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訓練の続き

前回のあらすじ、訓練しています。

「さて、それじゃあこの木剣を素振りするところから始めるッスよ! こうで……こうッ! 分かったッスか?」

「わ、わかりました……」


 そう言いながら、ミッちゃんは木剣を構えると体を後ろに引きながら木剣を頭上に上げて行き……、そこから一気に前へと出ると同時に振り下ろした!

 その瞬間、ミッちゃんの体操服に包まれた二つのスイカがバルンバルンと揺れ動いた。

 圧倒的な質量は興奮ものだろう。だが、それは遠くから見た者だけなのだ……。

 つまりは近くでこの素振りを見ていたら、胸が凄いくらいに揺れるというのを見るよりも先に……ミッちゃんの巨大な体から振り下ろされる剣と圧倒的な威圧によって立ち竦むことだろう。

 事実、【†SSS†】時代よりも遥かに身長が低いエルの体から見たミッちゃんは山が一気に近づいてくるようなイメージさえあった。……こ、こえぇ……。


「それじゃあ、今度はキミの番ッスよ?」

「ひゃ、は……はい」

「緊張しなくても良いッスよー? リラックス、リラックスッスよー」


 話を振られ、緊張していたらしくオレの口からは少し間抜けな声が洩れ、それを聞いたミッちゃんはオレへと笑いかけつつ、リラックスするように言ってくる。

 ま、まあ……リラックス、リラックスしないと……。脱力ー、だつりょくぅ~……。

 強張った筋肉を解き解すように、ゆっくりと息を吐いて……吸って、緊張が解けていくのを感じながら、オレは木剣を握り締める。

 握り方は……木刀や竹刀とかと同じように、絞るように握り締める。

 そして、剣道の授業で行っていた素振りの要領で、ついさっきミッちゃんが行っていたように下がると同時に振り上げ――


「と、ととっ!? ……ぐ、くぅぅ……?!」

「あわわ、大丈夫ッスかー?」

「だ、大丈夫っすー……」


 STRもある。それなのに、振り上げた木剣の重さに引かれるようにして、オレの体は後ろへと下がり始める。

 ステータス以外にも熟練度というのもあるのだから、慣れない武器を持つとそうなるのは当たり前か。

 そう思いつつも、変な体勢になりつつも何とか木剣を構え終えると……今度は、フラフラとしながらも前に出るようにして一気に振り下ろした!


「――って、う――うわっ!?」


 だが、今度は振り下ろした木剣に釣られるようにして、オレの体は前へと進んで行き……最終的に前へと転んでしまった。


「ひゃっ!? だ、大丈夫ッスかーっ!?」

「だ、だいじょーぶぅー……」


 慌てるミッちゃんへと、オレは無問題(もーまんたい)と言いつつも、今現在の体勢をスクショに撮られているのでは……という恐怖を味わった。

 ……この、お尻を上に突き出した情けないポーズをよぉ……!!

 まあ、お尻を突き出した体勢って、何だか思春期男としては興奮するといえばするのだが……そんなことになったら、掲示板で笑い者にされるんじゃないのかっ!?

 そういえば、オレって掲示板見れるのだろうか? ……たぶん、無理じゃね?

 そして実際……この恥かしい体勢は撮られていたらしく、荒い息が聞こえ始め……背筋がゾッと寒くなり始めていた。

 こ、これが……悪寒と言うものか?


「え、えっと……どう、するッスか?」


 不安そうに尋ねてくるミッちゃんだが、オレは続ける意思を示すために木剣を握り締めながら立ち上がる。

 そんなオレを、ミッちゃんは満足そうに見ると……。


「その意気ッス! それじゃあ、ガンガン素振りをやりましょう!!」

「ふっ――――うっ、は――――あ――っ!!」


 荒い息を吐きながら木剣をプルプルと持ち上げ……、一気に振り下ろす!(ただしオレの体ごと)。

 そんな行動を繰り返しているのだが……行っている動きが、剣を持っている動きではなく、どちらかと言うと樵だこれ!

 気づいてしまった現実に、何とか堪えつつ……斧、じゃなかった木剣を同じように持ち上げて振り下ろすことを繰り返す。


「もっと力いっぱい上げるッスよー! 腰がこんなヘッピリじゃ力なんて入らないッスよ!」

「ひゃんっ!?」


 ペチンという音と共に、ミッちゃんは俺のお尻をペチリと叩き、その微妙な痛みにオレの口から可愛らしい声が洩れた。

 ひゃん? ひゃんってなんだよ、ひゃんって……。

 恥かしさに心から転げまわりそうになりつつ、オレは何とか腕を振り上げて降ろすを繰り返し続けた。

 そして、1時間もしない内に体が剣を振る動作に慣れてきたのか、段々と動きが良くなったように見えるのだが……周囲の目があるので、少しずつ触れるようになって来ているという風に体を動かす。


『その様子だと、本当は普通に振れるようになった。と見て良いッスね?』

『はい、動き自体は普通に動かせるんだけど……、多分もう少ししたら――来たっ!』


 内緒相談で、ミッちゃんが語りかけてきたところを見ると……分かる人は分かるようだ。

 そう思っていると、予想通りというか安心のと言うべきか、システムメッセージが頭の中で音を立てたのでオレは素振りを中断させて、目に見える透明パネルを見た。


 ~~~~~~~~~~


 バトルスキル【剣の心得:LV1】を獲得しました。

 バトルスキル【斧の心得:LV1】を獲得しました。

 バトルスキル【腕力強化:LV1】を獲得しました。


 ――おめでとうございます。【剣の心得】を習得しましたので、剣を使用することが可能となりました。

 ――おめでとうございます。【斧の心得】を習得しましたので、斧を使用することが可能となりました。



 ――バトルスキル【脚力強化:LV1】とバトルスキル【腕力強化:LV1】をバトルスキル【身体強化:LV1】に統合します。

 ――統合結果、バトルスキル【身体強化:LV1】は【身体強化:LV2】へとレベルアップしました。


 ~~~~~~~~~~


 ……あ、あるぇー? 何で、剣を振ってただけなのに、斧も使えるようになったのかなぁ?

 いや、分かる。分かりたくなくても分かるよ? アレだろ? 斧振ってるみたいって思ったからだろ?

 そう思いつつ、オレは微妙そうな顔となった。

 ちなみにシステムメッセージから分かるように武器を使うには訓練を行い【~~の心得】を入手しなければならない。

 まあ、そう考えると……斧も使えるようになったってことで儲け物と思うことにするか。


『覚えたみたいッスね、【剣の心得】をー』

『あー、はい。剣以外にも斧も……ですけど』

『……お、お徳と思えば良いじゃないッスか!』


 オレの言葉に凄く微妙そうな表情をしながらもミッちゃんは答えた。

 その視線に微妙過ぎる笑みを浮かべつつ、オレは木剣を脇に置くとバトルスキルを設定することにした。

 すると、オレがバトルスキルを幾つか習得したからか、文字化けとなっていたスキルは消えており……スキルをセットするためのスロットが5つ開いているだけだった。

 文字化けになってしまったオレの戦いの日々に少しだけ涙をしながら、改めてオレはバトルスキルをセットしていく。

 その結果……。


 ――――――――――


 ・剣の心得 : LV1

 ・身体強化 : LV2

 ・肉体再生 : LV1

 ・気配感知 : LV1

 ・持久力強化 : LV1


 ――――――――――


 スキルをセットし終えると、再び木剣を掴み……改めて降り始めた。

 すると、剣の心得を手に入れたからなのか先程まで重くて重心が掴みきれなかった木剣が、まだ少し重いながらも上手く振れるようになっていた。

 こうすると、本当理解できる……スキルって偉大だと。

 そう思っていると、ニコニコと笑みを浮かべたミッちゃんがオレを見てるのに気づいた。

 ……一瞬、ミッちゃんからゾクッとした気配を感じたのは気のせいだと思いたいが、気配感知を疑うつもりは無かった。

 何故なら……。


「さて、それじゃあ……ちょっと打ち合ってみるッスかね!」

「……え? う、打ち合う? オレと……ミッちゃんが?」

「そうッスよ!」

『本当、エル様の体だから成長が速過ぎるってのは分かるんッスけど……、それ見てたらちょっと……火が付いたわけッス――よっ!!』

「――――ッッ!?」


 ギラリと光る瞳にギョッとしつつも、気配を感じたオレは無意識的に木剣を前へと出した。

 瞬間、腕の痺れと共にガァンッ! という木と木が打ち合うような音が周囲に響き渡るのを聞いた。

 いったい何が起きたのかと驚きつつも前を見ると、前へと出した木剣へと打ち込むようにしてミッちゃんの木剣が振り下ろされていた。

 無意識に木剣を前に出していなければ、今頃オレの頭はスイカ割りのスイカのように真っ赤にグシャッとなっていたことだろう。


「今のを防ぐッスかー♪ 流石ッスよ、流石ー! ってことで、ドンドン行くッスよー!!」

「くぅっ!? ほ、本気なのかよっ!?」


 ガンガンと木剣同士が激しい音を上げている通り、何とかオレはミッちゃんの剣戟を捌いていた。

 反撃? 無理だってのっ! 正直な話、剣戟で手が痺れて来て……何時木剣が手から滑り落ちるのかヒヤヒヤ物である。

 そんな中で、余裕なんてまったく無いけれど、止めてくれるようにミッちゃんへと言う。

 けれどその答えは……。


「本気ッスよー!」


 元気良い返事と共に、力強く振り下ろされた木剣だった!

 何とかその攻撃を再び木剣で防ごうとしたオレだったが、――重すぎた。

 結果、オレの体は地面へと膝を突き……、何とかミッちゃんの木剣を防いでいる状態となっていた。


「くぅっ!?」

「ダメじゃないッスか! ちゃんと受けてくれないとーー!!」


 興奮しているミッちゃんは、顔を歪ませるオレを楽しそうに見つつ……ミシミシといい始めてる木剣には目もくれようとはしなかった。

 ま、マズい……このままだと、木剣が折れて……ミッちゃんの重い一撃が頭か肩に当たる……!

 どうする……どうする……!? 防御を止めて、攻撃に出る? いや、けど……この感じからして木剣はもうすぐ折れると思うし……。

 そう思いながら、ミッちゃんを見ると……戦闘狂いの顔をしていた。

 やばい、これは……木剣が折れたら、オレが危険だ。……やるしか、無いのか……?

 唾を呑み込んだのか、ゴクリという音が耳に響く……そんな中でオレは折れかけようとしている木剣を斜めに傾けた。

 すると、ミッちゃんは突然のことで驚いたらしく、前のめりに倒れそうになった。

 一方でオレのほうは、ミッちゃんの木剣から解放されて軽くなった体を捻り、横振りに木剣を振るった!

 狙うべき場所は――無防備となった脇腹!!


「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおっ!!」


 気合を込めた雄叫びを上げながら、振るわれた木剣!

 もう少しで当てることが出来る! そう思った瞬間、脇腹へと鈍い痛みが走り……見えていた視界が遠ざかった。

 え? いったい……何が……?

 驚きながら吹き飛ばされるオレが見たもの、それは木剣から手を放し……裏拳の体勢を取ったミッちゃんだった。

 木剣を打ち付けるよりも先に、裏拳をしたってことかよ……。


「――――カハッ!! う…………あ――――」


 体が壁に激突し、肺に溜まっていた空気が一気に洩れ――、体中に痛みが走る中でHPが危険値に達したのか、意識が強制的に刈り取られた。


 ●キャラクタープロフィール

 ・名前:ミリ=リットル

 ・性別:女性

 ・CV.:氷橋かおる

 ・髪の色:赤

 ・身長:177cm

 ・体型:爆乳の筋肉質

 ・性格:体育会系の何時もは抑えているけれど戦闘狂

 ・特徴:強い人物または強くなる人物を見ると、訓練と称して戦いを仕掛けてくる。


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