国なんて規模の大きい家と同じ
何故、戦争が起こるのか?
自分と相手がいて、相手を倒すことで利益を得られるからだ。
戦力・環境が整い、相手に隙が生まれた時にそれは始まる。
と、大袈裟に言ってみる。
そもそも、国が二つしかないというのがもうナンセンス。理由はよく分からないけどナンセンス。
結論。戦争になるに決まってんだろうがぁ!!
というわけで、これからの第一目標として「第三の国」を作ろうと思う。第三勢力があると争いにくくなるし、商業的にも発展しやすい。
実際、元の世界の通信なんかは戦いを効率良く進めるために産み出された技術だし。
だが、問題もある。
国というのは、「土地」「人」「法律」が必要だ。
しかも、決して少なくない量の。
まず、土地。
開拓されているのはすでにサラヴィス領、ノヴァイル領となっている。新たに開拓する必要があるうえに、人手と時間が掛かる。不審な動きをしていると見られれば両国から潰される恐れがある。
こっそり、かつ、大胆にやるのが理想だ。
次に、人。
第三の国、という得体の知れず、胡散臭さ満載のことに手を貸す人間が果たしているだろうか?自国の反逆者として裁かれる可能性がある時点で大分無理がある。
最後に、法律。
これは最低限のルールと考えればいいが、人間関係の問題は思ったより複雑で面倒だ。
それに、この世界のルールと俺の考えるルールではズレが生じてしまい、不信感を持たせてしまうかもしれない。
人あっての法律だが、法律がしっかりしなければ人は集まらない。
土地の開拓はユユと俺の能力で簡単に出来るが、それ以外は難しい。
……あ。忘れていた。
勢力が三つあると戦争を起こしにくいと言ったが、あくまで理想である。三つ巴になり、互いが睨み合うような状況が望ましいが、サラヴィスとノヴァイルが利害の一致ということで手を組むことが考えられる。
そうなると二対一になり絶対に負ける。そして、吸収され、内部崩壊になり、結局一対一の状況に逆戻りだ。
土地を確保して、人を素早く大量に集め、国という骨格をいち早く整えるのが一番の近道だろう。
矛盾を孕んでいるが、これ以外はどうしても欠点が大きくなってしまう。
もうちょっと、歴史とか勉強しておけば………
…良いこと思い付いた。
ーーーーーーーーーー
「……っしゃっ!ま、こんなもんかな」
「お疲れ様。はい、お茶どうぞ」
「サンキュ」
ここは、サラヴィスとノヴァイルから結構離れた場所。見たことのない敵が多くて大変だ。もちろん、家を担いではいるが動きにくいし、オーバーキルになりかねないのでユユに手伝ってもらうように頼んだ。
「ホントにここで良いのか?沼っぽいし、山とかで薄暗いし……」
「ジメジメして、薄暗いってなったら何を思いつく?」
「サウナ」
「うーん。予想してない答えで戸惑ってるよ…」
「発酵食品」
「…普通の女子から出ない答えが真っ先に出てる気がするけど、俺の変な偏見なのかな?」
立地的には大分悪い方になるが、長所も短所というなれば、その逆も然り。この短所を生かしたことも出来るということだ。
「なめこ」
「いや、もういいよ!」




