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無職は正義  作者: 半半人
無職×→稼げる無職○
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22/69

家には頼れない

早くて一週間。それまでに一人で一国と相対するだけの策を練らなければ。


そのため、家に帰る時間すら惜しい。


城の一室を借り、そこでひたすら脳を動かした。家にいようが思考や精神は無敵ではないためなんら問題はない。


むしろ、サラヴィス内部に関する資料があるここに残る方が賢明だ。



戦いは些細な不確定要素が勝敗を左右することがある。土地や人員、武器の数、その日の天候……全てが味方にも敵にもなる。

全ての要因に大きく関わる情報を俺は集め、考えを深めていった。


まずは地形の把握だ。

地図を広げ地面の起伏など細かいところも見逃してはいけない。


サラヴィスは平坦な土地を利用した田畑に囲まれた城塞国である。

農民の村は外部にあり、城壁で囲まれた内部は城を中心に街が展開されている。


田畑と農民の小規模な集落が八方向に配置してある。平地を利用した畑田は見晴らしが良いため外敵をすぐに発見できる。構わずに進行を続ければ、十メートル程の城壁を利用した制裁を受けることになるだろう。

弱点として挙げるなら単騎であれば注目を浴びずに攻め込めるというところか。



次に人材。人が多ければ多いほど有利である。しかも、頭が良いや身体能力に優れるなど、適材適所で活躍する個性がある。それを踏まえどこから攻めるかを検討する必要がある。ただ、どうしても人に関する情報は集めにくい。そうなると要注意するとなると“サラヴィスの王”騎士団長”“魔法長”“軍師”“ユークリッド”の五人になる。

相手の性格、判断力、戦闘総合力を先読みし無力化する有効な手段を考えなければ……。



最後に戦術。


相手は戦争を仕掛けるだけの準備が整ったわけだ。並々ならぬ自信があるとみて間違いないだろう。そこを崩すのは至難の技だ。相手は崩されることも作戦として組み込んでいるはずだ。自宅守衛者(ホームガーディアン)の結界砲でも使えば別だが絶対に殺人は避けたい。



「城に奇襲が無難。か……」


それをさせないための見晴らしの良さがある。壁も障害として十分の効果がある。





打開策が思い付かない……。



“戦わずして勝つこともまた戦闘”


それが理想。


その理想を現実にしなければいけないのに……っ!


どうしても力を使い人を傷つけることを前提としてしまう。

力でも脅すこともできる。しかし、それは殺人に近しい愚行だ。そんなことをしてはユユに会わせる顔がない。

力には頼れない。


「時間が限られてるってのに…」


一週間以内には奇襲をかけなくてもならないんだ。なんとか捻り出しなければいけ……。




突然部屋の外が騒がしくなった。鎧を身に付けた兵士が走り回っているようだ。


「何事だ?」


ドアから顔を出し、近くの兵士に尋ねてみた。


「え?あぁ、なんか近くで物凄い魔物が現れたとか。しかも、二回目だから大騒ぎさ」

「二回も?物凄い??」

「害は無いけどとにかく凄いんだ。見に来るかい?」


時間が無いにも関わらず俺は兵士に着いていった。良い気晴らしになるかもしれないし、何かヒントになるかもしれないし。


城を出て、門を潜り、魔物がいる国境付近に辿り着き、俺はそれを見た。




「一回目で追い払おうとして何人かだ囲んだこともあったが返り討ちだよ。オレもそのひとりだけど、ははっ。笑えるよ」

「……はは…」

「ノヴァイルだけでなくサラヴィスにも何度か出現したこともあるらしい」

「本当に?」

「多分」

「そう、か……」



それなら本当に





笑えるよ



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