無装の力
あけましておめでとうございます。
この章はユユ目線になります。
「貴方の仕業?」
「さぁな」
「そう…人目の無い場所であるけど、急ぐとしましょう…」
私は謎の女とユウトが色々と細工したあの場所で向かい合っていた。
「クリエイト・モンスター。どう?不快な能力でしょう?」
「…まぁまぁ」
蛇三体、狼四体、蜂二体、その他諸々…。
見た目だけで全然怖くない。というか、この世界のものは殆どが脆い。こいつらだって、一撃で片付く。
「まだ、話す気にはならない?」
「全く」
「なら、仕方ないわね!」
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「ちょっ!誰!?血出てるし!?」
「うん。色々あった。傷の手当てよろしく」
「唐突過ぎるよ!」
家に負傷した女を連れ、家に帰った。本当は魔物だけを倒すつもりだったが、その際に石などが飛び散り当たってしまった。運悪く、顔付近で擦れたようで血が多く流れている。
「この人はどこで?」
手際よく応急処置を進めるユウトは、さっきよりも落ち着いて見えた。
能力を使い傷を癒した。
「それどうやってんだ?」
「さすがにヒーラーみたいなことは出来ないから、ポリツァーの養分を人間の自然治癒の細胞に与えて回復を促す方法を編み出してみたんだ。前の世界で言う、点滴みたいなものだよ」
「治んの?」
「自分で試してみたし、多分大丈夫」
…試しを自分にやるのはどうかと思うが。それはどうでもいい。
「で、この人は?何があったの?」
「調査が終わって、帰りにあの場所に寄って…」
調査。それは、私にしか出来ない仕事でもあった。
この世界に来て三年近くになり、ようやくそれが終わった。
調査の内容は、この世界を全てを見てくること。この世界は元の世界のように球体なのか、他に人間の住む地域があるのか、海があるかなどなど。
色々分かったことがあるけど、一番重要な人に関することは全てがNOだった。
サラヴィス、ノヴァイル以外に人間はいない。生活跡も、遺跡も何も無い。
ここが世界の最先端なのだ。
本当は期待していた。もしかしたら、元の世界に戻れる方法があると。
だから、今日の気分はブルーの極みであった。
その気持ちのまま帰ろうとしたが、ついでにあの場所を見に行ってみた。ユウトが何かを考えてのことだろうから、面白そうとも思った。
そこには、あの女がいて「これを知っているか?」「貴方の能力か?」など聞かれ適当に流していた。攻撃されたので反撃し、今に至るということだ。
「…それ、本当の話?」
「うん」
元の世界に戻ること以外は正直に伝えた。
「ってことは、第二段階の始まりだ」




