家での一面
家計がピンチだ。
金が、金がないのだ。
何日か前に買ったゲームが原因だ。
結局楽しむ間もなく破壊されたが、無くなってしまったものはしょうがない。ただ、あれを売っていれば一週間は食い繋ぐことができたかもしれない…。
「今日はステーキが食べたいなぁ」
「お前の胃袋を満たせる程の食材も金も無いんだよ」
「なん、だと…!?」
可愛いくなくて、
「ちょっと、稼いでくる」
行動力がなかった背負い投げしてるところだ。ユユは普段は家で怠け腐っているが働くときはしっかり働く良い子だ。
「他に食べたいものがあったら買ってきてくれ。上手に料理してやるぞ」
「おっしゃぁ!!」
ユユは家から飛び出た。
よし、これで今日の食材としばらくの家計が確保できる。
ユユが頑張っている間、俺の仕事は…。
掃除、洗濯、夜食の下ごしらえ…完璧だ!
ただ、いくら食材が確保できても調味料がなければ旨くはならない。なんとかやりくりしていたがとうとう底を着いたのだ。さすがにこれに関しては買いに行かなければならない。が、俺は基本家から出たくない。前回はユユが駄々をこねたから仕方なくお使いに出向いただけで毎回毎回行くわけではない。
どうしたもんか…。
調味料が尽きたことがユユにバレれば「買ってこいよ、このカス!」なんて言われるに違いない。
仕方ない、行くか!
ギュワーー!!
きしゅーー!!
グェッグエッ!!
家の外には大量の魔物がうようよいる。しかも強くて、毒とか魔法とかを使う厄介なのがうようよと。
「……送ってもらうか…」
俺が家から出たくない理由?
無職だからではないと断言する。てか、この外の様子で分かるだろ。
ユユは逞しいからなぁ。
家に備え付けられた魔法道具の電話で知り合いに連絡を取った。
「もしもし?」
「はい、毎度お馴染みライン商会でござます」
「えっと、アーレンさん?」
「ユウト様でございますか?」
「はい。あの、いつものお願いできますか?」
「…分かりました。今確認をとりましたので、本日の夕方にお届けします」
「分かりました。よろしくお願いします」
やれることはやった。後は待つだけだ。
ソファーに寝転がり、いつの間にか眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おーう!ユユ様のお帰りだぜ~!!」
んん?
ユウトの奴寝てやがる。
全くこれだからこいつは……。
…ん……?
……可愛い寝顔して、この野郎!!
ユウトの額にデコピンをした。弱々しい声が漏れたが、知ったことか!
「おかえり」
優しい笑顔をこちらに向け、ユウトは立ち上がった。
「今、晩ご飯用意するよ」
「おう、さっさとしろ……ユウト…」
「ふふ、りょーかい」
…全く……これで不味い料理なんか作ったぶっ殺してやるかんだからな!