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無職は正義  作者: 半半人
捨て身の無職×→噂の無職○
36/69

心機一転。始まりの我が家

ユユには「王の意思で死ぬ」という制約があったようだ。それは、自宅守衛者(ホームガーディアン)の能力で打ち消すことが出来た。



しかし、俺にも制約はある。






本当はここに召喚された時、俺の本当の能力は守護者(ガーディアン)だった。魔法はそこそこ、物理系統の全てが特化しているというものだった。その時の召喚者が俺の力を恐れ、簡単に能力を発動できない条件を付けたのだが、


それが自宅守衛者であった。


ある意味無敵になったが不便と言えば不便だ。


そして、この制約は自宅守衛者の力であっても解くことは出来ない。もし、出来たとしたら俺はただの物理特化に成り下がってしまうだろう。




いや、よくよく考えてみたら空腹も睡眠も本当は必要ないし、家を担いでる状況でも片腕で何とかなるし結界砲も使えるし……



明らかに召喚者のミスだよな。




「ユユ。君の呪いはもう……」

「……うん…うん…っ!」

「だから、泣かないで」



ユユを抱き締め……っっ!!?



「そういことは早めに言えやぁぁあぁぁ!!!」

「ぶへらっっ!!」


ユユの捻りを加えた鉄拳が見事に喉の真ん中に命中した。


分かるよ。今まで黙っていたのは悪いと思っているけど切り替え早くない?喉仏を拳の固い部分で抉るの超痛い!


「な…!」

「あんなに…心配、したんだ、ぞ!それなのに…それなのに………!!」



ユユの涙は止まっていなかった。





馬鹿か、俺は。



ユユはこの三年近く、もしかしたら死ぬかもしれないという恐怖を感じていたんだ。

それを隠して、何事もないような顔で、毎日を送っていたんだ。


俺は何も言わずに、今度は力強くユユを抱きしめた。


声を漏らすユユの拳が俺の胸を何度も叩いた。小さく、何度も。




「…俺と一緒に第二の人生を……」

「ん…?」

「いや!何でもない…」



目を瞑り、優しく微笑んでみせた。



いいんだ。



俺の願いなんか二の次で。


ユユが幸せになるなら、脇役だろうが悪役だろうが構わない。


サラヴィスが全面戦争を仕掛けてもねじ伏せるだけだ。それほどに、俺の決意は固かった。



「両国を敵に回したようなもんだし………ユユ、これからはフリーダムに行こうぜ!」

「…おう!」




そうと決まればやることはたくさんある。






「国どころか世界まで変えるのはどうかな?」

「自由なんだろ?アリに決まってる」

「ははっ。それもそうだ」




呪いも、勇者の肩書きも、今日で全部終わりだ。



これからは自由に、楽しく、全力で生きてやる!








…結婚は…………まだまだ先になるのかな?

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