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第一章~低層突破は難しい~Ep32

前々話に不適切な表現があったこと、本当にごめんなさい。

ただ、決して差別的に使っていたわけではないことは理解していただきたいです。

しかし、不快に感じられるのは当然だと思いますので修正させていただきました。

不快に感じさせてしまいごめんなさい。

どれだけ下へ降りただろうか。

身体を過ぎる空気は冷たい。

【夜眼】によって空間を把握できているが、この通路に燈る明かりは皆無。

黒に囲まれた二メートル四方の階段状通路を一歩ずつ進んでいく。


「……っ」

足元が赤く光る。

罠の反応だ。

俺が踏みこもうとしていた段から警告がはしる。

俺はバランスを崩しながらも、どうにかその一つ先の段へと足を運ぶ。

二、三歩前のめりになりつつも、転倒することは避けられた。


らせん状でもなく、ただただまっすぐに降りていく階段は注意力を散漫にさせる。

代り映えのない景色が、目に映る映像をぼやけさせていく。

しかし、この通路に他の罠があることはなかった。


だが、その終着点は俺の期待を裏切った。

「うそだろ……?」

俺が階段を下り切った先に待っていたもの。

それは行き止まりの壁だった。

システマチックな青い紋様が走る黒い壁。

【罠術】でさえも反応を見せないことから、これはただの壁だと推測できる。

「行き詰ったのか?」

顔をしかめる。

この長い通路はいったい何なのか。

ただ、プレイヤーを呆然とさせるためだけにあるのだろうか。

いや、そんなことはないはずだ。


どこかに、何か見落としたモノが…………。

思考する。

俺が通ってきた中で、分かれ道はあったか――否。

では、あったモノはなにか――罠。


「これは覚悟するしかないのか?」


俺は今降りてきた階段を上る。

俺が一つだけ避けた場所に向かって。



「ここに賭けてみるしかないか」

階段の中腹。

一歩先の段が赤く光っている。

罠だ。

先程避けた罠。

罠は避けるべきものだが、なにかのトリガーとなっている場合もある。


「段全体が光ってるってことは落ちるんだよな?」

この先が、ダンジョンの先へと続いていることを願って……。

俺はその罠を踏み抜いた。



下から受ける風。

心臓が浮く感覚。

俺は罠によって階段から落下していた。


だが、来るはずの衝撃はこなかった。

下から吹く風が強くなる。

俺の両足は布に包まれたかのように優しく、地面を捉える。


「ここは……」

空間を形成する壁には青いラインが走っている。

階段の行き止まりで見たものと同じだ。

システマチックな空間。

俺が先程までいた廃都市とはまるで変った近未来感。


俺は今半径二メートルほどの空間にいた。

黒い壁に走るラインには生命体のように青色光が走っている。

俺がここへ降りたつやいなや、そのラインの形状が変化する。

移動したラインが形成する『スタート』の文字。


そしてここから伸びる一本の通路。

その先の地面にも青いラインがうごめいている。

まるでこれは…………。


「すごろくでもしようってか?」

さきほどからこの空間全域から警告が発されている。

罠だ。

この空間自体が巨大な罠のシステムと化している。


だが、これだけ大規模な罠が無意味にあるわけがない。

「この先が六層への塔だろうな」

俺は頬を引き締める。

どんな罠が待ち構えているかは知らないが、俺は罠術師だ。

使いこなしてなんぼだろ。


とは言ったモノの、流石にこの大きな罠を解除することはできないようだ。

「進むしかないか」

俺は一つのびる通路へと進んでいく。


「んなっ!?」

俺がスタートラインを越えた瞬間。

空間を光が覆う。

思わず目を伏せた俺が、発信源を見ると、そこには黒い塊がいた。

「なんだ……?」


俺の二、三歩前にあらわれた黒い人型。

だらりと垂れた腕に、安定しない足元。

機械的にぶれる肩。

背筋は軽く曲がり、長身なのだろうが俺と同じほどの背丈になっている。

この空間同様全身を流れる青色光が背後と同化していて姿を捕捉しづらい。


そしてなにより……彼の頭上に浮かぶ情報。

名前の左にボスモンスターの証である王冠のマーク。

『ハイシステム・サーティン』

地上にいたゾンビが近未来的に進化したかのようなその風貌。


だが、彼が俺に攻撃してくることはなかった。

俺と彼の目の前に現れる二つのサイコロ。

そして、それが現れるや否やサイコロを地面に投げつける彼。

地面にあたり、鋭く回転する二つのサイコロがその勢いを止める。

『5』『3』

計8の目を出した彼は通路の先へと進んでいく。


「この階層のボス戦はゲーム対決ってことか」

ならやってやるしかない。

俺もサイコロを振る。

『1』『1』

計2。

なんで?


しかしそれは必然だった。

基本パーティで戦うことを前提としているボス戦。

プレイヤー数で優るプレイヤーたちに与えられるディスアドバンテージがサイコロの目の確率が変更されていることだ。

小さい目程でやすくなっている。


左右の肩を交互に上下させ、前方を進んでいくサーティンとの差がいきなり開く。

俺はこの状況を受け入れるしかないと割り切り、青いラインで区切られた通路のニマス先である場所に足を落とす。


するとマスの下に文字が描かれた。

『拳銃をゲットできます』

は?

DTDに銃は存在しない。

ということはこの階層限定で使用可能な一時的なアイテムか。

拳銃…………。

もしかしてこれって、普通に戦闘なんじゃ………………っ!?


俺がその考えにたどり着くのは少し遅かったようだ。

前方から急速に近づいてくる弾丸。

おそらくサーティンがたどり着いたマスでゲットしたものだろう。


俺が索敵でサーティンの動きを把握できていたため、不意打ちではあったが、ギリギリ回避する。

銃といっても、そこまで速いわけではなかった。


「なら、話は早いな!」

俺は出現した拳銃を捨て、ボウガンを構える。

そして索敵マップと射出方向を整合、即興で作った銃弾の映像を付与した矢を放つ。

サーティンはこちらの反撃に驚きつつも、飛んでくる銃弾に向かって、引鉄を引いた。

弾丸同士衝突させようというのだ。


だが、サーティンの弾丸は俺の弾丸を通り過ぎる。

『ゲッゥ!?』

壁に当たり、何度か跳弾したサーティンの弾が地面におちる。

そして、俺の放った矢がサーティンを打ち抜いた。


サーティンのHPが減る。

「どうやらここは射撃戦場みたいだな」

ならば、このすごろくは場所取り合戦ってことか。


サーティン、お前が俺を打ち抜くのが先か、俺がお前の銃口から逃げ切るか。

「さあ、弓兵(おれ)銃士(おまえ)の逃走劇を始めようか」

すごろくの一巡目が終わった。

どちらかが、ダメージを負った時点で次のサイコロが現れる。

攻撃も一旦中断されてしまうようだ。


サーティンが思いっきりサイコロを投げる。

『2』『6』

計8。

俺は軽く手の中で転がした後に、スナップをきかせ投げる。

『2』『1』

計3。

ちいさすぎない!?


またしてもサーティンとの差が開く。

この場所取りの差がこの勝負にどんな結末をもたらすのだろうか。


そろそろ作者もゼンアクさんやめようかと思いました………………。


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