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第一章~低層突破は難しい~Ep34

かなり間が空いてしまいました。

申し訳ありません。

すぅーっと。

無風の空間に涼しさが走る。

黒い空間の天井の先に抜けた俺を待っていたのは一つの大きな空間だった。

青色光のラインが部屋中を埋め尽くし、むしろ部屋は黒ではなく光によって青く染まっている。

そして、一撃ごとに現れていたサイコロももう俺の前に形を現さない。


――余談だが、サイコロたちにこんな会話があったのだろうかと思考を巡らせる――

『ひゃっほーい! 俺の出番だぜ! ちょっくら行ってくるわ』

『いってらん。つってもどうせ1しか出せないんやろ? わかってますよ』

『女の子が投げてくれるならなぁ。何回でも6出してあげられるのにね』

『け』

『け』

『ひゃ、ひゃっほーい! 俺だって、俺だって6とか出せるんだからな!』

『ほうほう、じゃあ見せてもらおうじゃないの』

『わ、わかったよ! やってやるよ! くらえ俺の必殺技! シューティングメテオサマーソルトハリケー………………ッ!』

『はっはっは! 名前言い終わる前に投げられてやんの』

『う、うるせぇ』

『結局1かよぉ。なっさけねえなぁ』

『まあ、女の子じゃなかったからね』

『お前病院送りにしてやろうか?』

『え? 可愛い看護師さんのいるとこに連れてってくれんの?』

『け』

『け』

『ってか技名ダサすぎな…………』

『まあでも振り得』

『いや、俺たち振られる側だから』

『え、俺は女の子に振られないよ?』

『恋愛方面の話してねえよ!』

『てか俺らサイコロな? 恋愛とか無縁だからな?』

『いやぁ、女の子のためなら勝利の女神になってあげられるのにね』

『なお、全員男な模様』

『け』

『け』



――みたいな会話が裏でなされてたらなんか嫌だな――



目の前に立つサーティンとの間に冷たい空気だけが漂っている。


お互いにそれぞれの得物の矛先を向ける。

奴の銃口が俺の額を見つめ、俺の矢の先は奴の心臓部に向けられている。

お互いの間を保ったまま、すり足で反時計回りにタイミングを見計らう二人。


「ここがゴールなのか?」

『グギャアアアアア』

答えられるはずもないサーティンに質問を投げかけるが、その返事はただの雄叫びでしかない。


しかし、これまでの過程で奴の体力はかなり減っている。

もう残りわずかといったところだろう。


だが、油断したせいだろうか。

突如サーティンの体に異変が走る。

部屋中に走っていた青色光がサーティンの体に結合し、サーティンの体が青く染まっていくのだ。

『ギュルゴォオオオオオオ!!!』

両手を広げ、上空へ雄叫びを放つサーティン。

すっかりと青に染まった身体は奴の体力が回復したことを表していたようだ。


「HPが回復したのか!?」

奴のHPは満タン近くまで回復してしまっている。

そして何より、奴の体に走った青色光。

これが奴に一体どんな変化をもたらしたのか。


「考えててもしかたないか」

先制攻撃は俺がいただいた。

銃弾の形を模した矢が奴の心臓部に放たれる。


だが…………。


カキィイイイイイン!


「なっ!?」

俺の矢が弾かれただと!?

しかも奴が手で振り払ったわけでも、銃弾で撃ち落としたわけでもない。

単純にやつの体に当たった俺の矢が奴を貫けなかったのだ。


しかしよく見ると奴の心臓部がより濃く青に染まっている。

「この青色光が奴を強化してるってことか!」

言われてみれば、先ほどのステージも青色光がステージを修復していた。

それと同じような原理が今度は奴に働いているのだろう。


しかも…………。

「その青色光がこの部屋と一つのラインでつながってるってのかよ…………」

そう。

奴の体に走る青色光は、この部屋の青色光のラインとも常につながっている。

だが、部屋のラインの位置は動かない。


つまり……。

「お前はライン上を動くしかないってわけか」

と言っても、この部屋にはラインしかないと言ってよい。


だが、全て埋め尽くされているわけでもないようだ。

青色光のラインはまるで京都の道のように、縦横に垂直に交差している。

正四方の部屋に十列ずつ並んでいる青色光のライン。

ステージのラインと結合された今、奴はこの上を動くしかないようだ。


「これもこれでゲームっぽいなおい」

俺はジグザグと動きながら銃撃をしてくる奴の背後に回る。

そして射撃。

しかし弾き返される矢。


「奴の攻撃は強くなってないってのに、防御性能だけは上がりすぎだろ!?」

俺は、やけくそに矢を放ち続けるが、少しずつ与えるダメージも青色光のラインから供給される光で回復されてしまう。


「くそっ」

だが、俺はあることに気付く。

奴は進むべき進路をいちいち視界で確認しているのだ。

もしかして、自分の意思でラインの上を進んでいるのか?

出ようと思えばラインから抜けることも可能なのだろうか?


それなら…………。

俺は矢に付与する映像を変更する。

そして、歩き回る間に罠をしかける。


「くらえっ!」

俺の放った矢が奴の足元へ青いラインとなって飛んでいく。

そしてそれが奴に当たる前に、瞬時に移動した俺は、別方向からもそれを繰り返す。


無数の青のラインが地面に交差して見えるようになったステージ。

奴の頭が揺れ始める。

どれが正しいラインでどれが間違ったラインなのかを判断できなくなったのだろう。


『グュオォオオオオオ!』

怒りに嘶き、肩を激しく左右に揺らすサーティン。

そしてついに奴は暴走し、俺の方へ一直線に走ってきた。


奴がラインから外れる。


「今だ!」

俺は仕掛けていた地雷の起爆と同時に矢を連射する。


『ギャァアアアアアア!』

爆発音とともに、矢による狙撃音がこだまする。

残響が耳に残る中、俺は奴が光の粒子となったことを確認する。


ふぅ。

なんとか倒せたか。

これで五層は攻略ってことか。


大変申し訳ないのですが、3月(2017年)過ぎまで新たに執筆する時間を設けられそうにありません。

用事が詰まっていて…………。


そのため、本作はしばらく更新できませんが、代わりに、前々から書き溜めていた別作品を投稿させていただこうと思います。

そちらの方は3月ごろまで定期的に更新できると思いますので、ぜひ読んでみてください。

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