家で燃える
「剣とか銃とか内蔵させて、無敵機械兵“マーティン3号”の完成だ!!怖い、自分の力が怖いよぉ!!」
ネーミングセンスは無くても自宅守衛者の技術は最高なのだ!
今日は家に俺一人だ。
ユユはサラヴィスの王に呼び出しを受けたようだ。
金はある。時間もある。充実しているはずなのに、
「ユユとの仲は進展してんのかなぁ?」
こう、一方通行感がして否めない。俺はユユに頼らなければいけないが、彼女は一人でも逞しい。国に帰ればそれなりの優遇を受けるだろう。
だが、俺には何も無い。嫉妬ではないが、ユユがいついなくなっても不思議ではないという焦りのようなものはある。
このままの関係の方が良いのか?踏み込むべきか?
どのタイミングで仕掛けるのかは俺には分からない。
この世界に来る前はただの一般人として過ごしていた。
中学校三年間陸上部に所属していた以外特に何もない。足もそこまで速くなかったし。
勉強もあんまり自慢できるものじゃないが、細かい作業とかは得意だった。ガンプラなんかがいい例だ。
もっと人生経験しとけばよかったぁぁ!!
だってこんなんになると思ってないじゃん!?正直異世界でも地味な日常を送るんじゃないかとか思ってたし。
この世界に知り合いも…………いなくはないけど。ノヴァイルの王と召し使い以外俺のことを勇者だと知っている者はいない。他に国はなく、俺とユユ以外の異世界召喚者もいない。
…考え方を変えればいくらハメを外しても良いわけだ。が、そんなことはせず二年。
無難な生活には満足しているし、変えるつもりもない。
だが、変えなければいけないこともある。
はっきり言おう。もう、結婚しても良くね?
もちろん軽い気持ちではない。今の俺は当然、家も守れるし家事もできる。金も稼げるし…。まだ、ユユには及ばないけどそれなりに誇れるものがある。
今なら、いや、もう少し機会を窺った方が良いかもしれない……。
誰かぁ!!俺にアドバイスをぉぉ!!!
くれぇ!!!!
何で恋愛は無敵になってねぇんだよぉぉ!!
今からでも遅くはない。恋愛幻覚ゲームで女心を学び、男力を上げるのだ!!
……幻覚はゲームを起動する人間の脳内の情報を具現化するため、分からないことはゲームで体験することが出来ない。
ありのままの自分でぶつかれってことなのか?
何でメンタルも無敵じゃねぇんだよぉぉ!!
ユユに拒絶されたら二度立ち上がれない気がする…。
何で恋愛はこんなに複雑なんだ?何でここまで考えるんだ?
その辺にいたカップルを睨み殺そうとかしてたけど、あいつらは高次元の存在だったんだ…。あいつらも俺の様に葛藤したり、悩み続けたりした末に恋愛を成就させたんだ。俺みたいな貧弱な存在が逆立ちしても勝てるはずがないんだ……。
全く
無敵のくせに情けない
でも、
神様が「それぐらいは頑張れ(笑)」という意味で与えた試練だと考えれば…
やってやる。
俺は逆境とかに燃えるんだよ…!




