プロローグ
息抜きの結果、血迷いました。
とりあえず、暇を見て書くつもりな上に、橋も出来ていないのにガンガン叩くレベルで作っています。
だから、ある意味生温かい目で見てください。
――VRMMO『エルミリサ』
それは名前の如く、世界初のVR技術を用いたオンラインゲームでありパソコンとインターネット、そして専用のヘッドセット型のツールがあれば何時でも何処でもプレイすることが出来るというゲームである。
……ちなみに世界観はある惑星に創られたファンタジー世界と言う、ちょっとSFっぽいかと思われるけれどあくまでもファンタジーですというものだったりする。
そしてそこではプレイヤーの分身であるアバターが毎日を過ごし、モンスターと戦って報酬を貰ったり、物を創ったりという一昔前に流行った小説(主にラノベ)でよくよく語られていたようなことがかなり好き勝手とまでは行かないけれど、やりたい放題プレイできたりした。
事実オレ自身、オレTUEEEEEEEEEE的なプレイをしたくって頑張った結果、神速の騎士なんていう痛々しいけれど襲い掛かる上位ランクのモンスターを目にも見えないほどの速度で三枚おろしにしたりしていた。
ちなみにプレイヤー名は【†SSS†】なんていう中二病全開な名前をつけていたりした。
……スーパースピードスターっていう意味だからなっ!!
そして、話は変わるが……。
はじまりの街にはゲームタイトルと同じ名前を持つ少女が、浮浪者として存在する。
しかもそれはチュートリアルでも存在は確認出来るが、拠点を手に入れるために行わなければならないメインクエスト序盤で必ず拠点とセットで付けられるというキャラクターである。
拠点と浮浪者。そのセットとだけ言われると酷い言いかただったりするが、それはそれこれはこれ。
けれどその浮浪者、公式サイトのキャラクターページを見たら一番目に来るヒロイン枠と呼ばれるタイプのキャラクターだ。
彼女の説明は……自分で説明するよりも、サイトページに載っていた文を記載したほうが早いと思うので、そっちを使おう。
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キャラクター名:エルミリサ
性別:女性
種族:人間( )
年齢:14
身長:151cm
体重:乙女の秘密
誕生日:地球暦12月25日
職業:孤児
CV.大倉湯飯
(以下紹介文)
はじまりの街の街中に居る浮浪者のひとりとして、存在する少女。
最近、はじまりの街にやって来たあなた(主人公)と知り合い、あなたの手に入れた拠点で住むこととなる。
感情は基本的にまっさらとなっているので、どのような性格に染め上げるもあなた次第。
見た目も酷いかも知れないけれど、あなたが変えてあげてください。
※プレイヤーのお供ポジションです。
―――――――――
そんな感じの説明文であり、彼女の初期の状態はボサボサの薄汚れた浮浪者丸出しな感じであり、着ている物もボロ布だけだったりする。
一応、そこで優しいプレイヤーだったら彼女を人並み程度には手入れをしたりする。……まあ、主にお風呂とか入れたりして普通の街娘が着てる服を着せたりだ。
その結果、醜いアヒルの子がゴクラクチョウに進化しました! とでも言うレベルに変化したりするのだ。
どのように変化するのかと言われると、こんな風になる。
汚れが溜まって薄汚れた髪は、青みがかった銀色になり。
ボサボサの髪に隠れていた瞳は、鮮やかな海の色。
垢塗れの肌は、白磁のように白くツヤツヤと輝いているとでもいうようにも見える。……まあ、体のほうは発展途上なのかそれとも今後ずっとなのかは分からないけれど、寸胴ボディだったりする。
胸とかお尻とかが貧相だけれど、これは正ヒロイン間違いなし! とでも言うようなデザインをしている彼女に手入れをしてあげたプレイヤーは期待した。
だが、その期待は裏切られた。
何故ならバックストーリーで色々と酷い目に遭っていたのか、彼女には喜怒哀楽といった感情がまったくなく、彼女は人形のように何の感情も込められていない表情を浮かべたまま、プレイヤーの指示を淡々とこなすだけのキャラクターとなっていたのだ。
所謂ヒロインと思った結果がオトモだったよ! といった感じの存在だ。
その結果、数多くのプレイヤーは彼女を基本的には自身の拠点にて内職をさせながら住まわせる、またははじまりの街の店でバイトを行わせるか、酷いものでは掛けた分の金を返してもらうが如く夜の街にバイトに行かせたりもしていた。
……そして、そんな酷い扱いを受けているにも拘らず、彼女は淡々と表情も変えずに作業を行い続けていた。
まあ、所謂残念美人だったりとかそんな感じの扱いに困るポジションだったりした。
更に言うならば、他にも魅力的なキャラクターがこのゲームには多かったりする。
お城に居る女騎士団長だったり、街の領主の屋敷に勤めるドジっ子メイドだったり、悪役になりきれない小悪魔だったり、小粋な道具屋の娘だったりとそんな感じに多種多様なキャラクターが居り……。
そのどれもが可愛らしかったり凛々しかったり、あざとかったりと表情も凄く変化し個性豊かだったりした。
なので、ミリアリサの人気は……ぶっちゃけると、飽きられるのが超絶早かった。
まるで有名アイドルがスキャンダルを撮られたために一気に人気が落ちていくというレベル並みに速かったのだ。
……で、そんな中で行われたのは公式による第1回のヒロイン別人気投票が行われた。
言わなくても分かるだろうが、あえて言おう。
エルミリサは……最下位だった。げっとクソだった。ビリッケツだった。
しかも投票数は、彼女のひとつ上のランキングのヒロインと比べると……桁数も違うのだ。
きっと、NPCのAIが高くて感情とかあったりしたら、間違いなく『orz』と落ち込んだりするはずだろう。
まあ、溺愛する人は溺愛するで居たりするんだから、悲しく思わないで欲しい。
……そして、何故オレが今そんなことを考えているのかと言うならば、話は簡単だ。
「……落ち着け、落ち着けオレ。クールだ。COOLにKOOLになるんだ……!!」
男であるはずのオレ、更に言うとプレイヤーのアバターで設定した声はちょっとイケメンボイスなマモーという愛称で呼ばれている人気男性声優の声でその中でも銀河系美少年の声を当てたときの声をチョイスしているのだ。
なのに、それなのに今現在オレが呟くように言い聞かせた声は、鈴のような声で……幼さを残す少女の声が得意だったりする大倉湯飯ちゃんに近い声……というか、そのまんまだったりする。
……諦めて、オレはもう一度鏡を覗いた。
鏡には、焦った表情で鏡を見る少女が映っていた。
青みがかった銀髪、海のように青い瞳、白磁のように白い肌。
……そう、ついさっきサイトの紹介文に載っていた少女そのままだ。
けれど違う点があるとすれば、彼女はこんなにも表情が豊かではない。事実今だって顔を顰めているのだ。
「これは、初めて見る表情だ……というか、こんな感じに変わるんだな顔。……って、そんなことを考えている場合じゃないだろーーっ!?」
ギャーッと叫びながら、オレは頭をガシガシと掻き回す。……あ、凄いサラサラッ♪
それに怒った顔も可愛くないか? ああもう、かなり可愛すぎるだろこう無表情キャラが表情作るって破壊力高すぎる!!
そう思いながら、鏡を見ていると……顔よりも下、白い首筋が見え……その下にある二つの小高い丘の上に添えられたピンクのさくらん――って、ちっがーーーーうっ!!
「本当、どうなっているんだ……? オレは、確かエルミリサをプレイし終えて、眠ったはず……だよなぁ?
というか、これってまるでネットでよくある転生小説とかの状況じゃな――あ?」
自分の記憶の中では昨日は普通に、キットを頭から取り外してからベッドに入り込んで寝たはずだ。
けれど……、漫画とか小説とかに良く似た状況があることを思い出し、オレは何か思い当たることは無いかと考えたが……思い当たることがあり、オレは固まった。
まさか、アレが原因……じゃないよなあ?
そう思いながら、オレこと【†SSS†】がエルミリサで最後にプレイしていたダンジョンを思い出し始めた。