最終決戦7
「お金が無いときに頂いたカレーのお礼です」
「…昔過ぎて忘れてたよ」
お互いに笑った。
「結局、お前は敵なのか?」
「正直、敵でも味方でもどーでもいいです。ただ、死にたくないんでお手伝いさせてもらうだけです」
ウィーズ曰く、ユユを湖の底の部屋に隔離し、戦いを優位に運ぶ予定だったらしい。
ここでいう部屋はコンテナの様な物で、破壊して外に出ようとすると溺れる仕組みになっているらしい。
だが、ウィーズはそれをせず、ユユを一時的に戦いの場から遠ざけた。こうなることを予期して。
「ギリアムは結構熱くなりやすいんで。ま、結果オーライってことで後は頼みます」
それが勇者の仕事ですもんね?と、ウィーズは付け加えた。
「ユユ!」
「何だよ?」
「二人であの怪物ぶっ倒すぞ」
「最初からそのつもり、だ!」
ユユは魔人の殴打を跳ね返した。
「さっさと行くぞ」
「了解」
魔人は魔法と殴打を繰り出し、俺たちを撃退しようとした。物理はユユ、魔法は俺と役割分担して全ての攻撃を弾いた。弾きながら少しずつ距離を詰め、
全力の一撃を放てるまでに至った。
結界を纏い、ユユと共に高く跳び跳ねた。
「アーネスト……ブレイドォォォ!!!!」
ユユの手刀が魔人の上半身を切り裂いた。
先回りし、崩れ落ちる半身を上空に蹴り上げた。
ユユがそれに追い付きしたに向け、ギガラッシュを放ち、猛スピードで落下してきた。
ウィーズ。勇者の仕事がどうとか言ったよな?
そもそも、そういう“自分の仕事に誇りを持ってる”考えが悪いんだ。
無職で何が悪い?何も悪くない。
変な固定概念に囚われるよりはよっぽどマシだ。ギリアムの使命感じみたものがそれだ。
それが無い俺に、いや俺たちに敗北はありえない。
「無敵の職業、略して無職ナメんな!!!!!」
螺旋・結界砲っ!!!!!
魔人の上半身はあの時のドラゴンの様に爆発四散した。
オーバーキル、いや、勝利の祝砲とでも思えば良いか。
「おい。お前と同じ無職の括りにすんな」
ユユが落下しながら軽く頭を殴った。
「さて、全部終わったしご飯にしようか」
終わってみたら何てことはない。
適当に後片付けをして、家を担いでいつもの場所へ帰った。




