表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/39

第一章~低層突破は難しい~Ep4

いよいよダンジョンへ。

「うっ」

目を開けると、俺がいたのは先程までいた教会だった。

「なにがどうなっているんだ?」

と思っていると、俺の目の前にメッセージが表示される。

『HPがゼロになりました。デスペナルティが適用されます』

は?

俺がいつ死んだ………………ってまさかあの衝突で!?

ちょっと待てよ!

いくらHPが1だからって衝突くらいでダメージくらうか…………?

あ。

あぁそうか、俺ってVITも0だったんだっけか。

これは相当気を付けないと即死だな。


そして俺は重要なことに気付く。

「カネがねぇえええええ!」

ソウタの奴は既に装備を用意していたからデスペナの効果もそんなに受けてなかっただろうが、俺はまだ何も用意してない!

しかもボウガンだから矢を買わないと攻撃できないし!


つ、詰んだ…………。

キャラメイクをミスった。

しかしこのゲームは個別ID認識を脳波で識別している。

ゲーム機を変えてもデータは変わらないのだ。

また攻略難易度向上のためリセット不可となっているため、やり直しがきかない。

こ、こうなったら意地でもやりつづけてやるしかないのか。

有馬教授は課題に厳しいし…………。


それからダンジョンには出られなくなった俺は人のいない路地裏目指して通りを進む。

しかし、どうしても初のVR世界の町に見とれてしまい、飲み屋の前ではプレイヤーたちの話に耳を傾けてしまい、気付いたら衝突からの教会へ逆戻り。

通算6回目の挑戦にしてようやくこの路地裏にやってきた。

両方を黒色の壁で囲まれた空間に黒マントのフードを被って溶け込む。


そして【隠密】スキルと【索敵】スキルを発動してみる。

「うっ!」

目の前がくらむ感覚。

【索敵】の影響だろう。

脳にもう一つの視界が現れる。

今見ている景色と脳内の索敵マップを並行処理するか、目を閉じるかをしないといけないらしい。

「くそっ!」

目を閉じたい衝動に駆られるが、【索敵】スキルの効果に妥協はできない。

既にHP1、VIT0の弊害を感じているため、自分の長所なりえる点だけは確実に強化しないといけない。

プレイヤーから逃げるためなら、なんだってしてやる!

【隠密】スキルは俺が目眩に苦しんで壁にもたれかかっていても、発動されているらしく俺の体が少し透けている。

黒マントのフードを被って、黒い壁に囲まれた路地裏にいるため、通りを歩いているプレイヤーたちには気付かれていない。


くらむ視界の中、俺は6回の挑戦中に見聞きした情報について整理を始めた。


どうやら、このDTDは難易度が高すぎたらしい。

当初、賑わっていたこの町には生産職プレイヤーもたくさんいて、プレイヤー間のやりとりも盛んだったようだが、なにせダンジョンが攻略できない。

基本、モンスターのドロップアイテムを売る、クエストの報酬を受け取ることでしかカネを稼げないシステム。

ダンジョンにでていく冒険者プレイヤーたちはモンスターをなかなか倒せず、またデスペナによるカネの剥奪によって、彼らの所持金は徐々になくなっていった。

そのため、生産職プレイヤーに回っていくカネの量も連鎖的に減少。


現在残っているのは戦える生産職プレイヤー、もしくはパーティで抱えている生産職プレイヤーのみなのだそうだ。

10層にたどりつくとギルドをつくることができ、そうすると所属ギルドの金庫にカネを預けられるようになるらしいのだが、現在の最前線プレイヤーでも7層にとどまっている。


つまり俺って、HPとかないうえにこんな難易度のゲームでソロプレイ。

確実に詰んでるかもしれない…………。

だが、どうせ強制ログインさせられるわけだし、どうせなら攻略組に追いついてトップに立ちたい。誰よりも上の層に行ってしまえば俺一人だしな。

そ、そうじゃん!

俺が最高層に一人でどんどん行ってしまえば他のプレイヤーにあうことなくゲームができる!

よし、どうにかしてまずは攻略組に追いつこう。


結局俺はその日一日をその場で過ごすことになった。

【索敵】による脳への負荷からその場で寝てしまったのだ。

「で、できた…………」

と言葉を残して……。



目が覚めたのは翌朝の四時。

メニュー画面で時間は確認できる。

この世界でも現実世界の習慣は残っているようだ。

まだ朝早いためか人通りは少ない。

「ふぅ、こんなとこで寝ちゃってたのか。誰にも見つからなくてよかった」

そういえば、と昨日のせいかを確かめるため、ステータス画面を開いてみる。


******

NAME:kureha / 残りステータスポイント:0

レベル:1


HP:1

MP:0

SP:0


STR:0

VIT:0

DEX:70

INT:0

AGI:100


スキル

【弓攻撃】Lv:1【索敵】Lv:1【隠密】Lv:2【静音】Lv:2【罠設置】Lv:1【罠解除】Lv:1【罠作成】Lv:1【罠感知】Lv:1【逃走】Lv:2【夜眼】Lv:1

******

「ほほう」

どうやら昨日の【索敵】の訓練はスキルとしてのレベルということではなく、あくまでもPS――プレイヤースキルとしてのカウントのようだ。

【隠密】は今も発動しっぱなしになっているからそのためだろう。

【隠密】は、攻撃を与える、受ける、または敵に触れると自動で解除されるらしい。

随意で解除できるが、出来るだけしない方向で。

【静音】はパッシブスキル――常に発動しているスキル――のため上がったのだろう。

行動時に音をたてていないとレベルが上がるのだろうか。

これは【逃走】と同様に、プレイヤーを避けていたときにレベルが上がったのだろう。


と考えると、スキルレベルの向上は案外簡単なのかもしれない。

まぁ、まだレベルが低いということもあるだろうが。


「さて、どうしたものか」

ステータスの確認が終わったところで俺は思考にふける。

カネがないのだ。

そのため矢が買えず、ボウガンが使えない。


「こうするしかないのか…………」

俺はダンジョンにでた。

罠を探すために…………。


町の外が一層となっているようだ。

ダンジョンは各層から上へ上へと塔が次の層へとつながっている。

塔の場所は各層によって違い、また塔には各層のボスモンスターがいるため、各層を順々にクリアしていかなければいけない。

しかし、転移装置は10階層以降にしかなく、10階層までは毎回一層ずつクリアしていかなければならない。

つまり、ダンジョン攻略は層があがるにつれて、何日もかけて行う遠征式へと変わっていくのだ。


俺はダンジョンに出たとたん【索敵】を発動させる。

視界にも索敵マップにもプレイヤーの反応はない。

ちなみに索敵マップではプレイヤーが緑、モンスターが赤で表示される。


「あれがモンスターか……」

俺は索敵範囲限界の20メートル先にモンスターを発見し、ゆっくりと近づき観察していた。


ウサギだろうか。

体長は1メートル程。

「でかいな……」

どうやら食事中らしく、草原の草をむしゃむしゃと食べている。

白い毛におおわれていて、目は赤い。

額には一本の角。

『ホワイトホーンラビット』

その見た目から、初心者が勢い余って攻撃していくがその強さはみためとは違う。

近接戦闘特化で、角による突進と後ろ足の蹴りが強烈だとか。

好戦的な性格で逃げ出すことはないらしいが、耳がよく敵の動きを察知する能力にたけている…………ここまで掲示板とかの事前情報並べてみたけど強くね?

これ一層のモンスターだよね?

ウサギだよね?


俺は大人しくウサギから離れていく。

戦う武器持ってないしな…………。

殴打にしてもスキルを取っていないとダメージ判定がでない。

物理判定はでるらしく、衝撃だけはあたえられるらしいが。

ってことはあれか?

俺が今までぶつかってきたプレイヤーは全員それ系統のスキル持ってたってことかよ!

俺運悪くね?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ