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目的地を目指そう。

お待たせしました。

「…………それで、これからどうするつもりだ?」


 晩御飯を食べ終え、食後に出されたお茶を飲んでいると不意に流星さんが全員に聞こえるようにそう言った。

 初めはどういう意味だろうかと、オレは首を傾げる。

 そんなオレの仕草にサンフラワーさんと樹之命さんが黄色い声を上げ、流星さんは頭を抱えるようなポーズを取っているのを見ていると、ようやくオレも理解した。


「ああ、ちゅぎにどこにいこーとゆーことか?」

「……そうだ。我らは今こうして殆どのメンバーが集まったが、どう動くかを決めてはいない」

「そもそもが、ワタシたちも告知情報でアニマステラサンが何かしようとしているのを知ったのと、モンスターがいなくなったから此処まで来たんだヨ!」

「ああ、あの巨大なアニマステラを作る素材になってたモンスターって周辺の集落に居たを掻き集められてたのか」


 流星さんと嵐牙さんの話を聞き、納得しているとサンフラワーさんがそれを口にする。

 ってことは、そのお陰で二人とブシドーたちと合流できたってことか?

 ある意味では良かったと考えるべきか。


「あれ? でも、ブラッドレックスさんはどうしたんかなぁ?」

「もしかすると保護したエルフを残しては置けないと考えて、その場に残ったのではないのか?」


 そうなのかどうかを確認出来たらいいんだけど、出来るのか? ……あ、何だか出来そうって気がする。

 何というか幼くなってしまった代わりに頭の中が結構クリアになってるみたいで、どうしたら分かるかと言うのが何となく理解出来た。

 これって、デメリットの代わりのメリット……って思えばいいのか?

 まあいい……、とりあえず使おう。


「――ミャップ!」


 舌足らずのオレの口がその言葉を口にした瞬間、オレたちが囲むテーブルの中央に半透明のマップが表示されたのだが……少し違っていた。

 そして当然、突然表示されたマップに一同は驚いた顔をしていた。


「これは……通常のマップと違う、のか?」

「う、うちらがパーティーを組んだときに見たものともどこか違ってますよぉ」

「ん? この青い点って……幾つもあるし、というよりも表示されている地点の名称からしてわたくしたち……ってことか?」

「そうみたいだネ。現に青い点の中にひとつだけ真っ赤があるけど、外に埋めたアレだネ」

「では……だいぶ離れた集落らしき場所にある青い点がひとつと幾つかの黄色は、ブラッドレックスさんたち……で良いのだろうか」


 多分そうなのだろう。そう思いながら、オレたちは表示されたマップを見る。

 すると、オレとイーゼ以外が飛ばされた港がある集落のほうには無数の赤の点が表示されており、その中に幾つかの青い線で囲まれた灰色の点があることに気づいた。

 もしかしなくても、リットルさん御一同だろう。

 マップを見ながらそう思っていると、流星さんが喋り始める。


「現状から見て、ブラッドレックス殿との合流は不可能と見て良いかも知れない。ならば、我らは我らで港がある集落へと向かい、モンスターを撃破しつつリットル殿たちを救助するのが一番だと考えるのだが、どうだろうか?」

「わたくしは問題ねーぞ? けど、無茶はしない方向で行くけどな?」

「うちはエルサさんがこうなっているからかなり不安ですが……、腹を括るしかないみたいですねぇ……」

「エルサが戦力外となってしまっている今は拙者たちが頑張らねばならん。それに、リットルさんたちを助けたら巻き返せるはずだ」

「ワタシも何も出来なかったから、今度こそ役に立ってみせるヨ!」

「我も、何処まで出来るか分からないが……頑張ってみるのだ。いや、頑張るのだイワンたちを助けるために」

「おりぇもやっちぇやりゅ!」


 オレもやってやる。そう元気良く言うのだが舌足らずで言ったからか、どこか不安そうな視線を全員から向けられた。

 そして、来るであろう次の言葉を予想して見る。

 きっと……「お前はおれが護る」的な感じに近いものだろうなー……。


「大丈夫だエルサ。お前に比べたらわたくしは頼りねーかもしれないけど、全力でお前を護ってやるからな!」

「そうです。うちも護ってあげますから!」

「ああ、だからエルサは離れてジッとしていてくれ」

「……というよりも、我も幼子を戦場に出すのは忍びない」

「そうだよネ。ついさっきまで中学生ぐらいだったのが、幼女になってたらオネーサンも頑張って守らないとって思っちゃうヨ!」


 うわぁ……、予想通りだった。というかかなり過保護な感じだから予想以上だったのか?

 まあ、悲しいけれど事実現在のオレには戦う力がまったく無い状態だからなぁ……。


「とりあえず、今晩はこのまま此処で休んでから翌朝になってから、港のある集落に向かえば良いか?」

「一応距離的には2日はかかりそうか? 途中休憩をありにして」

「それにモンスター自体はいなくなっていないから、のんびり休憩というのも出来ないだろう」

「じゃあ、夜は見張りを交代で……って所でしょうか?」

「それが良いと思うヨ。だけど、港のある集落に行く前には体力を漲らせておかないと危ういと思うネ」


 ガクリと項垂れるオレを他所に、プレイヤーたちは着々とどう動くかを決めていく。

 あー、馬車とかあったら楽だろうけど……残念ながらそういう物が無いんだよなぁ……。

 もしくは、こう一気にビューーンッて感じに転移出来たら良いんだけどさー。

 というかこっちもオレという大きな手札が使えなくなってるんだから、ちょっと位は楽させてほし……


「…………んぅ?」


 うんうんと悩んでいたら、不意にオレの視界にある物が表示された。

 え、これって……?

 驚きながらも表示された物を見ていると、それが使えることが理解出来た。

 なので、オレは手を揚げた。


「あいっ! あいっ!」

「む……、どうしたんだエルサ殿? 何か言いたいことでもあるのか?」

「あ、もしかしておねむだったか? わりーな、エルサ……そろそろ眠って明日に備えるか?」

「そうだな。明日からは体力を使うことになることだし、無茶はしないようにしよう」

「ちあう! そーりゃない!」


 突然挙手したオレを流星さんが見て、サンフラワーさんが勘違いをしてくれた。

 だが、オレはおねむを否定する!

 そしてオレが挙手した理由をすぐに行動で分からせることにした!


「……ん? 表示されてるマップに何か変な点が……これは、この集落の中央からか?」

「おい、見ろよっ! 何か広場っぽいとこが、すげー光ってっぞ!?」

「これは……、何なんだ?」


 突如起き始めた現象に彼らの口から戸惑う声が洩れる。

 だから、オレはその現象を口にした。


「ちぇんい!」

「ちぇんい……? まさか転移……っ!?」

「あい!」

「……エルサ、本当か?」


 オレが端的に言うと、流星さんが驚いた声を上げた。

 というかそれを行ったオレ自身も驚いているのだから、当たり前だろう。

 そして、にわかに信じられないとばかりにブシドーが訊ねてくるので、オレは頷く。


「本当かどうか分からないけど……見に行ったら良いと思いますよぉ?」

「そうだネ。気になったら見に行くべきだヨ」

「……それもそう、だな」


 樹之命さんと嵐牙さんの言葉に従うようにして彼らは頷くと、暗くなった村の中を歩き出した。

 オレ? 今は樹之命さんに抱かれているよ。

 そんなオレを囲むようにして、彼らは光を放っていた集落の中央まで移動を始めると……そこには先ほどまで無かった像が置かれていた。

 その像は主神の像そっくりな見た目なのだが、見た目はかなり幼く……どちらかと言うと主神の周りを飛んでいそうな天使のようだった。

 ……要するに、今のオレの姿を模ったような像だった。


「これは……エルサだな?」

「エルサだな。ちょー可愛い」

「はい、凄く可愛いエルサ像ですねぇ」


 ブシドー、サンフラワー、樹之命さんが口々にそう言いながら像をマジマジと見つめる。

 だけどすぐに普通の主神像と同じように祈れば良いのだろうと判断したのか、膝を突いて祈りを捧げた。


 すると……、


 ―――――


 イースの集落から目的地周辺までの片道転移が可能となりました。


 ―――――


 その告知がオレを含めた全員に表示されているようで、一同は驚いた顔をしているのが見えた。

 それを見ながら、オレは満足そうに頷くのだった。

あ……ぐだりそう?(汗

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