家外戦争(ユウト視点3)
ん…?
ここは?
「起きた?」
「その、声は…?ユユ?」
ユユに聞くと、間一髪のところでユユに抱えられ家に運ばれたらしい。時間もそこまで経っていない。
「バレたらやばいんじゃ?」
「バレないようにしてるし」
問題ないかもしれないが、大問題だろ。
「何してんだよ?馬鹿か?無理に決まってんだろ。しかも、あんな下らないことして」
「……言いたいことは分かるけど、俺は本気だ」
「…大した力もねぇくせに」
「戦いは力が全てじゃない」
「分かんねぇのか!もし、こっちの王が私にやれって言ったら、一瞬で終わんだよ!家から出たお前なんてただの雑魚なんだよ!」
「知ってるよ!!」
思わず大きな声を出してしまった。
だが、引けない。
「俺が弱いのは知ってる。でも、俺がやらなきゃ……ユユが人殺しになるかもしれない。関係ない人も死ぬ。それだけはどうしても避けたいんだ」
「……」
「それに俺、平和主義だし」
ユユの鉄拳が顔面にめり込み、窓をぶち破り外に飛び出た。
「ふざけんなっ!!力も覚悟もなんもねぇくせに簡単にできるなんて言うな!!それに、いつ、お前に私が頼ったんだ!?こんぐらい一人で…!」
倒れた俺の胸ぐらを掴み、二撃目を放とうとした。俺はその拳を握り返し、ユユを睨んだ。
「覚悟ならある」
言った通り俺は平和主義だ。辛いことも極力避けたい。逃げ腰であることも十分理解している。
だが、俺は男だ。
絶対に譲れない意地がある。
「戦争はさせない。そのために俺一人でサラヴィスに勝つ」
「……無理なん…」
ユユが俺を諭そうとする。しかし、俺が曲がらないことに気付き、
「…男に二言は?」
「ありません」
ユユは消えるような速度でサラヴィスに帰った。
一回撃退されたが、無策でそうなったわけではない。しっかり策を練っていたが、上手く連動しなかった。それだけだ。
地下に行き、折れかけの柱に二度目のパンチを放ち、急いで外に出た。
「さっきのお返しだ」
花火を結界で覆い、家を担いだ。
自宅守衛者の能力を発動し、
サラヴィスの外に円を描く様に高速で走り回った。そして、結界で覆った花火を空いた手に持ち、城を目掛けてぶん投げた。
それを走りながら繰り返すことで全方向からの攻撃を受けていると錯覚する。
今日の深夜に眠り草的な物を集落に大量に散布してきた。よって、城壁外の異変を伝える者はいない。
花火の音が盛大に響き渡った。
そして、それと同じぐらい大きな重低音も聞こえてきた。
「こっからはお前らの出番だぞ」
マーティン3号




