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第一章~低層突破は難しい~Ep2

キャラメイク中です。

視界が白く染まる。

思わず目を閉じるが、それを開くと俺は白い空間の中に立っていた。

『ようこそDTDの世界へ』

「うわぁお!」

びっくりした。

急に声をかけるんじゃない!

機械音と言ったらそうなのだが、現実味のある高めの声。

声をした方を振り向くと、そこには緑色の髪をした少女が立っていた。

年齢は中学生くらい。

眠そうな目に、ところどころはねている髪。

黒色のブレザーを着ている。

だが、ネクタイが変に曲がり、ブレザーのサイズも明らかに大きすぎる。

急に来た来訪者に対応しようとして、慌てて準備したのか?

おそらくこのブレザーが案内役の制服で、案内役は他にも何人かいるのだろう。


「…………服のサイズはそれで合ってるのか?」

『…………ッ! あ、あああっています』

少女は顔を赤く染めると、慌てたように手をブンブン振りながら答える。

おいおい、語尾だけは冷静に言ってるけど、動揺が隠しきれてないぞ……。


うん、この子…………。

『コ、コホン! 私は案内役のリタ。あなたは?』

俺の前に画面が浮かぶ。

うおぉお!

初めてみるが、感動する。

俺は興奮をどうにか抑え、『kureha』と入力した。

本名の高峰呉羽どおりのクレハという名前だが、珍しい名前だし、ゲームをするときにはよくこの名前を使っている。

まあ、呼ばれることがないことを祈る…………。

『クレハね。じゃあスキルを10個選んで』

いきなり呼ばれたぁあああ!

やっぱり本名を実際に呼ばれると鳥肌が…………。

どんだけ対人恐怖症なんだよ俺!


「ってスキルか。確か基本スキルってやつから好きなのを10個選べるんだよな」


DTDにはジョブがない。

プレイヤーレベルによるステータスの底上げと、スキルによる多様な戦い方を駆使して戦うゲームだ。

スキルはキャラメイク時点で基本スキルを10個選ぶ。

またスキル数上限は10個だ。


しかしここからが考えどころ。

まず、スキルは上級スキルに進化する。

上級スキルの中には、基本スキルを統合できるものもあるため、後々スキルスロットに空きがでることがあるのだ。

また、プレイ中に特定の条件を満たした際に得られるスキルもある。

これは上級スキル、またはエクストラスキルとなっていてスキルスロットが満タンの場合、その時取っていたスキルを削って取得するか、空が出た時に追加として取得可能だ。


上級スキルに進化させるのにも条件があるらしい――全てのスキルの取得条件は明かされないらしい――から似たようなスキルを取って、後に統合されることを狙ってもいいかもしれない。


俺はスキル一覧とにらめっこを開始する。

一時間後、俺はようやくスキルを10個決定することができた。

既にゲーム内時間に加速されているから現実時間では5分しか経っていない。


『選んだスキルは【弓攻撃】【索敵】【隠密】【静音】【罠設置】【罠解除】【罠作成】【罠感知】【逃走】【夜眼】でいい?』

目の前にyes / noと表示される。

俺は確認をしてからyesを押す。

ここで確認しない奴いるけど、確認はちゃんとしような?


******

【スキル名】:内容 / 呉羽が選んだ理由

【弓攻撃】:弓系武器の攻撃判定が認められる。レベルによって威力補正。 / 敵の近くに行かなくても攻撃できるから(プレイヤーの近くに行かなくても攻撃できるから)。――DTDは対モンスターのみではない。対人攻撃も容認されている(パーティを組んでいる場合、フレンドリーファイアはない)。それもダンジョン攻略を難しくするためなのだとか…………。

【索敵】:自分周囲のモンスター・プレイヤーの位置を把握する。レベルによって範囲・精密さ拡大。 / 敵に近づかなくて済むように(プレイヤーに近づかなくて済むように)。

【隠密】:気配を消す。レベルによって隠密度向上。 / 敵に気付かれないように(プレイヤーに話しかけられないように)。

【静音】:プレイヤーがたてた音を小さくする。レベルによって静音度向上。 / 【隠密】に重ねて保険。

【罠設置】:フィールドに罠を設置できる。レベルによって設置個数向上。 / 敵と相対しなくてもダメージを与えられそうだから。

【罠解除】:フィールドの罠を解除できる。レベルによって解除難易度の高いものも解除可能に。 / 罠の流用目当て。

【罠作成】:素材から罠を作成することができる。レベルによって作成罠のレベル向上。 / 生産系スキルもほしかった。どうせ設置するなら自分でも作ってみたい。

【罠感知】:フィールド上の罠の位置を感知する。レベルによって感知度向上。 / 罠にかかっている間に、人に近づかれたら困る。

【逃走】:距離をとることによるモンスターの攻撃対象からの回避率向上。追われているときのAGIに補正効果。レベルによって効果向上。 / 逃げるときは逃げきれるように。

【夜眼】:夜のダンジョンでも視界がはっきりする。レベルによって効果向上。 / 夜のダンジョンはモンスターも強く、【夜眼】がないと行動にかなり制限がかかってくるためプレイヤーが少ない。プレイヤーが少ないときにダンジョンに行きたいから。

******


『ではステータスポイントを割り振って』

俺の前にステータス一覧が表示される。


******

NAME:kureha / 残りステータスポイント:170


HP:0

MP:0

SP:0


STR:0

VIT:0

DEX:0

INT:0

AGI:0

******


「……うぅん」

うなり声をあげる。

ステータスポイントはプレイヤーのレベルが1上がるごとに5ポイントもらえるらしい。

そして、そのポイントは今回も含め全て自由に割り振れる。

つまりDTDは、今――キャラメイクの時点でキャラの方針を決めなくてはいけないのだ。


とはいっても俺の場合さっきのスキルが偏り過ぎてて…………。

うぅん、どうせ攻略難易度の高いゲームなんだし、普通にやったんじゃ攻略できないよな。

現に未だ6層までしか攻略されてないらしいし。


「…………よし!」

思い切って振り分けてしまう。


******

NAME:kureha / 残りステータスポイント:0


HP:0

MP:0

SP:0


STR:0

VIT:0

DEX:70

INT:0

AGI:100

******


『こ、これでいいの?』

今まで表情を硬くしていたリタもちょっと動揺した空気を見せる。

ちょっとかわいい。

「……あぁ」

俺は確認してからyesを押す。

弓のダメージはDEXに左右されるらしいし、罠型のスキルもDEX依存だ。

後はできるだけ回避力をあげるためAGIに振った。

HPが少ないのは心もとないが、俺の中では相手に見つかった・気付かれた時点でもう負けだ。

近距離攻撃に補正のあるSTRはいらない。

耐久力補正のVITも敵に見つかっている時点で負けな俺にはいらない。

魔法攻撃に補正のあるINT、魔法を使うのに必要なMPも魔法を取得していないためいらない。

SPはスキルアクション(SA)に必要だが、手動でSAを行えば消費しないらしいからこの際カット。


『HPが0じゃ、げーむできないから、1でいい?』

なんとっ!

確認してからyesを押す。

これは幸先いいか?

いきなり合計ステータスポイントが1増えたぞ!


『じゃあ容姿設定に移る。クレハの身体情報がベース。変更したいとこを変更して』

「うひゃあ!」

俺の目の前に俺が出てくる。

さっきから出すなら出すって言えよ!

「……うぅん」

身長は170後半あるし変えなくてもいいか。

顔も面倒だから変えない。

目つきが細いが、悪くはないと思う。

髪形は、稲城より癖が強いが、まあこのままで。

体型も日々のトレーニングでまあまあ筋肉もついてるしいいよな。

祖父のおかげか?


結局、髪の色と瞳の色だけ変えた。

髪は紺色に、瞳は金色にした。


『じゃあ初期装備を選んで』

目の前に一覧が現れる。

「武器は腕につける小型のボウガンがいいな。服装は……」

十分ほどして選択を終えた。

俺が選んだのは、黒のフード付きコートに、黒のインナーとシャツ、そして黒のパンツだ。

全身黒のほうが見つかりにくそうだし…………。


『初期の所持金は1000エル。じゃあDTDの世界へ…………』

目の前が真っ白になる。

俺はDTDの世界へと転送された。


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