最終決戦6
「アズエル!!全ゲート解放!!」
魔法が通じないと分かったギリアムは慌てていた。
この場合、倒すべきはギリアムだ。結界を纏いダッシュした。
だが、ギリアムの言うゲートが開かれてしまった。
黒い渦の様なものから体の部位が一つずつ現れ、一つの実体となった。巨大な魔人とで言うべきか…。
「もう貴殿方は終わりです。解放されたこの魔人は私でも御することはできません」
手に余るものを呼び出すなよ…。
魔人が片手を広げ、魔法陣を発生させるとそこから大量の魔物が現れた。
今までに見たことのない禍々しい、凶悪そうな魔物が多数。
一人で魔人と魔物を相手にするのはきついがやるしかない。ここでユキを倒したことに後悔した。
「ギリアム。お前を倒したらあれは止まるのか?」
「…おそらく止まらないかと」
「じゃあ寝てろ」
ギリアムをかなり強い力で殴り、気絶させた。気絶したフリということも考えてもう一発殴っといた。
さて、どうするか?
アズエルの魔法が解けたとしても、あの魔人や魔物が帰る保証はどこにも無い。
群がってくる魔物を蹴散らし、家を担ぎに戻った。
「くっそ!キリがない!!しかも、全てのやつがそこそこに強い…!!」
完全に手数負けしている。
ゴアァァァァ!!!!
しかも、
魔人の攻撃も避けなければいけない。
「キリアールさん!一度能力を解除して、ノヴァイル、サラヴィスに向かう魔物を食い止めてください!」
被害は最小限に抑えたい。
俺たちの争いに関係の無い人を巻き込むのはあってはならない。
だが、それはただの理想。
魔人が再び魔物を呼び出した。こちらの力量を察したのか先程より多く、獰猛な魔物を…。
俺が命を落とすことはない。だが、俺がなんとかしなければ他の犠牲が生まれる。
死ぬこととは違う、決定的な敗北を前に思考が揺らいだ。
焦りに似た、どうしようもできない諦めのような。諦めることしか出来ないような……。
「借りた恩は忘れてませんからねー」
この声は…。
スプリングヴォールト!!!
呼び出された容姿の異なる数々の魔物が
一瞬で消えた。
跡形も無く、一瞬で。
魔人がその対象を認識し、迎撃をはじめた。
だが、
「ギガラッシュッッッ!!!」
もう一人の勇者には関係のないことだった。
「諦めんの早くねぇか?」
そう。ただの理想。
実現可能な、ただの理想にしてくれるのはいつも。
頼りになるユユだけだ。




