のため息を吐きながら中へと進んでいく。

 そして……

 

 「あっ!」

 「げっ……」

 

 そこには昨日と同じメンバーが既に俺の到着を待っていた。

 

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 「私たちの力がどれぐらいか見てもらえるって約束ですよね!」

 「あ〜……まぁ、そうだね…」

 「じゃあ皆、誰が最初に見てもらうかジャンケンしよ!」

 

 ごめん、そんな勝手に進めないでくれ。

 もう、なんかやる気がパナイよ。

 これじゃあもう、断れないんだけど………見てもらえるだけだって言うのに弟子にしてもらえた!っていう感じがすごい。

 断っても別に大丈夫だよね?俺悪くないよね?

 

 「じゃあ……わ、私から…」

 

 何やらジャンケンで順番が決まったようでエリーの妹じゃない方の女の子が前に出てきた。

 

 「えぇと……サアラだったか…」

 「えっ?!…な、何で……私の名前……」

 「あ」

 

 しまった……俺まだこの子達の名前聞いてなかったんだ、【スキル】の力で確認できたなんて言えないしな〜……どうするか。

 

 「えぇと一応親が領主だし……自分もしっかりと村の人達のこと知っとかなきゃな……」

 「それで名前知ってくれてたんですね」

 「………」

 

 誤魔化せたかな………ゴメンなんか流石ですね的な雰囲気流れてるけどただ【スキル】のおかげだからな……。

 それと、まだ細かく説明してなかったな。

 この娘の名前はサアラ=ディシェーポロ、エリーの妹の友人にして親友のような関係だと思われる。

 髪は薄い水色のポニーテールで目は透き通るように綺麗な青だ。

 四人組の中では知的な印象を受けるな。

 まあ、まとめ役はエリーの妹だろうが、実際には裏で色々と皆を支えている苦労人のような娘にも見えるな。

 細かくとは言ったもののこれぐらいしか分からないな。

 そもそもステータスを見たとは言っても名前と、【スキル】ぐらいなのだから。

 

 「サアラさ…ん?」

 「サアラでいいですよ?」

 「サアラ…は魔法の属性は何?」

 「水…です!」

 

 水属性か……属性は一つなのか……いや、エリーも一属性だったな。

 もしかして皆一つだけなのか………?ここら辺はよく分からないな。

 

 「まあ、いいか……それじゃぁ俺に向けて魔法を打ってみてくれ」

 「えっ、いいんですか?」

 「どうぞ、遠慮なく」

 

 俺は手をヒラヒラと振りながらサアラを見る。

 

 「い、いきます…!」

 

 サアラの手に魔力が集まっていく、以外にも魔力が多いな。

 む、中々に威力が高そうだ…。

 

 「水槍(スプレット・ランス)!!!」

 「……!」

 

 勢いよく出た水属性の魔力は鋭い水の槍となって俺に一直線に向かってきた。その速度は侮れないものだ。

 一瞬にして目の前まで水の槍が届いて来ている。

 

 だが……

 

 バシャァァァァァァ!!!!!!

 

 水の弾ける音と共にサアラの魔法は防がれた。

 俺の【スキル】、「 |自動反射防衛闇属性能力ダークマター」によって。

 

 「中々に高威力だな……ただの水の槍の魔法にしては…」

 「す、すごい……」

 「どうやって防いだの……?」

 

 俺の【スキル】を見てサアラや他の三人も驚いていた。

 さて……サアラの力はわかった、次だな。

 

 「つ、次はオレがいきます……!!」

 「えぇと……アレクだったか…?」

 「っ!!…はい!アレクです」

 

 元気やな〜……四人の中でも一番、活発なイメージだ。

 この子の名前はアレク=レオノフ、この四人組中男子二人の中の一人で何にでも好奇心旺盛と言った感じか、学校で言えばクラスに一人はいるうるさいヤツって感じたと思う。

 髪の色は燃えるように紅く、目も紅蓮の炎のようだ。

 口を開いた時に見える尖った八重歯がこれまたやんちゃそうな雰囲気を放つ。

 流石は異世界の子供、顔が完璧に整ってやがる。

 と言っても俺も転生者でこちら側の人間と対してあまり変わらないか。

 

 「いきます…!…はぁぁ……!!」

 「お?……」

 

 考えているうちに魔法を放とうとしていたようだ。

 ………なるほど…アレクのイメージにピッタリだな。

 アレクの魔法は火属性だった。

 

 「いっ…けぇっ!!【火炎球(ファイア・ボール)】!!」

 「……ふむ」

 

 以外にも撃ってきたのが初歩的な魔法だった。

 火属性系と言えば【火の矢(ファイア・アロー)】と言う魔法があり、級で言えば中級程度の魔法がある。

 今、コイツらは俺に認めてもらいたいのだ、ならば高く評価してもらいたいと思うはずだ、そうなら級の高い魔法を使うのが当然だと思うのだが、何故、火炎球なんだ?

 そして、今俺が何故こんなにも平然と考え事をしているかと言うと、もう、火炎球を防せいでしまったからだ。

 

 助かってるよ、「 |自動反射防衛闇属性能力ダークマター

 

 だが、威力は殺すことはできなかった。

 火炎球は防がれた後、行き場のなくなった炎が左右にわかれ周りが炎の海に包まれた。

 なんだ?火炎球でも、これぐらいの威力はあるんだな。

 

 「ちょっと!アレク!森が燃えるじゃない!」

 「あっ!ごめん、つい!アハハハハ!!!」

 「もう…!笑い事じゃない!」

 

 アレクにサアラは怒気を込めて注意したあとに自分の水属性魔法で鎮火していた。

 行動力があり、面倒見もいいと、まあ、それでこのメンバーの中でも苦労人になってる訳で……いろいろと大変なんだな。

 

 「アレク…だったか?他に魔法は?」

 「火属性なら色々と使えるけど……それ以外はムリです!」

 「そうか……」

 

 皆、やはり一属性しか持ってないんだな。

 適性的な何かが関わっているのだろうか?

 いや、それかもしくは………

 

 「あ、あの……」

 「ん?…あっ!…ごめん」

 「いえ、大丈夫です……それで…つ、次…大丈夫ですか?」

 「あ、あぁ…」

 

 最近は考え事をするのが多いな……年か……精神年齢、結構いってるもんな。

 さて、この子はエドウェル=コバーフィールド、さっきのアレクとは対照的だ。

 例えるならクラスで一人はいる大人しい奴だ。

 アレクとは結構仲が良さそうに見えたから多分親友の仲だろう。

 髪の色は以外にも銀髪で目は薄い金色、顔はやっぱり整ってはいるが、それでもどこか大人しさを感じる。

 

 「ぁ…と…魔法を撃っても大丈夫ですか……?」

 「………」

 「あ…の…」

 「え?……あ、あぁ大丈夫、いいぞ」

 「はい……では」

 

 コイツは……あれだ、年上に可愛がわれるタイプのやつだな。

 さてさて、どんな魔法がでるのか………

 

 「い、いきます……!【有毒植物の触手フィーラー・ベラドンナ】!!!」

 「なっ!……」

 

 エドウェルが魔法の名を口にした瞬間、地中から何やら触手のような物が地面を割って出てきたのだ。

 これは……植物か!ただ……それだけか?他に目立った特徴はない。

 俺が思うにあまり戦闘向きの魔法ではないんじゃないだろうか?拘束系か?

 ただ一応これが魔法であるため勿論俺の【スキル】は発動する。

 だが、その時俺の【スキル】とエドウェルの魔法がぶつかった事によってエドウェルの魔法の本当の力がわかった。

 

 ジュゥゥゥゥ〜………!!!

 

 何かが溶ける音が俺の耳に聞こえた。

 

 「毒か……!!」

 

 触手から出た毒は俺の【スキル】の壁を溶かそうとしていた。

 がしかし、勿論俺の【スキル】は無傷である。

 

 「エドウェル…お前の魔法は?」

 「植物属性…魔法です……」

 「ほぅ……」

 

 珍しい属性の魔法もあるんだな。

 ……いや、そういやあの二人の魔族の1人にも珍しいというか、知らない属性を使ってた奴がいたな。

 確か……精神属性…だったか?あれは厄介だったな。

 

 「エドウェル」

 「あ!…は、はい!……?」

 「いい魔法だな……鍛錬に努めるといい」

 「!…あ、ありがとうございます…!」

 「やったなエドォ!やっぱ、オレが見たおかげだな」

 「何言ってるの!エドの努力の成果よ!」

 

 ……友達ねぇ……いい仲間じゃないか。

 

 「さてと……」

 「次……私ですね…!!」

 

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 

 「最後は……レイナか」

 「はい!……」

 

 この娘はレイナ=ヴァオラルシア、エリーの妹。

 妹がいること自体、初耳だ。

 顔はやはりエリーの妹という感じでとても似ている。

 エリーと同じく髪や目は綺麗な赤色だ。

 勿論、性格もエリーのようにうるさ……あ〜と、元気だ。

 はぁ〜姉妹揃って個性強すぎだな………あ、いや家族揃ってだったか……。

 

 「私で最後ですね!……そして、弟子にしてもらえるように頑張りますよ!」

 

 そう言ってレイナはエッヘンと胸を大きく張った。

 

 「はぁ……あぁそうか…」

 「では、いきますよ……!」

 

 そして、レイナの周りに魔力が溜まっていく。

 すると、レイナの体からバチバチと静電気が流れ始める。

 これは……

 

 「いっきまっすよ〜!…【電光(ボルト)】!!」

 

 勢いよくレイナの手から放出された雷はバリバリと音を発しながらこちらに向かってきた。

 たが、やはり前の三人と同じくあっさりと俺の【スキル】によって防がれた。

 

 「中々の威力だな…」

 

 ただ………【スキル】で防いだのにも関わらず俺の周りはまだ静電気で満ちていた。

 

 「動いちゃダメですよ?痺れちゃうので…フフっ!」

 「強すぎるだろ…」

 

 これは一人に放ったあとその魔法の効果は消えずに広範囲に魔法の効果が広がる仕組みなのか。

 なんて強力な魔法なんだろうな、敵を捕まえる時なんかにはもってこいだな。

 俺も初撃は防いだがその後の範囲攻撃は絶対に防げるとは限らないな。

 俺の【スキル】「 |自動反射防衛闇属性能力ダークマター」にも弱点と言うべきものがある。

 それは不意打ちや気配を消しての攻撃には対処できないのだ。

 つまり俺がレイナのあの初撃のあとの(トラップ)を気付かずにいれば当たってしまうのだ。

 

 「厄介だな……」

 「え?…」

 「いや、何でもない……それで属性は…」

 「雷です!」

 

 ふむ、俺でも使えるだろうか?

 今度、雷属性魔法の練習でもしてみるかな……。

 

 「で、皆見てもらいましたがどうですか?!」

 「どうって言われてもな……」

 

 そういやそうだったな……一人一人の魔法を見るのに夢中で考えてなかったな。

 

 「やっぱりダメ……ですか?」

 「い、いや……あ〜…」

 

 そんな目でこっちを見るな………いや、ここはしっかりと曖昧な答えは出してはいけない。

 キッパリと断らなければ………

 

 「……こうやって力を見せてまで俺の弟子になりたいっていう思いは有難いけど……やっぱり弟子の話は断わ___ 」

 「まあ、待てよ」

 「っ?!?!」

 

 俺が弟子の話を断ろうとしたその時、誰かが制止の声をかけた。

 それは……

 

 「……なんでここにいるんだよ……父さん」

 「いや〜、弟子になりたいっていうヤツらがどんなもんか気になってな〜」

 

 あ〜あ、こんなことならすぐに断っとくべきだったな。

 

 「そうか……それでも今断ろうとしていたとこだよ」

 

 俺の後ろにいる四人はやっぱり断られるのかと見なくてもかなり落ち込んでいるのがわかった。

 しょうがないだろ……俺自身も人に構っている暇なんてないんだから。

 

 「まあまあ、待てよ……俺はいいと思うぞ?弟子」

 「はぁ〜……」

 

 嫌な予感はしていたが、まさかホントに言うとは思わなかった。

 そして、一時は落ち込んでいた四人も父さんの言葉で目をキラキラとさせた。

 俺からしたら笑えない、まずい状況である。

 

 「いやいや、俺は自分のことでいっぱいいっぱいだし、弟子を取るのは…」

 「おいおい、お前はもう、人に教える立場だろ?」

 

 父さんが何を言っているんだお前はとでも言いたそうに俺に言った。

 

 「まだ俺は父さんの足下にも及ばない、その中で弟子を持っても教えれる訳ないだろ」

 「いや、お前が本気を出したら俺でも勝てるか分からんぞ?」

 「またまた、何言ってるんだよ……」

 

 父さんはその後に一人で「いや、ホントに俺、勝てるだろうか?」などとブツブツ呟いていた。

 

 「はぁ……まあ、いいやそういう訳だから……」

 

 そう言って俺は今度こそ四人と話そうと振り向こうとした時、またしても父さんに言葉で遮られた。

 

 「ホントにそれでいいのか?」

 

 父さんが発した言葉、その言葉にはさっきまでとは違う、真剣な声だった。

 そんなに俺が弟子というのを受け入れないのが不満なのだろうか?

 

 「どうもこうも、これが俺の決めたことだよ」

 「そうか………ただそれはな……その決意は寂しいものだぞアルレット」

 

 突然、父さんにアルではなくアルレットとして名前を呼ばれたことに俺の体はビクッと動く。

 

 「どういう事……?」

 「お前の考えは寂しいものだって言ったんだ……なぁアルレット、前から思っていたがどうして人と関わろうとしないんだ?」

 

 その言葉に、俺は何も言い返せなかった。

 不意に四人を見る、皆それぞれ不安そうに俺と父さんの会話を聞いている。

 

 「……周りに頼っていい事なんてない」

 「何故だ…?」

 「頼ったとしても最終的には裏切られる……友達とか仲間とかそんなのは名だけだ……」

 

 そうだ、友情なんて薄っぺらいものなんだ……。

 昔……いや、転生前を俺は久しぶりに思い出す、何もかもが屈辱だった。

 日々生活するたびに心を蝕んでくる、まあ、それ以上に何も出来なかった自分が一番嫌だだたんだが………。

 

 「現実逃避」……そういう者もこれを聞けばいるかもしれないな……ただ、それは現状を変えず、何もしないで逃げる奴のことだ、俺は違う……自殺という行動に移行するまで俺が何度皆に心を開いてもらおうと努力したか数え切れたものでもない。

 俺はその時悟った………絶対に変えれないものもあるんだと。

 

 だから転生してきた……この世界に……新たな人生で新たな体で生きていく為に……それには友達も仲間もいらない。

 最初はそう思ってたさ………でも

 

 「じゃあお前にとってエリーはなんなんだ?エリーという存在はお前にとっての何だ?」

 

 そう………エリーだけは何故だかいらない存在ではなかった。

 アイツは……エリーは…俺にとって……

 

 「エリーは俺にとって同類だ……同じ境遇の中で生きてきた理解者だ……」

 

 俺もアイツも同じだった……同じような悩みを抱えてたんだ、だからこそエリート過ごすのは悪い気がしなかった。

 

 父さんは一瞬、戸惑ったような表情を見せた……それはそうだろう俺が転生者なんて誰も知らないのだから。

 

 「そう、か………なら……エリー以外にお前を理解してくれる人はいないのか?お前はそう思うのか?」

 「……?…」

 

 父さんはフゥと息を一つ吐いてから続けた。

 

 「お前の周りにはだれがいるんだよ……お前はこの世に最初から一人でいたのか?…………違うだろ」

 「っ!……」

 

 こんなにも怒気を含んだ言葉を聞いたのはなかったかもしれないような父さんの言葉だった。

 

 「お前の目の前にいるのは誰だよ…お前を理解しているのは1人だけか?……違うだろ?……いるだろ俺が……俺達が」

 「…………」

 

 親……家族か、フッ……笑えてくるなぁ……前の世界ではいないも同然だった存在だったのにな。

 

 「それに……」

 

 と言って、父さんは俺の後ろに向けて顎をクイっと動かした。

 

 「後ろの奴らはただお前に弟子にしてくれと頼んできたわけじゃないだろ?お前の話を聞いて、見て、憧れて……だからこそお前の弟子になりたいと言ってきたんじゃないのか?」

 「…………」

 

 四人がおれを見つめる………その目は確かに憧れからくるものだった。

 俺は、自分の考えだけで最初はこの四人を断ろうとした……だが、コイツらは必死になって……俺に認めてもらう為にこんなにも頑張った……。

 

 「なぁ…アル」

 

 そして父さんは俺としっかりと目をあわせてその言葉を言った。

 

 「お前を理解してくれてないやつなんてここにはいないさ……その四人はお前を慕ってくれてる……いいんじゃないか?弟子にしても」

 

 そう言って父さんは俺に穏やかな笑顔を見せた。

 

 「……はぁぁ……分かったよ」

 「おっ!……そうか!そうか!おい、お前らしっかりと家の息子に教えてもらえよ!ハハハハッ!!!」

 「「「「はいっ!!」」」」

 

 こうして俺は仕方なく、弟子を取るという決断をしたのだった。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 

 その夜____

 

 「アル、ちょっといいか?」

 

 俺が部屋にいると外から父さんの呼ぶ声が聞こえてた。

 

 「いいよ」

 

 俺が声をあげると父さんは恐る恐ると言った感じで部屋に入ってきた。

 

 「なに?…どうしたの?」

 「あ〜……その〜…午後の話なんだが…」

 

 え?……何か他に話すことがあったのだろうか?

 

 「その、お前があんなふうに言うなんて思わなかったんだ…もっと別に理由があると思ったんだ……だから、そのごめんな、気付いてやれなくて」

 「あーなんだそんなことか、気にしなくていいよ」

 「でも、だな……」

 「あれで十分だった……もう、何も言わなくていいよ」

 「アル……」

 

 そうして、少しの間、俺は父さんと話しながら夜を過ごして、一日を終えたのだった。

 

 

 

弟子育成期間突入(仕方なく)

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