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無職は正義  作者: 半半人
勇者×→無職○
3/69

最強の自宅警備員

「おらぁ!!ふざっけんなぁ!!」


今、自宅の雨漏りがすごい。

ついでにユユの機嫌もすごい。


「こんの!下りてこいやぁ!!」


そして、今、俺たちは屋根の上にいる。

雨漏りの原因を作った魔物を下から見上げているのだ。

上空で旋回するドラゴン同士が争っているらしく、その流れ弾が家を直撃したのだ。

他にも破片やら残骸やらが飛んで来てそれをなんとか払っているが、雨がとても鬱陶しい。


特殊な結界を施したこの家に風穴を空けるなんて、さすがドラゴン。腐ってもドラゴンだ。


「ユユ、なんとかならない?」

「空にいて、どうにかなるわけないだろ!」


ユユの拳が溝に入った。


「おぶっ!」

「そうだ!お前、倒しに行ってこい!」

「ぐっ…どうやって…?」

「私がお前をぶん投げてやる!」

「いや、俺、か弱い一般人(パンピー)だし。家から出たくないし」

「いいから行ってこい!」


わぁ…


空が…汚い。


思いきりぶん投げられた。ドラゴン二匹を越え、雲さえ越えた。


ユユさん、こんなに力があるならジャンプしてぶん殴れば良いじゃん。


…速度が落ち、急降下を始める。

し、死ぬ!?

再びドラゴン二匹が……目が合ってしまった。

俺は落下とドラゴンの恐怖から情けない声を出した。


「いぃやぁぁあぁあぁ!!!」


だが、ユユが俺を抱き止めた。俗に言う、お姫様抱っこだ。


「ちぃっ!一匹も仕留めてねぇじゃねぇか!!」

「いや、無理無理無理!俺にそんな力ないって!!」

「し・か・も、二匹連れて来てんじゃねぇよ!!」


目が合ったせいで連れてきたのは謝るが、投げ飛ばしたのは誰かと問い(ただ)したい。


「私が、一匹殺ってやんよ」

「どこの山賊だよ」

「家が壊されたら危ねぇからな。私はあっちでぶっ殺す…」

「りょーかい」


目を爛々とさせたユユは雨の中走り出していった。

…ったく、血気盛んなんだから。


「俺はこっち、か」


家の上空でホバーリングするドラゴンを見上げた。

俺はユユほど強くないのにさぁ。この状況は理不尽だ。地の利はドラゴン。リーチ的にもあちらが有利。体格的にもあちらが有利。


死ぬ。


ユユさん!!早く倒して助けに来てぇ!!

ドラゴンが火炎の玉を口の前に出現させ、今にも放とうとしている。


死ぬ。


そして、放たれた。


死ぬ。



「って、死ねるかぁ!!」


全魔力を展開し結界を産み出した。

火炎の玉は結界とせめぎあいしばらくすると消滅した。

よ、よかったぁ…。


忘れてた。


俺の仕事は、掃除、洗濯、炊事、などなど。その中でも、一番果たさなければいけないことを全うしなければ。


「ユユの帰る家を、俺が守る!!」


結界に使用した魔力を回収し、右手に集中させた。ドラゴンが追撃にと、火炎の玉を再び形成し始めた。

結界で防げたんだ。その魔力を攻撃に回せば、負けはしないはずだ。


「うぉおぉぉぉ!!」


ドラゴンが火炎の玉を放つの同時に放った光線はそれを打ち砕きドラゴンを容易く貫き、爆発した。


あれ?


雨に混じってドラゴンの肉片やら、体液が飛散した。

射程が短いため森への被害は少なかったが、飛び散った悲惨な光景にげっそりとした。


「しまった。オーバーキルだ…。」


忘れていた。


俺は、この世界に召喚された勇者であり“自宅守衛者(ホームガーディアン)”という希少なスキル持ちだったんだ。

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