家は変わらない
「偽骸骨完成」
「それに魔力は通っても良いのか?」
「体内には少なからず魔力があるから大丈夫。人骨程度なら多少の魔力があっても不思議じゃないから」
「……うぅん、よく分かんない」
よし。次の段階に行く前に、
「じゃ、帰ろう」
「家ここにあるじゃん」
担いで来たの忘れてた。
「あの場所に戻ろう、が正解だったね。やることは終わったし、しばらく時間を空けないと」
「分かんなさ過ぎる」
「じゃ、ヒントあげようか?」
「おう」
「ユユは神話とか信じる?」
「あんまり」
「この世界にもそういったものがあってね。それがヒントだよ」
「ますます分かんねぇよ!!」
お馴染みの鉄拳が頬にぶつかった。
「今日の夕飯は……」
「うどん」
「麺類はこの間も食べたのに」
「うどんが良いの!」
「了解、了解」
家を担ぎ、いつもの場所に歩いて帰った。
一度自動車もどきに乗ろうとしたが、ユユが以外とそういうのに弱いらしく却下された。元の世界では自転車によく乗ってたとか。
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皆さんはうどんについてどれ程の知識があるだろうか?
漢字で饂飩。原材料は小麦粉と水と塩を少し。捏ねて、捏ねて捏ねまくる。
簡単だが、麺に何かを練り込んだり、スープ等に工夫するだけで何通りもの味わいが楽しめる。
そういえば、父さんや弟と一緒に作ったなぁ…。懐かしいなぁ…。
初めての時は麺がボロボロで不味かったのに、父さんは苦笑いして「美味い」って言ってたのが印象的だった。
弟は確か…めんつゆだけ啜ってたっけ?
シンプルイズベスト。簡単かつ奥が深い。
この世界にも近い麺料理があるから、それをアレンジして作ってみよう。
まず、水と小麦粉を……。
「ほら。やってやるから、美味いつけ汁でも作ってろ」
「お、おぉ。ありがとう…」
ユユがご飯支度を手伝うなんて初めてだ。
驚きを隠せないが、微笑ましい良い傾向だ。ユユの中の変化が表れてきたということだろう。この居場所を変わらないように支えてあげないと。
「ユユ…」
「ん?」
「…つけ汁、って女の子らしくない」
「うっせ!」
うどん、って思い出を作る食べ物なのかな?ユユにとっても何か思い出があるのかな?
なら、
今日のことも思い出になるといいなぁ
慣れない作業に悪戦苦闘しているユユであったが、とても楽しそうにも見えた。




