家の近くで○○作り
さてさて、第三の国を作ろう。ということになったが、現段階では限りなく不可能に近い。
そこで、不確定要素に賭けることにした。
俺は土の魔法を使い見映えの良い家を建てた。
「ユユ。この建物を程よく壊し……」
「あいよ」
速攻で建てた家が地面ごと抉り消えた。
程よい、って意味が通じてないな。
「…もうちょい加減して」
「なら、服をくれ」
「………ぁぃ」
「その間はなんだよ?」
もう少し女性として魅力的なユユを見ていたかったが仕方ない。
上着を家から出し、ユユに渡した。
「じゃあ、もう一回」
今度は家の原型を残しつつ、酷い有り様に仕上がった。上出来、上出来。
「これ。何になるんだ?てか、お前がぶっ壊した方が良いんじゃね?」
「そうしたいけど、魔法の痕跡が残るんだよ」
ユユは物理特化であるが、魔力がほとんどない。それに対し、俺の全てには強力な魔力が通っている。そのためユユの破壊と俺の破壊では、同じに見えて少し違う。今回はその少しが鍵となるのだ。
「よく分かんないけど、お前のことだし何かあるんだろ?」
「そういうこと」
「理由は聞かずにいてやるよ。で、次は何をすればいい?」
「また家を建てるからそれを投石とかで壊して」
「はいはい」
そこからの作業は順調に進み、一つの目安として一度休憩した。
ユユに休憩してもらってる間に俺は……。
「……笑みがゲスい…」
「そう見えるかもしれないけど、やってみると楽しいよ。ほら、細かい作業とか好きだし」
「…見てて不気味だ」
そう思われるかもしれないが、実際は楽しいし、これからのことを考えるとワクワクする。
この作戦はとても上手くいく気がするだよなぁ。
手で白い粘土のような物を捏ね、周囲を見渡した。
薄暗く湿気の多い木々の中に佇む、破壊された建物、ヒビや奇怪な凹みが目立つ地面、大穴の空いた山。
百人が百人、不気味に思うだろう。
想像してみてほしい。そんな残骸の中で笑いながら粘土を捏ねる男。
自分で想像してみても不気味だ。
「その白いの何なんだ?この辺に、そんなもん無かったし」
「これは、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウムだよ」
「??」
「この形を上手く調整して…」
魔法の力で自由自在に形状を変え、丸みを帯びた棒状にした。
「これに少しの炭素と酸素の有機物を混ぜると……何になると思う?」
「分かんない」
「ははっ。潔いのか、諦めが早いんだか」
勘の良い人は分かるかもしれない。
リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、有機物は。
人骨の成分である。




