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これから何しよう?

チマチマと書いています。

 と、とりあえず、一度落ち着こう、落ち着いて考えろー……。

 ひっひっふー、ひっふひー、ふふっひー。

 と妙な呼吸をしていたオレだったが、それでも少しは落ち着いてきたらしく、改めてステータス画面を見ることが出来た。

 けど、これは本当に上がりすぎだと思うんだけど?

 普通だったら、ゲーム開始初期でもポーションとかのアイテムを数回作ったり、訓練場での特訓を何回か行うことで良くてHPとかMPは10前後。STRなどは3~5ぐらい。

 ある程度のステータスになった場合は、同じ行動を50回ほどしてようやく、HPMPは3~5で、STRなどは1~良くて2ほどの上昇だ。

 そう思いながら、ステータスを見ていたがオレはふと気づいた。


「……あれ? けど今回のステータス上昇って……魔力をどれだけ消費して、どれだけ上がってるかって計算地味に出来てる?」


 えーっと、消費したMPは320だったよな?

 で、上昇したMPは160……ってことは、2分の1上がってる?

 でもって、DEXは器用値だったはずだから薬草作りで指先とかで動かしてたから上がってるとして、320を64で割ったら……5。ってことは5分の1?

 INTは魔力を込めてたからってことで……、320割る32だから、10分の1。

 で、LUK()は320を6で割ってみると……あれ? 53.3で小数点が続く? ってことは、小数点を切り捨ててみると考えて……約50分の1ってところか?


「まあ、53分の1なんて数字よりも50分の1のほうが現し易いか?」


 そう呟きながら、オレは上昇したステータスが如何上がったのかを調べるのを終了した。

 ……が、画面を閉じようとしたとき、LUKの+6の隅に小さく.4の数字が書かれていて、難しく考えていたことに地味に凹んだ。

 なるほど……、320割る6.4で50分の1なのね……。

 改めて知った真実に落ち込んだけれど終了したことは終了した……が、そうなったら今度はやることが無くなってしまった。


「基本的なアイテム作成は大丈夫だとして、他に何か出来ることでもあるか?」


 鍛冶とか裁縫とか料理とか? ……いや、一応魔力を使わないで済む行動のほうが良いよな?

 というよりも魔力(MP)は今雀の涙しか残っていないし……。回復しようにもダラーッとしているのも時間の無駄かも知れない。

 じゃあ、武器が普通に振れるかをチェックすることにするか?

 そう思いながら、オレは作業部屋から出て居間へと移動して椅子に座るとインベントリから【†SSS†】のときから愛用している武器の1つである『ゴッドスレイヤー』と銘打たれた大剣を取り出し、テーブルの上に置いた。

 薄ぼんやりとした光を放ち銀色に輝く刀身と、様々な細工が施され金色の輝きを放つ柄。見ているだけ、これは凄い物だというのが分かるようだった。

 しかもその隣には、その剣を収めるべき無骨ながらも幾つかの宝石が嵌められて、銀細工が取り付けられた黒塗りの鞘があり……やはりそれも素人が見たとしてもレア度が高いものだと理解できることだろう。

 それもその筈だ。何せ、この武器に使用した素材は……S級ダンジョンのボスのドロップアイテムである神世の金属や、S級やAAA級などのダンジョンでしか手に入らないような色々な物を使用して鍛冶で創り出した大剣であり、プレイヤーが創れる武器の中では最高ランクに属している物であるのだから。

 しかも、創るためには高いレア度のアイテムも必要だけれど、他にも色々と条件があるので持っているプレイヤーも少ないのだが、一応wikiのほうには名前と画像が載っていたりする。

 ……ちなみにこれは『偽神の神殿』でボスに最後の一撃を放ったときにも使った武器であるが、ぶっちゃけるとオレのお気に入りだったりする。

 だって、この武器は大剣モードと双剣モードという2つのモードに変化出来て、双剣ではスピード重視での戦闘に補助が行われ、大剣では一撃必殺目的という実に厨二好みの武器なのだ。


「本当、これは創るのに相当苦労したんだよな……」


 そう思いながら、しみじみと『ゴッドスレイヤー』を創るときの過酷な日々を思い出していたが……、エルミリサが持てるのかが不安だったので改めて握り締めてみることにした。

 ステータスも【†SSS†】のままだけれど、男と女のアバターの違いで重さに誤差があるかも知れないと思いつつ……オレは恐る恐る柄を握り締め、持ち上げようとしたのだが……頭の中に警告音が鳴り響いた。


「――――っ!!?」


 まさか、持てないのかっ!? そう思ったオレだったが、表示された警告を見て安堵の溜息を吐いた。


《――警告。ホームでの武器の所持は禁止されております。直ちにインベントリへの保管をお願いいたします。》


《――警告。エルミリサは大剣武器の訓練を行っておりません。ですので、訓練場での訓練を行ってください。》


「…………ああ、そういえばそうだった。オレの家は武器の通常所持を禁止していたんだったな。で、オレ自身は経験はある。けれど、体のほうは経験が無い……と」


 体のほうが経験が無い、何て言葉はなんと言うかエロく聞こえてしまうな……。まあ、言ってるのはオレだけどさ、萌声優のゆいーにゃんの声なんだから堪らない。

 そんな馬鹿なことを考えつつ、オレは『ゴッドスレイヤー』をインベントリへと戻すと再び悩み始めた。

 が、今度は別の理由で悩んでいるのだ……。


「訓練を行っていないから、持てないってことは……リットル訓練所に行かないとダメなんだよなぁ……」


 はあ……。と溜息を吐きつつ、オレは外を見るが……地球時間で言うところの午前10時ぐらいの外はNPC(神界のPL)とPLが少し居るって状態なんだよなあ……。

 けど、やることがないからなあ……。

 どうするべきかとうんうんと悩み続け、最終的にオレは結論を出した。


 ●


「……でよー、あいつらが多くて倒し切る前に倒れちまってよー」

「災難だなー。んじゃあ、今度は俺と後何人か含めてパーティー組んで行くか?」

「オケ、んじゃ頼むわ」


 剣士と盗賊をイメージしているであろうチャラ男っぽいイメージの人物がくっちゃべっている声が聞こえる。

 そんな感じに声優の声を当てずに地声を使っている彼らを見つつ、見かけによらずにかなりゲームにのめりこんでいるのだろうと思いながら、オレは道路の遊歩道的な割合を持つ隅を歩いていた。

 オレが歩いている近くでは魔砲少女をイメージしたコスチュームを身に纏って、仲良さそうに歩く女性らしきPLが2人居るのだが……。


「ねー、にゃのっぱー? 次何処行くー?」

「んー、フェットン。次はいんじゅうを愛でに行こうかー」

「イイネー♪」

「有能くん、待っててねー!」


 と、良いながら2人は楽しそうに喋って、それぞれが得意としているであろうメイスと斧を掲げていた。

 ……ここでひとつ、エルミリサの特徴を語ろう。

 少し前にも言ったように、このエルミリサではアバターの設定は自由に変更することが可能である。

 髪型や色、肌の色、目の色や形、身長や体重、そして声優が当てた声。

 【†SSS†】もそれを色々と弄った結果だったりする。

 そんな風にアバターの設定は好き勝手にカスタマイズ出来るが……、男女の性別だけはゲーム開始時に必ず決まるのだ。

 ……そして、悲しいことに男女では当てることが出来る声は違っていたりするのだった。

 つまり何を言いたいのかと言うと……、仲良く楽しそうに喋っている2人の姿は何処からどう見ても女の子の……比較的、その元ネタであるアニメの3作目の2人をイメージした外見とコスチュームをしているのだが……。

 どんなに女の子っぽい喋りかたをしていたとしても、男声(・・)なのだ。

 要するに男の娘です。本当にありがとうございます。


「そして、そんな馬鹿なことを考えていたら訓練場の前へと到着しました、まる」


 ……何してるんだろう。オレ……。

 説明口調っぽく喋っていた自分自身が少し恥かしくなって、顔を赤らめたままオレは訓練場へと入る。

 訓練場は巨大な石垣に囲まれており、中は均等に配置された石畳が敷かれており……その上ではPL、NPC問わず様々な者たちが訓練を行っていた。

 剣を巻き割りに打ち込む者も入れば、弓を引き絞り矢を放つ者も居る。

 その他にも、槍に斧、短剣に杖、そんな様々な武器を訓練している者ばかりだ。

 変わり者では無手の訓練をしている者も居たりした。

 それをマジマジと見ていたオレだったが、不意に声を掛けられた。


「んぶるぅぅぅぅあああぁぁぁぁぁぁっ!! ぃよぉ~~こそ、リットル訓練場へっ!! ぅ私は、この訓練場を任せられているテラ~……リットルッ!! 今日は何の用だぁ!!」


 野太い声……というよりも、男性声優の老本海苔王(おいもとのりおう)さんの声をフルで発揮しているとでも言うように、オレへと大分歳が行ってるであろうはずなのにムキムキとした肉体を見せ付ける人物、テラ=リットルことテラっさんが話しかけてきた。

 その暑苦しい行動にギョッとして、少し引いてしまったオレだが……何とか気持ちを落ち着けるとテラっさんを見た。


「えーっと、訓練を行いたいのですが……大丈夫ですか?」

「訓練だと? い、いや……何故貴女様が……っ!?」


 遠慮がちにそう言うと、テラっさんは仰天という感じに驚いていた。何というか背景に雷を付けたら良いって感じに驚いていた。

 ……が、マジマジとオレの顔を見始め……、少し考えている……いや、思い出そうとしているように見えたが、すぐに思い至ったようだ。


「なるほど……、お前が件の巻き込まれた人間か……」

「……えっと、オレって有名人?」

「人間たちのほうではまったく知られていないが、神の間で行われている掲示板では凄く有名になっているぞ?」


 そう言って、テラっさんはオレを見ながら溜息を吐いた。……って、普通に喋れるんだこの人……。

 そんなオレの視線に気づいたのか、テラっさんは苦笑をした。


「私だって神の一柱だぞ? 誰が好き好んであんなはっちゃけた口調で何時も喋るか……」

「あー……、あんなテンションだったら本人のみならず周りにも迷惑だしな……」

「そういうことだ。それで、特訓に来たのだな?」

「ああ、ちょっとオレ自身エルの体がどんなことが出来るのかが分かっていないから、出来るなら武器を持てるようにと思って」

「そう……か……。だが、うぅん……」


 あまり知りたくなかった裏事情を聞きつつも、オレは自分の用件をテラっさんに伝えるのだが……凄く微妙そうな顔になった。

 ……その微妙そうな顔をした理由、実のところオレも理解はしている。理解はしているのだが……、それをしなければオレ……というよりもエルが武器を持つことが出来ないのだ。

 それを分かった上で、オレはテラっさんに声を掛ける。


「難色を示すのはわかる。というよりも、オレ自身……アレをすることは嫌だ。……が、特訓しないと武器が持てないから諦めている」

「………………分かった。だが、受けるからには途中で投げ出すんじゃないぞ?」

「ああ、分かってるよ……」


 そう言いながら、オレは目の前に現れた画面を見る。

 そこには、《特訓を受けますか?》<YES><NO>の文字が表示され、これから起きることに覚悟を決めながら……<YES>をタップした。

 すると、オレの体は光を放ち……訓練を行うための服装へと強制的に変更をされた。

 そう……体操服へとなっ!! しかも最悪なことに、今現在主流らしい半袖短パンとかじゃなくて半袖ブルマーだよコンチクショウ!!


「うぅ……男だったら、普通に半袖短パンだけど……なんで女性だったら半袖ブルマーなんだよ……」

「……すまん、会社側の仕様だ…………」

「分かってるけどさぁ、掲示板で結構不評だったんだけど? 見ている奴は拝んだりスクショ撮ったりしてたけど、着ているほうは地獄だけどな……」


 ゲームプレイ当初の通過儀礼としてのこの恥辱だが、それを受けなければ武器は振れない。

 なので、女性プレイヤーたちは泣く泣く半袖ブルマーを着用する羽目になっていたが、それは男たちにとっては餌なので掲示板などの画像アップ版では様々な女性アバターの姿が上げられていた。

 当然撮られた上に画像を上げられた女性プレイヤーは喜ぶわけが無いので、問題となったりもした。

 ……が、そのシステムは改善されることは無かった。さすが運営超鬼畜。

 そう思いながら、オレは首を下に動かして、自分の服装を確認したが……悲しいほどにペッタンコであったがために、体操服が凄く似合っていた。……そこは泣いて良いだろう。

 というか、頭の中は男だから何というか……こそばゆい気分がするな。

 そう思っていると、視線を感じるのに気が付いた。……何というか、ネットリというか絡みつくといった表現が正しいような視線だ。

 視線がしたほうを見ると……、訓練場で訓練をしていた男性プレイヤーが見ていたが視線に気づかれたとすぐに目を反らした……遅ぇよ……。

 しかも、実害が無い分……最悪だなこれって。イラッと来る感覚を覚えつつ、オレは当時その姿を見て興奮してしまっていた女性プレイヤーに心の中で謝罪をしておこう。


「そして、今現在進行形でオレを視姦している男プレイヤーはもげろ……」

「あー……まあ、兎に角……始めるぞ?」

「分かった……。それじゃあ、よろしくお願いします」


 テラっさんに頭を下げ、オレは訓練を始めるために訓練場に完全に足を踏み入れた。

ってことで、軽く訓練を行いますが……一度掲示板回を入れてみるというのもありかなぁ?

え? まだだって?

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